学生が要返信のメールを確認しなくなったことで、電話確認の手間が発生。
事務局の大きな負担になっていた
SPIRAL® のデータベースとLINEを連携させた経緯をお聞かせ頂けますか?
当大学の国際化推進センターでは、交換留学や海外英語研修を希望する学生向けの募集説明会、留学プログラムに参加が決定した学生に対してはオリエンテーションを実施しています。募集説明会はチラシやポスター、大学のウェブサイトで、参加者オリエンテーションはメールで周知をしていました。
加えて、在籍している留学生に対しては、大学側から確実に伝えなくてはならない重要な連絡があるのですが、こちらは学内掲示を行うとともにメーリングリストで配信をしていました。
ところが、最近の学生にとってメールはメインの連絡手段ではなくなっているため、「要返信」としても、そのメールを見ていない学生が増えてきたのです。そのような学生には電話をかけて連絡をする必要が出てくるわけですが、これが事務局にとって大きな負担でした。
そこで目を付けたのがLINEです。現在、ほとんどの学生たちの連絡手段はメールからLINEへと変化しています。LINEのメッセージとして配信すれば、より確実に情報が目に入り、返信漏れも無くなると考えたわけです。
SPIRAL®のデータベースとLINEを連携することで、
学生の属性に応じた配信システムを構築
SPIRAL® でどのようなシステムを構築しましたか?
一口にお知らせといっても、それぞれの学生にとって必要な情報は異なります。例えば、留学する学生といっても、「海外英語研修プログラムか、交換留学制度か」「春期か、夏期か」などによって確認と返信が必要なものなのかが異なります。また、留学先の大学や学年などによっても説明会や面接の日程が変わります。
それらをすべてLINEの一斉配信で学生に送ったとしても、それぞれの学生にとって本当に必要なお知らせは埋もれてしまうので、メールで送信するのと同様の結果になる恐れがありました。
そこで、学生のプロフィールを登録したSPIRAL® のデータベースとLINEを連携。希望するプログラム別(海外英語研修・交換留学など)、学年別、留学希望大学別、あるいは海外からの留学生に対象を絞るなど、属性に応じたメッセージを配信できるようにシステムを構築していきました。
SPIRAL® はすでに海外英語研修プログラムや交換留学生、サマースクール生などの願書提出電子化で導入していたこともあり、高い拡張性があることは理解していました。なので、LINEとの連携も問題なく進められるだろうと期待できましたね。
導入後の事務局業務の負荷は、どのくらい軽減されましたか?
パイプドビッツさんに、LINEによる属性配信システムの相談を持ちかけたのは2017年2月のことです。このシステムがローンチしたのは4月のことですから、まだスタートしてから間がありません。
しかし、事務局からのお知らせをLINEの属性配信に変えた結果、電話での返信確認が必要となる学生はほぼゼロとなりました。2016年度までは、参加可否の確認電話をしなければいけない学生が毎回発生していたのと比べると、負荷は大きく軽減したといえます。
LINEの登録者数を増やしていくことで、
留学先での安否確認など、様々な用途への活用に期待
導入に際し、工夫された点、こだわった点などがあれば教えてください。
LINEのビジネス向けプラン「LINE@」プロプランを契約しました。APIを活用してSPIRAL® のデータベースと連携したことで、既に登録された学生のプロフィールを後からでも変更できるようにしています。
SPIRAL® を導入して、思い通りの効果がありましたか?
事務局側が学生に対して「確認の電話をかける負荷が減ったこと」が目に見える一番の効果ですので、思い通りの効果が上がっています。また、システムがスタートしたばかりなのでなんともいえませんが、目に見えない効果もあると思います。
たとえば、緊急時の安否確認。現地での災害やテロ事件のような緊急事態時には、LINEを用いて安否確認を行うことを考えています。LINEはWi-Fi環境があれば利用できます。留学先の大学や語学学校、ホームステイ先、学生寮の多くはWi-Fi環境が整っていますし、学生は普段から日本にいる友人や親族とはLINEで連絡を取っているようなので、連絡がつきやすいと考えています。
今後、この取り組みをどのように発展させていこうとお考えですか?
SPIRAL® のデータベースと連携して属性配信ができるようになったので、Excelで管理しているデータをデータベースに一括アップロードすることで、よりきめ細やかな属性配信を実施してみたいですね。
それとは別に、LINEによる情報共有も進めていきたいと考えています。これまでは大学のウェブサイトや掲示板を利用して情報の周知を行っていましたが、今の学生は自ら情報を拾いにいくというよりは、流れてきた情報が自分に関係あるかを確認するという感覚が強いと思います。そこで、LINEを利用して、興味のある分野に関する情報を発信することで、学生自身にとって大切な情報を確実に提供することができるのではないかと期待しています。