「せとしんアプリ」から店舗への来店予約をする際、メールアドレスや口座番号などを入力しなければならない画面仕様に課題を感じていた
事務統括部デジタル戦略グループの役割を教えてください。
私たちのグループの役割の1つは、当金庫内のDX化を推進することです。具体的には、ITインフラの導入・改善による「業務の効率化」や、新しいデジタルサービスの開発や既存サービスの改善を通じた「お客様により便利で使いやすいサービスの提供」などがあります。株式会社NTTデータが提供している「アプリバンキング(※)」を基盤に開発した「せとしんアプリ」について、お客様がいつでもどこでも安全・安心にお使いいただけるよう機能追加・改善に取り組んでいくことも、その1つです。
なお、今後はデータ分析を活用して、お客様一人ひとりにパーソナライズされたサービスを提供していくことも目指しています。
※:アプリバンキングとは
株式会社NTTデータが提供する、しんきん共同システムを利用している全国の信用金庫向けスマートフォンアプリ。
WebView機能を導入する以前は、どのような課題を抱えていましたか?
以前、「せとしんアプリ」内の来店予約のメニューには、当金庫のホームページにある来店予約ページへのリンクを掲載していました。つまり、アプリ内の来店予約メニューをクリックすると、SafariやGoogle Chromeといったブラウザアプリへ遷移する形だったんです。そのため、お客様は氏名や生年月日、メールアドレス、口座番号などの情報を来店予約フォームへ入力しなければなりませんでした。アプリ内にこれらの情報はすでに保持されているのに、間違えやすいメールアドレスや、キャッシュカード等から確認する口座番号などを都度入力しなければならないのは、「煩わしく面倒なのでは」と感じていました。また、別のブラウザアプリが立ち上がってしまうことも、一貫性がないと感じていました。
お客様から使い勝手に関してご意見が寄せられていたのでしょうか?
お客様からご指摘いただいたわけではなかったのですが、アプリ担当としては、ほかのアプリと比較したりアプリストアのレビューを参考にしたりして、機能面や仕様面で劣っている部分をなんとか改善したいと日々考えていました。来店予約に関しては、個人情報のほかにも、来店日時や相談内容も入力しなければならないため、私たち自身も「入力項目が多い」と感じていた部分でもあったのです。ですから、なんとかこの課題を解決してアプリの利便性向上につなげられたらと思い、改善に乗り出しました。
アプリ内でWebページを開くことができるWebView機能の開発・導入を決定。アプリ内に保持する顧客情報をSPIRAL®の来店予約フォームへ自動反映することが可能となった
今回導入したWebViewという機能について教えてください。
WebViewとは、スマートフォンのアプリ上でWebサイトを表示する機能です。別のブラウザアプリではなく、「せとしんアプリ」内でWebページを開くことができるため、「せとしんアプリ」内に保持している顧客情報を来店予約フォームへ引き継ぎ、表示することができるようになります。お客様側からみると、登録済みの個人情報はすでにフォーム上に入力された状態で表示され、来店日時や相談内容といった最低限の項目だけを入力すれば良い形となり、アプリからの予約申込が非常に簡単になりました。

この機能開発をスパイラルへお任せいただいた経緯・理由を教えてください。
もともと、当金庫では2022年の10月からSPIRAL®を導入して、来店予約や相談会、セミナーなどの予約システムを構築・運用していました。今回の来店予約フォームもSPIRAL®で設定しているものだったので、スパイラルの営業担当の方へ「『せとしんアプリ』と来店予約フォームをうまく連携できないか」と相談したことが、今回の機能開発のきっかけです。ご提案いただいたWebViewは、これまで開発された事例は無かったようでしたが、「せとしんアプリ」の基盤である「アプリバンキング」の仕様確認や、WebViewの機能開発内容など、しっかりと調査をしていただき、都度認識合わせをしながら進めていただいたので安心して導入することができました。
こうした機能開発は、ベンダーさんによっては技術面やコスト面がネックとなり、導入のハードルが高くなりがちです。その点、スパイラルさんは大抵のことは何でも「できますよ」と言ってくれる印象です。大手金融機関と違った予算規模の我々のことをよくご理解いただき、いつも予算内に収まるようにご提案していただいています。今回の件に限らず、普段からよく相談に乗っていただいており、デジタル戦略を推進する我々にとってはとても頼もしく強い味方ですね。
入力の手間が格段に減り、アプリからの来店予約が簡単に。その他さまざまな予約フォームにもWebView機能の導入を進め、アプリの利用促進・利便性向上につながっている
今回導入したWebView機能によって得られた効果を教えてください。
もともと何か不満の声があって改善した機能というわけではないので、この改善により来店予約が増えるなどといった定量的な変化は見えていません。ただ、個人情報を入力する手間が格段に減ったのは実感しています。この点はWebView機能を導入した狙い通りですし、満足できる効果が得られたと思っています。
また、アプリストアにおいて「せとしんアプリ」は現在1,000以上のレビューをいただいているのですが、星5のうち4.3と一定の高評価をいただいています。利用者数自体も堅調に増加していますので、そういった面でこのような改善が寄与しているのではないかと感じています。
来店予約や相談会予約などでご活用いただいている、SPIRAL®の使い勝手などはいかがでしょうか。
さまざまな予約システムをSPIRAL®で構築いただきましたが、どれも高品質で素晴らしいと感じています。また、内製が簡単なのもいいですね。金庫内イベントの参加申し込みの仕組みや、ホームページのご意見・ご要望フォーム、アプリの退会申請フォームなどは、当金庫の職員がSPIRAL®で内製しています。特殊なプログラムを使うことなく構築できますし、サポート体制も整っているので、システムに詳しい職員でなくても見様見真似で簡単に作れているようです。
今後の展望を教えてください。
現在、セミナーと相談会の予約に関しても、WebView機能の導入を進めているところです。今後もアプリの利用促進のため、一つ一つ仕様改善に取り組んでいきたいと思います。ちなみに、「せとしんアプリ」の基盤である「アプリバンキング」と、さまざまな予約システムの基盤として利用しているSPIRAL®は、互いに柔軟に連携できて相性が良いと感じています。これからも費用対効果を考えながら、より使い勝手が良く充実したアプリに進化させていきたいですね。