SIerによるSaaS提供CRMソリューションで、
ファンビジネスマーケットのニーズに応える
本日はよろしくお願いします。まず初めに、御社が提供されている「トータルCRMソリューション」について教えていただけますか。
株式会社日立ソリューションズ全体としては、金融機関や製造業、官公庁などのクライアントに対するシステムの受託開発が主な事業ですが、私が所属しているサービス・インテグレーション本部では、お客様個別案件の受託ではなく、業界や業態に共通するニーズに横断的に応えるサービスを企画し、マーケットに新しい価値を提案しております。今回SPIRAL® を採用させていただいた「ファンビジネス向けトータルCRMソリューション(以下、トータルCRM
ソリューション)」がそういったサービスの一つとなります。
もともと、私はこのサービス企画を社内で立案し、テストマーケからサービス設計までをメインで担当していた経緯もあって、現在「トータルCRM
ソリューション」の提案からお客様毎のカスタマイズ設計、運用フォロー等の全てを統括しています。
「トータルCRMソリューション」を既に導入しているお客様はいらっしゃいますか?
はい、複数のプロ野球球団、およびサッカークラブでご利用いただいており、第1号のお客様として株式会社ヤクルト球団様(以下、ヤクルト球団様)にご導入いただいております。現在では、プロ野球、サッカーに限らず他のスポーツやエンターテイメント事業といったファンビジネスでお悩みのお客様から引き合いをいただいております。
座席の価値を「見える化」
CRMソリューションで実現したチケット販売から売上アップまで
ヤクルト球団様に「トータルCRMソリューション」を導入いただいた経緯やきっかけなどをお聞かせいただけますでしょうか。
球団のスポンサーを弊社がさせていただいていることもあり、『チケット販売を自社で行いたい』とご相談いただいたのがきっかけです。
当時、チケット販売はプレイガイドに全て委託していた為、「球場に来ていただくお客様がどんな方々か分からず、ファンのニーズが見えない」と不安を抱えておられました。また、昔に比べテレビ放映が少なくなった今、放映権による売上以外のチケットやグッズ、飲食の販売といった売上を強化していかなければなりませんでした。
さらに、球団が運営する会員組織が複数存在しており、会員データが統合されていない為、ファンにとっても決して分かりやすいとはいえない状況だということが分かりました。
そうした状況を解決し、ファンにもっと球場に足を運んでいただき、ファンと球団とがより密接な関係を築いていくために、球団の戦略としてCRMに取り組むことを提案しました。
最初はチケット販売を中心にSIで提供することも検討しましたが、価格ならびに納期においてお客様の検討に乗らない点と、他の球団や業界にも同様のニーズがあると判断し、クラウド上でSaaSモデルとして提供することにしました。また、お客様からも個別の開発案件でなく、CRMのソリューションとして提供してほしいという要望も重なり、「トータルCRMソリューション」が世に出ることになりました。
ヤクルト球団様の場合は「トータルCRMソリューション」はどのように使われているのですか?
基本機能は、会員管理、ポイント管理、チケットの販売、そして分析などです。
「スワチケ」というチケット販売サイトの管理を始めとして、「Swallows CREW」という、公式ファンクラブの会員データベースとして利用していただいております。
「トータルCRMソリューション」を導入されたことで、具体的な成果は挙がりましたか?
はい。
目に見える効果としては、それまで全く知ることのできなかった、チケット販売データと購入者データが紐付いて見られるようになったことです。
チケットの販売データを分析することで、シーズンを通して人気のある席・ない席もはっきりと分かるようになり、球場に足を運んでもらうための効果的な施策を打てるようになったことは大きな成果です。その結果、今シーズンは動員数・売上ともに大きく昨年を上回ることができました。
ゼロからの開発が面倒なメール配信
SPIRAL® 導入で工数・コストを抑え、さらに安定稼動
大きな成果を挙げられている「トータルCRMソリューション」の中で、SPIRAL® はどのように利用されているのでしょうか。
主に会員向けのメール配信と、ホームゲームの来場者向けに開催するクイズキャンペーンで利用させていただいております。
SPIRAL® と「トータルCRMソリューション」の間での会員データの同期については、SPIRAL® APIでシステム連携しています。
クイズキャンペーンは毎日異なるクイズを球団担当者がSPIRAL® 上で構築した専用画面で作成、管理しています。
御社は日本でも有数のシステムインテグレーターです。
なぜ、メール配信機能を自社で開発されなかったのでしょうか?
一言で言うと、「メール配信はとても大変」なんです。
過去のプロジェクトでメール配信の機能を開発した経験もあるのですが、正直、毎回ゼロから開発する機能ではないな、と感じていました。
特に携帯向け配信を安定稼働させるのは大変でした。お客様はシンプルに「なぜ送ったのに届かないんだ?」とおっしゃいますし、携帯向けにメールを大量に配信するとブロックがかかるなど、技術的な課題もたくさんありました。
そうした経験から、既に実績もあって安定稼働しているシステムがあれば、それを使わせていただくのが早いし安全だと考えました。結果的にコストも安くなりますしね。
データベース、メール配信、
フォームAPI連携、PHP対応ウェブ機能・・・
SIerに理解しやすい「SPIRAL®」
メール配信システム選定時のお話やSPIRAL® のどのような点をご評価いただけたのか、お聞かせいただけますか?
メール配信システムの選定にあたっては、まず元々お付き合いのある会社様や、業界で実績があって有名と言われている会社に問合せしたのですが、実は恥ずかしながら、その時点ではパイプドビッツのことは存じ上げませんでした。たしか、Webで検索してお問い合わせしたと思います。
初はSPIRAL® を含め8製品ほど比較させていただいておりましたが、1)メール配信システムとして最低限の機能、2)開発の知識がなくても操作できる配信画面、3)Webフォーム作成機能、4)システム連携ができるAPI機能、5)配信数ではなく会員数に応じた価格帯、といった機能要件を満たしていた3製品ほどに絞りました。
残った3製品から最終的な決断まで、どのように絞りこまれたのでしょう?
当社はシステムインテグレーターですから、採用したシステムによって開発範囲に制限があると非常に困るわけです。比較した中で、配信連携要件を最も満たしていたのがSPIRAL® でした。また、Web機能においてもSaaS展開しているサービスもあったのですが、想定できない顧客要望が発生することも想像できたので、SPIRAL® のWeb機能がPHPでカスタマイズできる点も評価できました。実際、球場アンケートもSPIRAL® で実現できました。この連携のしやすさと実績、それからWebまわりの柔軟性が大きかったです。
また、選定前には各社に色々と細かい要望をさせていただいたのですが、その全てに対して営業面やテクニカルなQAにもスピーディーかつ真摯にご対応いただけたのは、パイプドビッツさんだけでした。
サポートレベルの高さは抜群
丁寧・スピーディーな対応で、設定に慣れていない開発者も安心
システムインテグレーターの御社から見て、弊社の技術的なサポートはご満足いただけましたか?
大変満足しています!
今回はAPIを使った開発でしたが、サポートレベルは他のベンダーさんと比べても群を抜いていると感じます。メールだけでなく、電話でも回答をいただけるのが良かったです。また出来ないことは、はっきりと「出来ない」と言っていただけたのも信頼できました。我々は、プロジェクト中、いろいろと注文してしまっていたのですが、それに対しても丁寧かつスピーディーにご対応いただいたのがとても印象深いですね。
今回は初めての案件ということで感触を確かめながら進めていきましたが、今後も安心して開発をすることができるな、と感じています。
システムとしてのSPIRAL® はいかがでしょうか。
PaaSという設計思想が気に入っています。
特にプラットフォームの構成がデータベースを中心として、メール配信やフォーム作成の機能があるのも我々SIerからしてみると非常に理解しやすく、実際に構築する担当者へのウケは良かったです。今後さらに使いこなしていって、サービス開発の幅を拡げていきたいですね。