紙やExcelを用いたアナログな会員管理。手作業による事務対応や
会員からの問い合わせ対応などに膨大な手間と時間がかかっていた
SPIRAL® 導入の背景をお聞かせください。
当協会には、風力発電に携わる様々な企業・自治体様に会員としてご登録いただいています。登録会員は約550団体(2022年11月現在)、毎年30~50団体ほど増加しています。さらにその1会員ごとにそれぞれ数十名の所属従業員が当協会とかかわりをもっているため、会員データとしては非常に多くの個人情報をお預かりしています。
これまで会員情報の管理は、会員からの紙媒体での報告をもとに、協会でExcelに転記する手作業で行っていました。例えば新規入会の場合は、ホームページに用意したPDFに情報を記入して、メールやFAXで送っていただいた後、職員が情報をExcelに一つひとつ転記していきます。登録情報の変更や、退会をする場合も同様です。情報が手書きのため文字が識別しづらいうえ、手作業で入力し目視でチェックする流れだったので、どうしても時間がかかりますし、ミスも完全には防げません。特に年度の変わり目にあたる3~4月は、情報の反映が完了するまで最大1か月程度かかってしまうこともありました。加えて、会員企業の情報の変更内容が会員に通知されなかったので、会員自身も現在の自身の登録状況を確認できない状態でした。
また、当時はOutlookで会員向けメールマガジンや個別のお知らせなどを送信していたので、Excelで会員情報を更新した後、それをOutlookにも反映する必要がありました。情報の更新に膨大な時間がかかるうえ、誤配信してしまうリスクもありますし、個人情報の管理体制も万全とは言えない状況だったのです。
風力発電へのニーズの高まりもあり、ここ数年は会員が飛躍的に増えています。会員数の増加に伴ってこうした事務作業量も増大しており、本システム検討時の対応時間は年間約500時間に達していました。こうした状況に対して、単に人員を増やすだけでは根本的な解決になりません。会員管理における一連のワークフローを整備してシステム化することが、我々の課題解決に必要だと考えました。
多層的なデータベース構造で複雑な情報管理体系にも対応できる
SPIRAL® を選定。会員自身で情報を入力・参照できる仕組みを目指した
課題解決にあたり、どのようなシステム構築を目指しましたか。
Webサイトを通じて、会員が自身で会員情報を入力、参照できるシステムを目指しました。会員からリクエストを受けて、我々が情報入力や照会を行うのではなく、会員向けにマイページを提供し、自身の情報を直接操作できるやり方に変えようと考えたのです。
そのためには、Webサイトと連携したデータベースが必要になります。ExcelやOutlookで管理していた情報をデータベースで一元管理し、会員はもちろん、我々職員も情報の管理や検索を効率的に行えるシステムを目指しました。
そのシステム構築に、SPIRAL® を選んだ理由は何だったのでしょうか。
SPIRAL® を選定した理由は、大きく3つあります。
1つ目は、複雑な情報管理構造にも対応できる、柔軟なデータベース機能です。私たちの会員体系はかなり複雑です。先述のとおり、まず会員としての企業・組織があり、そこに紐づいて所属する従業員や職員の個人が存在します。さらにその個人は複数の部会やWG(ワーキンググループ)という協会の活動単位に参加しています。「議決権を持つ代表者として誰が登録されているか知りたい」「この個人が参加している部会を知りたい」「この部会・WGに参加する個人一覧を知りたい」と、様々な切り口で会員からも情報照会を行いたいニーズがありました。
そのためには、各情報を平面的に一層で管理するのではなく、二層、三層…と多層的に管理できることが理想でした。「企業」「個人」「部会」「WG」といったそれぞれのデータベースを連携させ、その連携設定を元に情報を集約した仮想的なデータベースを作成することで、様々な切り口での情報管理が可能になります。会員管理システムと銘打った色々なパッケージ製品を見ましたが、こういった要件に対応できる製品はほとんどなく…。SPIRAL® は標準機能で対応できたので、大きな選定理由の一つです。
2つ目は、強固なセキュリティです。会員には金融機関や法律事務所、或いは上場企業が多数おり、またセキュリティに厳しい外資系企業も少なくありません。協会として多くの個人情報を保有しているため、情報セキュリティ対策は非常に重要でした。SPIRAL® は高いセキュリティレベルが求められる金融機関にも豊富な導入実績があり、その点でも安心できました。
3つ目は、営業担当の方の手厚いサポートです。一般的に、システム導入はシステム部門が行うものですが、当協会にはシステム部門がありません。知見が豊富とはいえない我々に、パイプドビッツ社の担当の方はしっかりと寄り添ってくださり、複雑な要件定義から実際の開発まで真摯にご対応くださいました。
要件定義だけでも半年ほど、開発全体では1年ほどかかりましたが、根気強くサポートしていただきました。それは、システム運用を開始して2年ほど経った今でも同じです。サポート面の手厚さは他にはないSPIRAL® の魅力でした。
年間500時間の事務作業時間を大幅に削減。情報更新の即時反映により、
タイムリーな会員活動が可能に
SPIRAL® で構築した会員管理システムの成果はいかがでしょうか。
入会申請から、登録情報の照会・変更申請、メールマガジン配信登録などをすべてWebサイトから会員自身で行えるようにしたことで、我々が手作業でやっていた事務対応はゼロになりました。退会だけは押印の関係で、スパイラルで手続きが完結するわけではありませんが、申請だけは行うことができます。手続きは会員がマイページ上で自身の情報を操作すると、それがそのままデータベースに直接反映されるので、反映までに要していた時間も無くなり、常に最新の情報が確認できるようになっています。会員自身が最新の情報を照会できるようになったことも、大きな成果です。
参加する部会・WGの登録・変更や、メンバー確認もすべてマイページからできるようにしました。今までは問い合わせいただかないとご案内が難しかったことも、マイページを見ていただければ完結しますので、会員・事務局双方にとって大きな効率化となっています。
また、メールマガジンの配信もSPIRAL® で行えるようになったことで、それまで抱えていた誤配信のリスクや、スパム判定されてしまわないかといった懸念からも解放されました。ExcelやOutlookなどに散らばっていた情報が、SPIRAL® という同一のプラットフォームの中で安全に一元管理できるようになったことも大きな成果です。
加えて、入会金に関する対応において、入金が確認できない場合は一定のタイミングで催促メールを自動配信するようにしました。今までは人の記憶に頼っていたので、未入金や誓約書の未回収などの不備が度々発生していたのですが、システムが対応のサポートをしてくれるようになり、事務局側のヒューマンエラーの防止にも役立っています。
兎にも角にも、年間500時間かかっていた会員管理の事務作業と会員からの照会対応が、SPIRAL® 導入後に大幅に削減できたことは大きな効果です。会員数が増加する中で、もしSPIRAL® を導入していなかったら…と考えると、少し怖いですね。
SPIRAL® 及びパイプドビッツについての評価をお聞かせください。
SPIRAL® は柔軟なデータベース機能を基盤に、顧客ニーズに合ったシステムを構築できるのが魅力ですね。システムに業務フローを無理に合わせるのではなく、業務フローに合ったシステムを構築したいと考えていた我々にとって、最適なツールだと思います。
一方で、業務フローをシステムに落とし込むには、そのフローだけでなく我々協会の組織のことを理解していただかなければできないことです。妥協せず、密にコミュニケーションをとり続けてくれたパイプドビッツ社の方々だからこそ、ここまで成果を上げるシステムができたのだと思います。
ちなみに、システム運用開始時に会員向けにオンライン説明会を開催したのですが、マイページの操作方法など技術面における説明は営業担当の方が登壇して案内してくださいました。システム構築だけにとどまらず、フォローアップも含めてプロジェクト全体を一緒に進めてくださるところが、パートナーとして本当に心強く、ありがたいです。
風力発電に関する国内外の情勢が目まぐるしく変化する中で、当協会の活動や組織体制が今後変化していく可能性も十分に考えられます。SPIRAL® はそういった変化にもフレキシブルに対応できるプラットフォームですので、今後も長くサポートをいただきたいと思っています。