自社製品の展示会がコロナ禍をきっかけに自由来場制から招待制に。手書きアンケートのデータ化作業に加え、招待者管理や来場日時の調整、アテンド管理など業務負担が大幅に増加
展示会運営において、どのような課題を抱えていたのでしょうか?
我々の部署ではBtoB向けPRを担当しており、顧客向け製品展示会の企画から運営まで手がけています。コロナ禍以前は、お客様の会社施設をお借りして展示会を開催し、お客様のイントラ掲示板やポスターでの告知による自由来場制を採用していました。しかし、2021年度からはコロナ禍における三密回避のため、自社会場での招待制に切り替えることになりました。これにより、来場者一人ひとりの日時調整やアテンド管理が新たに必要になり、運営の負担が大きく増加することになりました。
また、従来から実施していた来場者アンケートは手書き形式だったため、結果の集計と社内共有のためには回答を手作業でパソコンに入力する必要があり、毎年社員が掛かりきりで作業をしていましたが、完了までに相当な時間を要していました。その結果、展示会後の顧客フォローアップが大幅に遅れてしまうという課題を抱えていました。
アナログで予約を調整するのは大変だったのではないでしょうか。
そうですね。以前は、メールや電話でお客様のご希望の日時を3つほど伺い、それを人の手でパズルのように組み合わせて調整していました。その後、再度メールや電話で確定日時をご連絡する流れでした。日程変更の依頼があれば再調整が必要となり、さらにアテンドの調整も発生するためかなり大変でした。この課題に対応するため、翌年の2022年度は市販の予約システムを導入し、前回比200%ほどのお客様を招待し開催しました。予約管理はなんとか対応できたのですが、アンケートデータの手動入力という課題は依然として残っていました。そのため、予約からアンケート管理まで一貫して効率的に運用できるシステムを導入できないか考えるようになりました。
SPIRAL®で「展示会来場受付管理システム」を構築し、来場予約からアンケートまで一元管理を実現。「SPIRAL®シャリーン」で来場受付や気になる製品の登録も円滑に
SPIRAL®での構築を選んだ理由を教えてください。
展示会の予約システムを検討するにあたり、複数のシステムを比較検討した結果、SPIRAL®の採用を決定しました。選定の主な理由は、SPIRAL®の機能面の充実度にあります。来場予約、アンケートの実施から結果の整理・分析、さらに展示会後のフォロー活動の管理ができるなど、一連の業務を一元管理できる点が秀でていました。また、実際の運用を開始した後に出てくるであろう新しい要望に柔軟に対応できそうだったのも、高い拡張性があるSPIRAL®でした。また、同じような機能を持つ他のシステムと比較したときに、導入・運用コストを抑えることができたのも決め手の一つでした。
今回構築した「展示会来場受付管理システム」について教えてください。
今回のシステムでは、当社からお客様へ発信する招待メールを起点に、スムーズな来場予約の流れを実現しています。
お客様は受信した招待メールから専用の予約画面にアクセスし、希望する来場日時を選択できます。予約完了同時に自動配信される予約完了メールには、当日の受付で使用する二次元バーコード付きの参加証が添付され、併せてキャンセルフォームも利用可能になっています。これにより、来場予約から参加証の発行まで、お客様ご自身で手続きを完結できる仕組みになっています。
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来場時には事前に発行された参加証の二次元バーコードを「SPIRAL® シャリーン(※)」(以下、シャリーン)で読み取ることで、スムーズな受付が完了します。会場内では、製品ブースごとにシャリーンを設置しています。お客様は興味を持った製品ブースのシャリーンに参加証の二次元コードをかざすだけで、その製品を「気になる製品」として簡単に登録できます。
展示会の周回後、お客様は会場内の専用パソコンでアンケートに回答いただきます。ここでは、参加証記載のIDと別途通知されるパスワードでログインいただくと、共通の質問項目に加え、会場で登録した「気になる製品」に関する個別の質問が表示されます。その場でアンケートに回答いただき、来場プロセスが完了となります。
管理者側は、招待客の管理、予約状況の確認、アテンド管理、来場管理、製品の関心度分析、アンケート管理など、展示会運営における一連の機能を一元管理できるシステムになっています。
※ SPIRAL® シャリーンとは
二次元バーコードを読み取り、取得したパラメータに、iPhone端末で登録した情報を付加し、SPIRAL®のデータベースに登録できるスマートデバイス用アプリ。
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2022年度比200%の来場者数にもかかわらず、以前と変わらない人員と作業時間で対応が可能に。アンケートに係る作業時間は95%減、社内展開も即日可能となり、スピーディーなフォロー活動を実現
今回構築したシステムにより得られた効果を教えてください。
システム構築後の2024年度展示会では、さらに前回の倍となるお客様のご来場にもかかわらず、予約や受付に関する作業時間は増加せず、同じ人員で来場者対応ができました。事前の予約状況や当日の来場状況がリアルタイムで更新され、関係者間で共有できる点は非常に便利でした。また、アンケートに関しては、ほぼ何も手をかけることなくデータを集計して展開できるようになったので、作業量は95%削減と言っても過言ではありません。この作業量減に加え、アンケート結果を即日社内展開できるようになったことも大きな成果です。おかげで展示会に来てくださったお客様へのフォロー活動のアクションを起こすまでの期間は非常に短くなりました。展示会の記憶が新しいうちにお客様とコンタクトできるのは良いですよね。
また、予想外の効果もありました。シャリーンを使用した「気になる製品」の登録システムにより、アンケートにその製品の関連質問が自動で表示される仕組みは、お客様にとって分かりやすい流れだったのか、回答時間の短縮につながったのも嬉しい効果でした。また我々としても、興味を持っていただいた製品がデータベースに登録されていくため、製品開発担当者や営業担当者から「お客様の関心を直に感じられて嬉しい、やりがいになる」といった声も寄せられました。アンケートに加えてこうした情報も得られるようになったことは新しい成果です。
今回のシステム導入により、来場予約からアンケート回答まで一貫した管理が可能になりました。これは我々が一番に求めていた成果であり、実現できて良かったと思っています。
今後の展望を教えてください。
今回、実際にシステムを運用する中で、さまざまな改善点が見えてきました。特に、管理画面の操作性に関しては実際の使用を通して気づく課題も多く、ブラッシュアップを進め、より使いやすいシステムにしていきたいと思っています。
今回のシステム導入はコロナ禍がきっかけでしたが、おそらく今後も展示会の形は変わっていくと思います。その変化に合わせてシステムも柔軟に変化していく必要があります。SPIRAL®の柔軟性、拡張性の特長を活かして、今後もしっかり対応していきたいですね。