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顧客対応・サポート

~エピソード21~ 2024年から対応必須のウェブアクセシビリティについてまとめてみました。

掲載日:2025年4月24日

私の名前は渦真木(うずまき)。港区にあるIT企業、スパイラル株式会社に勤める27歳の会社員だ。「顧客接点DX調査班」という、社内外を問わずDXに関するギモンに答えるというプロジェクトに参画しており、毎日、さまざまな業界のDXについて調査をしている。

2025年4月某日、朝8:30。
4月もあと僅か。すっかり暖かくなり花粉症もおさまってきた。これから暑くなるまでは快適な季節となりそうだ。休日はどこかに遠出するのもいいな、などと思いながら出社をすると…。

ボス
渦真木くんおはよう!大阪万博に行ってきたのでお土産だ!
渦真木
おはようございます!先日、万博がはじまったのはニュースで見ましたが…。もう行かれたんですか?
ボス
うむ。弾丸で行ってきたんだ。各国の展示はもちろんだが、万博は完全キャッシュレスだし、アプリを使ったさまざまなサービスが提供されていて、その辺りも興味深かったぞ。
渦真木
へー。万博というと各国のパビリオンや食べ物に関心が集まりますけど、デジタルの取り組みも最先端なんですね!
ボス
うむ。万博にはさまざまな国籍の方や、配慮の必要な方が訪れるから、アクセシビリティについての配慮もしっかりしていたよ。我々IT企業の人間も意識していかないとな。
渦真木
そうですね、去年(2024年)4月にウェブアクセシビリティが義務化されましたよね。
ボス
おぉ。そういえばそうだったな、あれから1年か。各企業の取り組み状況がどうなっているか気になるところだな、よし、今回の調査は“ウェブアクセシビリティ”の対応状況について調べてみてくれ!
渦真木
分かりました!さっそく調べてみます。

ばたんっ

班長
渦真木さんおはよう!ボスは万博に行ってたんだね。相変わらず行動が早いね!今回のテーマは“ウェブアクセシビリティ”かぁ。
渦真木
はい。去年から義務化されたので、当社のコーポレートサイトも対応していました。
班長
もぐもぐ…。お土産おいしいね。うん、当社も対応をしていたね。最近はなんでもWebで!となっているからウェブアクセシビリティの対応はより重要になってきているんだろうね。では調査をお願い!
渦真木
・・・(おみやげ、班長に全部もっていかれた。涙)

ウェブアクセシビリティって?

渦真木
班長!調べてきました。
班長
早いね!ありがとう。どんな感じだった?
渦真木
まずウェブアクセシビリティについて、どのようなものか簡単に説明します。ユーザビリティと似ていますが、ユーザビリティが使う対象者に対しての使いやすさを目指すものだとすれば、アクセシビリティはあらゆる人に対しての使いやすさを目指すもの、と言えます。簡潔に言うと“あらゆる人がWebサイトで情報を取得できるようにする機能”といったところでしょうか。

ウェブアクセシビリティの重要性

渦真木
次になぜこのウェブアクセシビリティが義務化されたのか、なのですが、一昔前まではWebサイトは一部の人が使うものでしたよね。でも昨今ではこどもからお年寄りまですべての方が利用する一般的な情報源になっています。“Webで見るのが当たりまえ”になっているものが多いですし、あらゆる方に対して、またすべてのデバイスに対して、使いやすさを向上させるために義務化されています。
班長
Webでしか情報が取得できない、となると、Webでの情報取得が難しい方、または補助が必要な方も、大事な情報がすぐに取得できる必要があるものね。またデバイスによって情報が取得できない、申込などの操作ができない…という状況にならないようにウェブアクセシビリティは必要なんだね。

ウェブアクセシビリティの具体的な対策とは?

渦真木
次に具体的に“何をすればよいのか?”を説明します。

ウェブアクセシビリティの4つの原則

知覚可能(Perceivable)

視覚や聴覚に障害がある方に対して代替手段を用意すること
・画像の代替テキスト
・色に頼らない情報の提示
・文章の読み上げソフト
・動画コンテンツには字幕をつけるなど

操作可能(Operable)

デバイスの操作が困難な人や、操作に時間を要する人に対して簡単に操作できるようにすること
・クリックやマウス操作を不要とし、キーボードのみで閲覧できる
・入力時間制限の緩和
・フラッシュや点滅を控える

理解可能(Understandable)

完結で理解しやすい言葉の使用、ナビゲーションを分かりやすくするリンク先などを分かりやすくする
・ページの自動遷移をなくす、フォーム入力のエラー箇所についても明確に提示するなど

堅牢(Robust)

あらゆる環境からアクセスできること
・あらゆるデバイスやブラウザをしようしてもレイアウトが崩れないような構成にする
・正確なHTMLの使用など

※引用:ユニウェブ WCAGとは4つの原則に基づくアクセシビリティの国際基準
※参照:ウェブコンテンツアクセシビリティガイドライン(WCAG)2.1

渦真木
具体的な対策は上記4つの原則に基づいています。視覚や聴覚に対応するサポートの他にも、文章やリンク先などの分かりやすさ、ブラウザごとのレイアウト崩れの対策など、全体的なWebサイトの品質のような観点もあります。
班長
なるほど。内容の分かりやすさも指標になっているのね。Webサイトを制作するときには重要となる要素だから、それらに対応するとなると、ウェブアクセシビリティの対策=Webサイトの品質の向上になるとも言えそう。
渦真木
そうですね。品質の向上はもちろんですが、ウェブアクセシビリティは“あらゆる人に対して使いやすさを目指すもの”なので、対応することでWebサイトを見ていただける人の増加にもつながりますよ!
班長
義務化と言われると大変に感じてしまうけれど、対応することでのメリットも大きいので、その点でも対応を進めたほうが良いと言えるかもしれないね。
渦真木
そこで、次にウェブアクセシビリティの民間企業の対応状況についても調べてみました。

ウェブアクセシビリティの義務化から1年。企業の対応状況は?

(引用:株式会社Kiva調べ 調査期間 :2024年9⽉27⽇〜10⽉8⽇)

渦真木
去年の10月の調査になりますが、対応している企業は思ったより少ないですね。
班長
大企業では対応したいけれど、Webサイトもページ数が多くてなかなか対応ができないのかもしれないね。中小企業でもリソース不足で手が回っていないということも考えられるかも?
(引用:株式会社Kiva調べ 調査期間 :2024年9⽉27⽇〜10⽉8⽇)

渦真木
また対応方法についてですが、自社で対応や、制作会社に依頼するなどさまざまですね。中小企業ではWebアクセシビリティツールで対応も多いですね。
班長
そうだね。当社もウェブアクセシビリティツールで対応しているものね。
(引用:株式会社Kiva調べ 調査期間 :2024年9⽉27⽇〜10⽉8⽇)

渦真木
検討中の理由については“担当者がいないため”が多いです。対応したいけどリソースが避けないという状況でしょうか。
班長
そうだね。やはり企業としては対応しなければいけない、対応したい、と思ってはいるけどなかなか手を付けられていない状況があるのだろうね。
渦真木
そうですね。これは去年の10月の状況なので現在では対応している企業は増えていると思いますが、対応できていない企業はあらためて検討する必要があると思います。まずは自社のWebサイトがウェブアクセシビリティにどのくらい対応できているのかチェックをするところから始めると良いかと思います。

ウェブアクセシビリティの対応状況をチェックするには?

螺旋
オホンオホン!ウェブアクセシビリティで対応すべきことは分かったと思いますが、そのあとの対応について私から説明しますね。
班長
お願い!
螺旋
まずウェブアクセシビリティにはWCAG(Web Content Accessibility Guidelines)という国際的な指針と、「JIS X 8341-3:2016」という日本の規格があるのはご存知でしょうか。2024年から義務化とされたのはこのJIS X 8341-3対しての準拠です。

※参照:ウェブコンテンツアクセシビリティガイドライン(WCAG)2.1
※参照:ウェブアクセシビリティ基盤委員会ウェブコンテンツの JIS X 8341-3:2016 対応度表記ガイドライン

班長
この規格に準拠できていれば認定!となるのかな。そもそも準拠の意味も分からないけど…。
螺旋
はい。この規格にどのくらい適合できているかによって、「A」「AA」「AAA」の3段階の適合レベルが認定されます。WebページすべてをチェックしてOKであれば“適合”となり、Webページが100ページを超える場合などは25~40ページをランダムにチェックし、OKであれば“準拠”している、と表明できるのです。
班長
ふむふむ…。分かったけどなんだか難しい…。どうやってチェックするの?専門家に見てもらう必要があるの?
螺旋
オホン!そうですね、難しいのです!なのでまずは「JIS X 8341-3:2016」の規格に沿って検証してくれるチェックツールを、利用するのが良いと思います!認定については簡単な準拠「A」であればチェックツールのみでも認定できますが、より高度なレベルとなると専門家に依頼して認定するという手順になります。
班長
自動チェックツールかぁ。さっきの対応状況のアンケートでもチェックツールを導入しているところが多かったよね。チェックツールならリソースが厳しい場合でも簡単にチェックができるし、チェックをしながら、不足部分を対応していって適合、または準拠を目指していけばいいのね。
螺旋
はい。当社でもISSO®というWebアクセシビリティ診断ツールがあります。これはウェブアクセシビリティチェックだけではなく、HTMLやCSSの文法チェック、またリンクチェックなども自動で行ってくれるものになります。
班長
リンクチェックとかも地味に大変だからね。
螺旋
はい。ISSO®は「A」「AA」「AAA」の3段階の適合レベル別にチェックもできるので便利ですよ!まずは「A」の適合レベルを目指して対応していくと良いと思います!
班長
そうだね。日本ではウェブアクセシビリティは、今はまだ努力義務だけど欧米では今年の6月から対応が強化されていくとのことだし、日本も今から対応していくと安心だね。
螺旋
はい。Webサイトの品質向上にもつながりますし、対応していない企業はぜひ今から対策していただきたいです!
班長
まとめると企業として自社サイトのウェブアクセシビリティ対応をチェックする必要があるが、Webサイトの検証作業は作業負荷が高くて大変。アクセシビリティの対応をしたいが担当者不在などでなかなか対応できない現状がある。そこでウェブアクセシビリティの対応状況も一括で検証できるツールを導入することを検討してみよう!というところかな。2人とも今回もありがとう! あとでポイントをしっかりまとめて調査報告書を提出してね!

というわけで、4月のテーマはウェブアクセシビリティ。この顧客接点DX調査班のコンテンツもこの対策を強化することで見ていただける人が増える…かも?…などと思いつつ、来月もがんばって調査していこう!

(※本コンテンツの登場人物、部署等はフィクションです。)