(2023年11月27日掲載)
※企業情報・肩書などを含め、本事例ページに記載された内容は取材当時のものです。
導入事例
CUSTOMERS
GPT-4をベースに開発した「業種自動判定機能」で
営業・マーケティング活動が劇的に改善!
インタビュー
INTERVIEW2022年11月の公開以来、世界中から注目を集め続けている ChatGPT 。米国のOpenAI社
が開発したこのAIチャットボットサービスは、高度な自然言語処理と機械学習技術により、まるで人間と対話しているような自然なテキスト生成と高精度な回答を実現し、今ではカスタマーサポートやマーケティングなどさまざまなビジネス分野で活用されています。
今回は、ChatGPTのベースにもなっているGPT-4(大規模言語モデル)を利用して開発した「業種自動判定機能」によって、営業・マーケティング活動を大きく改善した弊社の取り組みについてご紹介いたします。企画・運用を担当した弊社営業企画推進部長
重岡祐介と、開発を担当した弊社販売促進部 菅藤亮兵に、開発に至った背景や導入後の効果についてお話を伺いました。
長年運用する顧客管理システムに業種情報が無いことで、
正確な顧客分析ができないなど、さまざまな問題が発生していた
「業種自動判定機能」を開発するに至った経緯を教えてください。
弊社の営業現場では長年、SPIRAL® ver.1を基盤に開発した顧客管理システムを運用しています。通称「Cruise(クルーズ)」と呼んでいるこのシステムは、弊社のお客様の契約情報や営業対応履歴、サポート対応履歴、また新規のお客様からのお問い合わせやその対応履歴など、弊社のあらゆる顧客情報を集約しており、日々の営業業務に欠かせないシステムの1つです。
Cruiseにはもちろん、お客様の企業情報やその属性なども集約しているのですが、実は業種の情報に関しては正確なデータが登録されていない状況が続いていました。Cruiseの運用を始めた当初はそれほど問題視していなかったのですが、我々の営業体制やマーケティング活動が変化していくうちに、さまざまな問題が発生するようになりました。
1つは、お客様からのお問い合わせに対応する営業担当をアサインする際の作業負担です。弊社では、お客様の業種別に営業部門が存在しているため、お客様がどの業種に属するかによって営業担当が変わります。そのため、お問い合わせをいただくたびに毎回アサイン担当者がお客様の企業情報を検索して業種を調査し、適切な営業担当にアサインする、という作業が発生していました。
もう1つは、正確な顧客分析ができないことによるマーケティング活動の停滞です。お問い合わせいただくお客様の傾向や、ご契約いただいているアカウント数などを業種ごとに把握・分析し、各業界に応じた販促施策を企画したいと思っても、正確な業種情報がまとまっていないことにより、すぐに実行に移すことが難しかったのです。
これらの問題が浮き彫りになり始めたタイミングで、有償のデータベースマーケティングツールの導入を検討したのですが、大体年間500~600万円程度かかるものが多く、業種情報を取得することだけを目的に導入するには明らかに予算オーバーでした。一方、人力で一つひとつ時間をかけて調査していくことも考えましたが、数万件の顧客情報に対して膨大な工数がかかることは明白で…。なかなか手が付けられずにいたのです。
何か良い方法は無いかと模索していたところ、ちょうど世間で話題になり始めたのがChatGPTでした。さまざまな活用事例を目にする中で、ふと「企業ごとの業種もChatGPTに聞くと答えてくれるのでは?」と思いついたことが、今回の機能開発のきっかけです。
きっかけは思いつき!
GPT-4をベースに「業種自動判定機能」を開発し、
業種情報の自動取得を可能に
機能開発はどのように進みましたか?
2023年4月に企画立案をしました。当時、弊社ではGPT-4の利用可能条件を満たしていなかったため、まずGPT-3.5を用いてプロトタイプを作成しました。GPT-4への切り替えも視野に入れながら仕様や性質を確認し、イメージする機能ができそうだと判断しました。Cruiseに機能を実装すべく本格的に要件整理や仕様設計、社内調整を進めたのが5~7月頃です。その後、約1カ月でプログラムの作成、テスト、デバックを行い、8月末にCruiseに機能を実装し、テスト運用。10月にGPT-4をベースにしたプログラムに切り替え、正式に運用を始めました。
開発した「業種自動判定機能」について詳しく教えてください。
顧客情報の一部を用いてGPT-4による業種判定を行い、その回答をCruiseへ連携する機能です。具体的には、お問い合わせフォームなどで入力される ①企業名 と ②メールアドレスのドメイン(@より後ろの部分)の情報をもってGPT-4へ質問します。GPT-4は①と②の情報を元にして業種を判定、回答します。出された回答はCruiseに連携され、顧客情報が更新される、という流れです。この一連のプログラムを15分おきに実行するよう、SPIRAL® のカスタムプログラムで設定することで、業種情報の取得から顧客情報の更新まで定期的かつ自動で行われるようにしました。
もともとCruiseにあった数万件の既存顧客データに対しても、同じ仕組みで業種情報を更新しました。SPIRAL® のプログラム実行時間制限など、諸々制限がある中でプログラムを回す必要があったので多少時間はかかりましたが、人の手を介すこと無くバックグラウンドでひたすらプログラムを回し続けるだけで完了できました。
長年の課題が解決。業種情報を軸にした営業・マーケティング活動が円滑に
「業種自動判定機能」の導入効果はいかがでしょうか。
業種が不明なことによって発生していた問題はいずれも解決できました。お問い合わせのアサイン担当者による業種調査の作業は無くなりましたし、業種別の顧客分析も容易にできるようになりました。特に業種情報を元にした顧客分析は、膨大なデータ数を前にもう難しいかもしれない…と半分諦めていたので、今回の機能によって実現できて嬉しいですね。今では例えば、既存顧客・新規顧客それぞれの業種分布の差異を見ることで、「今は契約数が少ないが、最近新規流入の割合が多いので、今後ニーズがありそうな業界だな」といった分析ができるようになったので、アプローチすべき業界がより明確化され、効果的なマーケティング活動ができるようになっています。
何よりこれらを非常にローコストで実現できたことが良かったです。GPT-4のAPI利用料は月間で数十ドル(数千円)なので、有償ツールの導入を検討していた当時から考えると、圧倒的に運用コストを抑えることができました。
開発において苦労したことはありますか?
GPT-4に投げかける質問の仕方には試行錯誤しました。自然言語処理を用いてテキスト生成されるので、こちらが必要とする回答に近づけるためには、GPT-4が回答しやすいようにできるだけ多くの情報を与え、質問と回答をふまえて会話する必要があります。一度の会話で完結させるより、返ってきた回答に対してさらに質問することで、回答の精度をより高めることができます。また、回答の仕方の例を与えるということも大切です。
今回の場合、例えば「スパイラル株式会社の業種を教えて」とそのまま質問しても、返ってくる回答は非常に曖昧なものになります。問いたい会社名を特定するためのヒントとしてメールアドレスのドメインを提示したり、回答に統一性をもたせるために業種リストを提示したり、回答の仕方を指示したり…。この辺りの調整は苦労しましたし、これからもチューニングしていく必要があると思っています。
今回の取り組みを通して感じたことを教えてください。
今回はGPT-3.5を用いたプロトタイプ開発から始めましたが、GPT-3.5では正直こちらが求める回答精度には少し足りず、まだまだ人間によるチェックが必要だなと感じるところがありました。とはいえ、日々の業務に活用できるとわかったことは大きな成果でしたし、我々の長年の課題解決につながりました。現在は、最新バージョンであるGPT-4をベースにしたプログラムに切り替えてチューニングしつつ運用していますので、さらなる精度アップに期待しています。
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<デモのご紹介>
本記事内でご紹介した「業種自動判定機能」について、実際に触ってお試しいただけるデモをご用意いたしました。
お問い合わせフォームより企業名、メールアドレスをご入力いただくと、その情報を元にGPT-4が業種を判定し、サンキューページにて回答します。是非お試しください。 -
[DEMO] SPIRAL® ver.1
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[DEMO] SPIRAL® ver.2
お問い合わせフォーム (業種自動判定機能付き) powered by GPT-4
※必ずデモフォーム上の「確認事項」をご確認の上、お試しください。