手作業による受講者の管理に限界。感染症対策や情報セキュリティ対策をしながら、年間8,000人もの受講者に対応しなければならなかった
SPIRAL® 導入の背景をお聞かせください。
元々、2010年ごろから建築士定期講習の申込みページをSPIRAL® で作って運用していましたが、申込み受付後の受講者の管理をほぼ手作業でこなしていました。受講料のお支払いに対する領収書を1枚1枚Excelで管理していたり、受講料の振り込みがあった受講者をリストから一つひとつ手動で消し込んでいたりと、とにかく申込処理に時間と手間がかかっていました。
この法定講習は、年によって受講者数が増減するため、その度に事務局が忙殺されていたのです。これまでは事務員7名の体制で、なんとか処理できている状況でした。
ちょうど2020年は受講者が増加するピークの年であり、例年の約4倍である8,000人超が受講すると見込まれていたため、どうにかして申込管理における手間やコストを削減したいと考えていたのです。
受講料の支払いについては、どのような課題がありましたか。
以前は口座への振り込みのみで受け付けていたのですが、振り込みの依頼人名や口座名義が受講者本人と違うトラブルが起きていました。例えば、個人名で申込みされているのに法人口座から振り込まれていたり、なぜかご家族の別名義の口座から振り込まれていたり…。受講者と決済情報が紐づけられていないことにより、お客様からは「振り込んだはずなのに振り込んでいないことになっている」といった苦情が年に数件ありました。
一方事務局では、申込情報を一度紙に印刷してファイリングし、領収書の内容と合致しているかといったチェックを目視でやっており、大変な労力がかかるうえにミスも起きやすい状態でした。
受講者から「クレジット決済に対応してほしい」というご要望をいただいていたこともあり、受講料の支払いにおける仕組みを整える必要があると考えていました。
講習会場の現場では、どのような課題がありましたか。
講習会場では受講者台帳を紙に印刷し、出席番号と顔写真、氏名で本人確認をしていました。受講者の方が、受講票の印刷方法を間違えていたり、何かトラブルがあると、その度に紙の台帳をめくって確認していたので、まったくスムーズではありませんでした。私たちが大変なだけでなく、受講者をお待たせしてしまうのは申し訳ありませんでした。
また、2020年には新型コロナウイルスの感染拡大もあり、受講者の中に感染者がいた場合に同会場で受講した方に通知ができるよう、より効率的に受講者の情報を管理し、一斉に連絡できる仕組みが必要になりました。
一連の管理業務の効率化を目指しながら、ユーザビリティを追求したシステムを構築。決済手段の追加や二次元コードによる受付など、
受講者・事務局双方で高評価
システム構築にあたって、どのように比較検討しましたか。
まず、これまでに導入していたSPIRAL® で新しく構築する方法と、エンジニアの方にフルスクラッチで構築していただく方法で比較検討しました。
その際に重視したのが、システム構築までにかかる日数です。建築士定期講習は国土交通省が所管しているため、講習実施の許認可を取ってから受付を開始する必要があります。受講者の募集期間や弊社の準備を考えると、許認可の取得から受付開始までの期間はなるべく短くしたいと考えていました。そうなると、フルスクラッチで開発するよりも既存のサービスを活用して構築したほうがスピーディであるとの結論になりました。特にSPIRAL® は、ゼロからの開発ではなくデータベースやフォームといった機能のパーツを組み合わせて構築するスタイルなので、開発期間はかなり短縮できると見込んでいました。
また先述のとおり、この講習事業は国土交通省の認可事業であることから、受講者の個人情報管理におけるセキュリティ面は重要な要素です。ツールの比較検討を進めていた頃、偶然にも国土交通省のメール配信にSPIRAL® が使用されていることを知り、それであれば十分なセキュリティを担保できるはずだと考え、最終的にSPIRAL® での再構築を決めました。
SPIRAL® の担当者からの提案を受け、どのようなシステムを構築しましたか。
講習の申込受付、受講者の管理、支払い状況の管理、当日の受付対応まで、SPIRAL® で一気通貫して対応できるシステムを構築していただきました。受講料の支払いに関しては従来の銀行振込に加え、新しくクレジット決済ができるよう、外部の決済代行サービスとSPIRAL® を連携させて対応しました。
また、受講後にメールを配信する機能を担当者の方にご提案いただき、新しく搭載しました。次回の受講期限が近くなったらリマインドすることで、受講者の集客アップが見込めます。
さらに、申込時の離脱率を防ぐための仕組みも取り入れました。以前は最初から最後まで入力が完了しなければ座席が確保できない仕組みだったため、一度入力画面から離脱してしまうとそのまま申込みが忘れられてしまうこともありました。そこで今回は、入力フローを「基本情報の入力」「必要書類の提出」「受講料の支払い」の3つのステージに分け、最初の「基本情報の入力」が終わった段階で座席を確保できるようにしました。これによって、座席の確保が終わった受講者に「必要書類の提出」と「受講料の支払い」のリマインドメールを送ることができるようになり、結果的に受講者数の向上を実現することができています。
その他、フォーム上で会場を選択する際には、都道府県の地図を表示して直接選べるようにしたり、文字やボタンをできるだけ大きくしたりと、視認性アップのために随所でこだわりました。
事務処理に必要な人数が7名から3名に。担当者の手厚いサポートのもと、SPIRAL® を基軸とした講習業務で集客アップを目指す施策も
受講会場での受付業務には、どのような変化がありましたか。
データベース連動型二次元コードリーダー「SPIRAL シャリーン」を導入したことで、二次元コードを読み取るだけで受付業務が完了するようになりました。受講会場には二次元コード読み取り用のタブレットを設置し、非接触で受付できるようになり、感染症対策にも配慮することができています。読み取りと同時に、その受講者の席番号やご本人の顔写真が表示されるため、本人確認と席の案内を効率化することができています。
SPIRAL® の導入で、どのような成果が得られましたか。
以前は、建築士定期講習の事務処理に7名体制で取り組んでいましたが、今では3名で十分業務を回せるようになっています。受講者が増加傾向にあるなかで、ここまで人員が削減できたのは大きな成果です。管理者向けページで受講者の情報を即座に検索できるので、受講者からのお問い合わせにも即座に対応できるようになりました。
また、決済代行サービスとのシステム連携により、受講料の支払いに関するトラブルはほぼ無くなりました。クレジット決済の結果は瞬時にSPIRAL® に反映されるため、リアルタイムで受講者のお支払状況を確認できるようになった点も高評価です。銀行振込だけの場合は、毎日夕方に口座を確認していましたが、今ではその手間がなくなっています。
あと、「SPIRAL シャリーン」による受付業務の効率化は、事務局だけでなく受講者にも喜ばれました。実際に「ここまでしっかりされて…凄いね」という嬉しいお言葉をいただいたこともあります。
SPIRAL® やパイプドビッツへの評価をお聞かせください。
今回の成果の背景にはSPIRAL® というツールの使い勝手だけでなく、粘り強くご提案いただいた営業担当の豆井さんのお力添えが大きかったとも考えています。私たちの業務フローを熟知いただいた上でご提案いただいたことにより、実装した機能の一つひとつがしっかり効果を発揮しました。また、受講者と弊社の事務担当者のユーザビリティを常に考えられていた点も高評価です。我々が納得いくまで、とことん仕様検討にお付き合いいただき本当に感謝しています。
今後の展望をお聞かせください。
建築士定期講習の業務は、今ではSPIRAL® が基軸となって進んでいます。今後もシステムの運用にあたって、担当者の方にサポートいただける点は非常に安心できますし、だからこそ、これからも採用し続けていきたいと深く感じています。
将来的な展望としては、もう一歩踏み込んで戦略的に受講者を増やしていくような施策に取り組んでいきたいですね。現在はリマインドメールで既存の受講者にアプローチできるようになっていますので、建築に関する別の資格の講習へのご案内にも活用したり、別のサービスをご案内したりといった、弊社との新しい関係性を構築するためにも活用できればと思います。