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今さら聞けないIT用語。SaaSとPaaSのそれぞれの意味と違い

掲載日:2018年4月5日更新日:2024年2月21日

世界中で年々拡大するクラウド市場。 クラウドにも違いがあって利用モデルとサービスモデルに分類されます。 利用モデルにはプライベートクラウドやパブリッククラウドなどがあります。

SaaSとPaaSは、クラウドのサービスモデルでいえばプライベートクラウドです。 聞いたことはあるが、具体的にどのようなものなのかはよくわからない。 そんな方のために、SaaSとPaaSにフォーカスを当ててそのサービス内容や特徴、メリット・デメリット、選び方などを紹介していきます。

プライベートクラウドとパブリッククラウドについて

プライベートクラウドとは?

プライベートクラウドとは、企業などが自社のネットワーク内で社員を対象につくるクラウド環境のことをいいます。 企業の狙い通りにつくれますが、高い技術力と運用能力が求められ、パブリッククラウドよりもコストがかかります。 世界的な大企業や高度なセキュリティが要求される金融・保険業や公共機関などで採用されています。

パブリッククラウドとは?

パブリッククラウドとは、クラウド事業者が提供するクラウドコンピューティング環境を、インターネットを通じて企業や組織など不特定多数の利用者に提供するサービスです。 利用者はハードウェアや通信回線などを自分では所有せず、クラウド事業者が提供するクラウド環境を共有しながら使用します。 プライベートクラウドよりは低コストで利用でき、運用管理の負担が少ないという特徴があります。

SaaS・PaaSはパブリッククラウドに分類される

SaaSやPaaSはパブリッククラウドです。 パブリッククラウドサービスは大きく分けて3種類あります。 ソフトウェアを提供するSaaS(Software as a Service)、プラットフォームを提供するPaaS(Platform as a Service)、仮想サーバやネットワークなどのインフラを提供するIaaS(Infrastructure as a Service)です。

SaaSとは?

SaaSとは、主に業務で使用するソフトウェア(WindowsなどのOSやアプリ)の機能をインターネットなどのネットワークで、その企業が必要な分だけサービスとして利用できるものです。

1つのサーバを複数の企業で共有する形でのサービスを提供します。 セキュリティを考えて、利用する企業ごとにデータは分離されています。 SaaSはインターネットを経由してアクセスできるので、オフィスのパソコンのみならず、外出先からもスマートフォンやタブレットでも利用することができます。

電子メールやスケジュール、営業情報などを社内・部内など複数のメンバーで共有できるサービスの採用があらゆる企業で増え続けています。

SaaSで提供されている主なソフトウェアには情報系の電子メール、グループウェア*、CRM(Customer Relationship Management 顧客管理システム)**などがあります。

SaaSの代表的なものには、Google社が提供するG Suite(旧Google Apps)やセールスフォース・ドット・コムのCRM、グループウェアのサイボウズではKintone、マイクロソフトのOffice365などがあります。

*グループウェア:企業などの組織に所属する人々のコミュニケーションを円滑にし、業務の効率化を推進するためのツール。

**CRM:売上・利益に貢献する優良顧客を増やしてビジネスを成功に導く、顧客志向のマネジメント手法のこと。

SaaSのメリット・デメリット

メリット

〇常に最新機能を利用できる。

ソフトウェアの更新はユーザー企業側ではなく、クラウド事業者側が行い、最新機能を使えます。

〇導入までの納期を大幅に短縮。

契約を完了してユーザーアカウントを登録すれば、すぐに利用することができます。 パッケージソフトを購入する場合と比較して、導入時間を短縮できます。

〇設備投資の削減によるコストダウンを実現。

ユーザー企業側の自社構築と比べて、ソフトウェアの購入は不要。 初期コストや運営コストも抑制し、利用料金のコストダウンが図れます。

クラウドシステムのメリットについて知りたい方は、「システム開発プロジェクトにおける、クラウド化のメリットは?」をご一読ください。

デメリット

〇自社構築と比べて、ソフトウェアのカスタマイズの自由度が低い。

自社構築がオーダーメイドとすると、SaaSはいわばイージーオーダー。 クラウド事業者側で用意されているソフトウェアでは、ニーズに応えられない場合もあります。

SaaSを代表するG Suite(旧Google Apps)でできること

SaaSで実際、どのようなことができるのか、G Suiteを例に取り説明します。 G SuiteはGoogleが提供するクラウド型アプリケーションです。 GmailやGoogleカレンダー、文書作成や表計算、ハングアウトを利用したビデオ会議、ドキュメントファイルの共有など。

ビジネスに不可欠な機能が、インターネットの接続環境さえあれば、パソコンやスマートフォン、タブレットなどデバイスを問わずどこでも利用可能。 個人でGoogleのツールを利用している人は大勢いますので、導入もしやすく作業もストレスなくできます。

G Suiteの特徴

〇情報の共有化と共同作業の最適化。

G Suiteの提供するサービスはどれもWeb上のサービスで、アプリケーションの連携も軽快に行えます。 G Suiteを利用すれば、仕事用のファイルはクラウドに保存して共有し、パソコンやスマートフォンからアクセスできます。 共同作業においてデータをやり取りする必要がないので、工程が減り作業の効率を高めます。

〇いつでもどこでもアクセス可能。

クラウドサービスなので、出張などで遠距離にいる社員ともスマートフォンからリアルタイムにデータのやりとりなどが行え、情報時差をなくします。

〇コミュニケーション効率を向上。

ハングアウトがあれば、外出先での即席ビデオ会議やチャットメッセージの交換が行え、コミュニケーションの効率を高めます。

〇アップデートは不要。

G Suiteでは、アプリのデータやソフトウェアはサーバ側に存在するため、利用者はどの機能もいつも最新版の状態で使えます。 利用者がアップデートする必要はありません。

〇文書も動画もたっぷり保存、共有もできる。

あらゆるファイルを保存できる大容量オンラインストレージ、Googleドライブ。 文書から写真や動画など、さまざまな社内の情報資産を簡単に共有可能。 ファイルをメール添付する必要はもうありません。

PaaSとは?

PaaSは、アプリケーション開発環境(アプリケーションソフトウェアを稼動するための土台)となるプラットフォーム(OS/ネットワーク/フレームワークなどの運用基盤)を、インターネット上のサービスとして提供するサービスのことをいいます。

自社でアプリケーション開発環境を立ち上げるのには、多くの時間を費やします。PaaSにはJavaやRubyなどのプログラミング言語に応じたアプリケーション実行環境やデータベースが備わっていますので、インフラの構築や運用保守などをせずに、運営するためのプラットフォームを使えます。それにより、短期間でアプリケーションを開発でき、顧客に早くサービスを提供できるようになります。

SaaSでは決まったソフトウェアをサービスとして提供されますが、PaaSは自社で開発したアプリケーションを使えますので、アプリケーション活用の自由度が高いという特徴があります。

主なPaaSには、SPIRAL、Google App Engine(Google Cloud Platform)、サイボウズのKintoneなどが挙げられます。

PaaSのメリット・デメリット

メリット

〇開発環境の整備に必要なサーバ、OS、データベースやミドルウェアのインストールが不要。

インストールの手間と時間が省けるため、開発者は開発作業に集中することができます。

〇開発環境構築にかかるコストとリスクを削減。

開発環境構築にかかるサーバやOSなどの初期費用を削減。アプリケーションの開発に伴うコスト面でのリスクを抑えて迅速な環境構築を可能にします。

デメリット

〇環境を自由に選択できない。

提供された環境内でしかつくることができないため、異なるプラットフォームを利用したい場合に弊害となってしまいます。

SaaSとPaaSの違い

SaaSとPaaS、それぞれの特徴を説明しましたが、実際には企業では単独ではなくてSaaSとPaaSを組み合わせたものやPaaSとIaaSを統合したサービスなどの提供を受けています。

SaaSとPaaS、IaaSではクラウドサービスの範囲が違います。違いを下記の図にまとめました。

SaaSはPaaSのインフラやプラットフォームに加え、アプリケーションも利用可能な状態になって提供されているサービスです。

PaaSのサービスは、IaaSのインフラに加えてプラットフォーム(OS/ネットワーク/フレームワークや開発環境)がセットで提供されています。

IaaSはインフラとしてクラウドサーバ(仮装サーバ)そのものを提供するサービス。柔軟性が最も高いものの、利用には一定の知識が必要です。

SaaSとPaaSの選び方

クラウドサービスを利用している企業は2016年で46.9%

「平成29年版情報通信白書」によりますと、クラウドサービスを利用している企業は2015年の44.6%から2016年には46.9%と確実に上昇しています。 利用の高い順でいうと、SaaS、IaaS、PaaSになります。

SaaSとPaaSは適材適所で選ぶ

アプリケーションをネットで利用するSaaSは、メールやグループウェアなどに使われていていちばん身近なクラウドサービスです。

SaaSはアプリケーションなどがすぐに使えるメリットはありますが、アプリケーションはクラウド事業者側で限られる場合もあります。 特にIT企業などは、アプリケーションやプログラムの開発環境を提供、アプリケーションの自由度がより高いPaaSを選びましょう。

たとえば、スピードと精度が求められるスマートフォン用アプリケーションの開発などに適しています。 自社構築されている企業でサーバのコストダウンと運用の効率化をお考えでしたら、IaaSを導入すれば、サーバを仮想化することでサーバの台数を減らすことが可能となります。

おわりに

SaaSとPaaSをメインに解説しました。 プライベートクラウドサービスとパブリッククラウドサービスの異なる点ややSaaSとPaaSの違いはおわかりいただけたのではないでしょうか。

ただクラウド化すればいいというものではありません。 貴社の求めるクラウドサービスはSaaSとPaaS、この二つのうちどちらがふさわしいのか。特徴をきちんと把握しておくことが重要です。 業種・業態やクラウド化への課題などを十分に踏まえて適切な導入をご検討ください。

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