現行のサイトシステムだと将来的なビジネスへ展開が難しかったため、フルリニューアルを企画。よりセキュアな会員管理機能と、CMSやLMS、自社開発アプリケーションと柔軟に連携できるプラットフォームが必要だった。
今回、「Qbook」のリニューアルに至った経緯を教えてください。
バルテスではもともと、ソフトウェアに関する品質向上のポータルサイト「Qbook」を運営しており、会員登録していただいた方にソフトウェアテストに役立つ様々な情報を提供していました。また、Qbookとは別にコーポレートサイトのオウンドメディアとして「Qbook+」も、ウェブマーケティング施策の一環として運営していました。
リニューアル前の「Qbook」は、会員情報を持っていながらなかなか活用できていない状況でした。そこで、オウンドメディア「Qbook+」の機能を吸収し、会員機能や記事更新の機能を持ったプラットフォーム「Qbook」を作ることで、ソフトウェア開発に役立つ情報を提供できる仕組みづくりと、会員情報がきちんと活用できる環境づくりに取り掛かりました。
リニューアル前のサイトは古いオープンソースのCMSを利用しており、コミュニティーサイトをつくることに特化していました。そのため古いシステムをそのまま移管するのではなく、システム全体をリニューアルする必要性がありました。
リニューアルに向けて、取り組まれたことは?
まず、どんな機能が必要なのかを洗い出しました。会員サイトとしてユーザー登録を促したいので、会員情報を管理するだけでなく、高いセキュリティレベルであることが求められます。そのほか、Webで運用するためにメール配信や問い合わせフォームなどの機能も必要でした。
MAツールなども検討したのですが、スコアリングといった本格的なMAの機能は不要でした。このような条件の中、会員向けサイトのシステムを構築している企業をいくつも探し、問い合わせたうちの一社がパイプドビッツ社でした。
SPIRAL® は、必要な機能だけを組み合わせることができ、我々が求めていた機能のほとんどを実装できるというので、非常に期待が持てました。さらに、課題でもあったセキュリティ面に関して注力していることも大きなポイントになりました。第三者機関によって安全性を毎年チェックしているだけでなく、官公庁や銀行での導入実績も大きな後押しになりました。このSPIRAL® なら必要な機能が備わっているうえに、会員情報をセキュアに管理できると感じ、開発をお願いしました。
「Qbook」と「Qbookアカデミー」がSPIRAL® の連携により、セキュリティを担保しながら同じID・パスワードでログインを可能にし、メール配信や
問い合わせをSPIRAL® だけで一元管理できるようにした。
導入することを決めてからローンチまではどのくらいの時間がかかりましたか?
2019年12月の要件定義から始まり、ローンチしたのが2020年5月です。要件定義を進めるにあたり、「Qbook」のシステムにeラーニングの「Qbookアカデミー」のシステムをどこまで実装するかを社内で決めかねていたことも、時間を要した理由の一つでした。今回のリニューアルにあたり、代表から「業界における品質改善に関するナレッジの標準化を推進したい」という意向を受けていたため、情報発信する「Qbook」に「Qbookアカデミー」を紐付けて、バルテスのワンブランドとして提供したいという狙いがありました。
「Qbookアカデミー」は、e-learningのコンテンツ構築に特化したシステムを活用しており、「Qbook」とは仕様が異なります。これをどう連携すべきか議論を重ね、最終的にはID・パスワードなど会員認証の部分をSPIRAL® に任せることで決着しました。これによって会員情報という最もコアになるデータベースに対し、SPIRAL® の堅牢なセキュリティで安全性を担保できるようになりました。「Qbook」に引き続き「Qbookアカデミー」も、同年9月に無事ローンチできました。SPIRAL® によって会員情報を一元管理できるため、シームレスなサービス提供が可能となり、理想のプラットフォームに近づけたことが大きな成果でした。
振り返ってみると、Webページの設計も含めてゼロからシステムを構築しなくてはいけない状況だったので、システムの専門家ではない私たちにとって大変なプロジェクトでした。しかし、パイプドビッツ社のWeb設計担当者が、会員サイトの立ち上げ実績が豊富な方だったのでとても頼りになりました。
具体的にSPIRAL® はどのように利用されていますか?
SPIRAL® のCMS連携で「Qbook」のログイン認証や会員情報管理、問い合わせフォーム、顧客情報管理、会員向けのメルマガ配信などです。会員制サイトの構築は、思った以上に機能が複雑で、それらを一からつくり込もうとするとかなりの工数と費用がかかります。しかし、SPIRAL® は、基本機能のコンポーネントが充実しており、それらを組み合わせて開発できるので、費用を比較的抑えて実現することができました。
SPIRAL® によるセキュアな環境で会員情報を一元管理。
会員サイトの構築に成功し、さらなる会員獲得にも貢献。
慣れてくると、このシステムを自在に使えるようになると感じています。マニュアルは豊富ですし、説明が必要な場合はサポートデスクもあります。私たちもこれにはかなり助けられました。何と言っても、対応がとても早い!営業時間の10時から18時の間であれば、問い合わせから5分程度で回答が届きます。課題や不明点があれば、すぐに解決してくれるフォロー体制が整っているので、業務を滞らせることなく前に進められていると実感しています。
SPIRAL® によるシステムは狙い通りの効果を発揮していますか?
シングルサインオン、会員情報管理、メール配信、フォームの設置など、会員サイトとして取り組みたかったことや、伝えたかった情報の発信ができるようになり、順調に会員数を伸ばせています。今後は、私たちの広報戦略部だけでなく、他の部門も巻き込んで、さらなる会員獲得を目指していきます。ゆくゆくは、「Qbook」だけでビジネスが成り立つような、バルテスの収益の柱として成長させていきたいと考えています。
「Qbook」は、現状オウンドメディアの側面が強いのですが、今後はプラットフォームとしての役割を強く打ち出していきたいと考えています。ソフトウェアテストに関して、あらゆる情報を手にすることができ、学べて、必要なツールもダウンロードできるような起点となる存在として。それに加えて、企業やインフルエンサーがQbookを通じて情報を発信したりビジネスを行ったりできるような存在として育てていくつもりです。その過程で、広告モデルや、有料会員モデル、マッチングサービスなどのビジネスモデルを組合せマネタイズも構想しています。これらも、SPIRAL® で実現できるのではないかと踏んでいます。
SPIRAL® は可能性を秘めたツールだと思います。他のアプリケーションとの連携性も優秀なため、たとえば「テス友」というJSTQBの試験対策用のハイブリッドアプリでも、会員情報の認証や管理にSPIRAL® を活用しています。新しいサービスを展開する際、会員認証の労力が不要になる点は大きなメリットです。おかげで、1つのIDで当社のさまざまなサービスを、スピーディかつ一貫して提供できるようになりました。今後もSPIRAL® をどう使いこなしていくかが鍵だと思っています。