導入前は、膨大な時間と手間をかけて、配信先を手作業でリスト化
まず、貴社および貴部署の業務内容やミッションについてお聞かせください。
当社は、三井住友信託銀行とSBIホールディングスを出資会社として2007年に設立したインターネット専業の銀行です。預金やローン、決済サービスといった通常の銀行と同様のサービスを24時間・365日提供しています。
営業企画部は、販売促進案の立案や、広告やキャンペーンの企画、Webやアプリの企画などを担当する、いわゆる“マーケティング”の部署で、コンテンツの制作なども行っています。最近では「データベースマーケティング」を使い、お客様に送るメールの企画・制作や、どういったお客様にどういう広告を出すかといった戦略を考えるミッションにも取り組んでいます。
これは、お客様をセグメント化し、それに合わせたターゲティングを行い、より精度の高いマーケティングを実施することを目的としたものです。今までは、お客様のデータを手作業でDBから抽出して、それを、AccessやExcelでリスト化してからSPIRAL® にデータを送ってメールを配信していました。この作業を自動化したのが今回の取り組みです。
EBMシステムとSPIRAL® を連携させ、どのように利用していますか?
例えば、当社では全国各地で住宅ローンのセミナーを開催しているのですが、そのご案内メールをそれぞれの都道府県ごとに限定で送るなどのマーケティング活動に利用しています。住宅ローンのセミナーの場合、すでに住宅ローンをご利用の方にお知らせしても効果は見込めません。ご案内をお送りする年代や地域、当社とのお取引内容などを分析、セグメント化し、より効果の見込めるメールを配信しています。
こうした施策を毎日展開しており、メールは月80通以上お送りしています。EBMシステムとSPIRAL® の連携がなかったら、かなり大変な作業です。
今回のシステム連携が実現する前は、どのような運用をしていましたか?
当社で運用しているお客様関連のDBは、機能や種類によってさまざまな種類が存在しています。以前は、担当者がそれらのDBから必要な情報をダウンロードし、データを整理してリストを作り、それをSPIRAL® にインポートしてから配信するという作業をしていました。
こうした作業は、対象の顧客数も多く、その数が数百万件にもなると、ダウンロードするだけで何十分もかかるうえ、書き出しに1時間以上かかることもあります。とにかく時間と手間がかかっており、この頃は、1通送るのに半日程度かかることもありました。
また、いろいろな抽出条件があるため、リストの作成にはそれなりのスキルと経験が必要とされ、慣れた人でないと難しく、比較的属人的な作業だったのも課題でした。さらに、手動の工程が多いということは、それだけ事故のリスクも大きかったと言えます。
SPIRAL® を迷いなく選択
「自動化できるところはすべて自動化」を実現
SPIRAL® とEBMシステムを連携させた経緯や理由を教えてください。
SPIRAL® は、2007年の当社設立当初から利用しています。SBIグループでSPIRAL® を使っていたという経緯があり、コスト的なメリットがあるので導入しました。2014年にEBMシステムの導入を決めた際も、EBMシステムが一番効果を発揮するジャンルの1つがメールマーケティングでもあるので、SPIRAL® との連携は最初から視野に入れて計画を進めています。これまで、さまざまにSPIRAL® のカスタマイズを行ってきていたため、他のシステムに変えるという選択肢はありませんでした。
導入に際し、ご苦労された点や問題になったことはありましたか?
当初の作業は、SPIRAL® の既存のAPIをカスタマイズして連携する想定で進めていたのですが、データが数百万件レベルであったり、リストを大量に連結しなければならなかったりと、こちらの要望の規模が大きいこともあり、そのままではうまく連携できないことが分かったため、ほぼフルスクラッチでAPIを専用開発していただきました。
また、当社のセキュリティポリシー上、テストは独立した環境で行わなければならないので専用のテストサーバを建てる必要が発生したりなど、当初は想定していなかった部分にエネルギーを使うことになりました。その点は、当社もパイプドビッツさんも大変だったと思います。
開発に際し、こだわった点はありますか?
“自動化できるところはすべて自動化させる”ことにこだわりました。事故を防ぐという意味と、属人的な部分を排し、専門知識がなくても誰でも作業できるようにしたかったからです。
例えば、メールの種類によってモバイルに送る・送らないとか、差出人をこうするといった細かな設定がメールによって決まっています。その設定情報をSPIRAL® の中に持たせ、それとEBMシステムを紐付けて、データを連携させたら自動的に各設定でメールが送信されるという環境になっています。作業としては文面を入れる必要がありますが、もし文面が変わらなければ、SPIRAL® にデータを流したらあとは送信ボタンを押すだけです。
連携実現で、108時間の作業を一気に削減
より効果的なマーケティングも実現
今回のシステム連携が実現する前は、どのような運用をしていましたか?
月間80通、多い月には100通くらい送信する場合もありますが、その中の60通くらいはEBMシステムと連携させています。導入前にこれを全部手動でやったらどれくらいかかるか試算したのですが、月間108時間かかる計算になりました。今は、各商品担当や部内の人員がリストを作っていたこの時間分の作業がまるまるなくなっていて、かなりの工数を削減できていることを実感しています。コストに換算しても相当な削減効果が出ていると言えます。
また、メール送信の“タイミング”という点でも効果が出ています。以前は、抽出作業が大変だったため企画から配信までに時間がかかり、最適なタイミングでメールを出せていなかったこともありました。それが現在は、対象のセグメント化という部分だけでなく、キメの細やかさという点では、“タイミング”も含めて対応できる仕組みになっているということです。
1日に3本も4本も自分にあまり関係のない内容のメールを受信すると、オプトアウトの率が増えてしまいます。そうすると、ビジネスチャンスを逃すことになります。なるべく、お客様に最適化された内容だけお知らせするようにすることで、顧客満足度の低下を防ぎ、オプトアウトされるのを防ぐ効果もあると思っています。
運用上の問題点や今後の改善点、次期開発の予定などはありますか?
せっかくSPIRAL® を使ってメールを配信しているので、配信結果データを活用してマーケティング精度を上げていきたいと考えています。例えば、開封してくれた方にメールを送るとか、開封しなかった方は除外するとか、クリックした方は次の段階のメールを送るなどです。
また、今までよりも、お客様の絞り込みやタイミングなどの精度を上げたいと思っています。そのためにはまだ、いろいろ試行錯誤しながらチューンナップしていく必要がありそうです。
今後は、こうした運用レベルを高め、効果を最大化していきたいと考えています。
パイプドビッツの開発力や技術力を高評価
ユーザーズデスクも
「スゴい」とヘビーユーザーに
弊社の業務クオリティや対応、サポートなどはいかがですか?
パイプドビッツさんの開発力や技術力は高く、他社とくらべてもキチンと対応していただいていると思います。マーケティングの基盤となるようなツールとして柔軟性があるため、通常のパッケージシステムだと「ここから先はできません」という部分があったりするのですが、SPIRAL® はカスタマイズさえすれば、できないことはないのでないかと思えるほどです。
対応に関しては、いろいろ細かなオーダをしてしまいましたが、真摯に対応いただけました。一番よかったのは、例えばテスト段階の時の話ですが、不具合を見つけた際にこちらが連絡する前にパイプドビッツさんから電話が来るなど、迅速な対応と逐一知らせてくれるというのは非常に助かりました。
ユーザーズデスクは、ヘビーユーザーと言えるほど利用させていただいています(笑)。ユーザーズデスクに連絡すると、ホントに5分以内に電話がかかってくるのがスゴいと思いました。EBMシステムの部分も質問にお答えいただけるなど、非常に助かっています。