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ARTICLEBuddyPressとは|活用事例や導入に向いている企業の特徴を解説
BuddyPressはWordPressで非公開のコミュニティを作ることのできるプラグインです。この記事では、そんなBuddyPressの特徴だけでなく、活用事例、導入に向いている企業・向いていない企業まで詳しく解説します。
目次
BuddyPressとは
BuddyPressとは、WordPressに非公開のコミュニティサイトを作ることのできるプラグインです。
WordPressには「WP-Members」や「Theme My Login」など会員制サイトを作ることのできるプラグインが存在します。
BuddyPressがそれらのプラグインに比べて優れている点は、コミュニケーション機能が非常に豊富であることです。
また、BuddyPressは他のプラグインにはない魅力的な機能が搭載されているにも関わらず、全ての機能が無料で使うことができます。
そのため、会員制サイトを作る際に注目される機会の多いプラグインの一つです。
BuddyPressでできること
BuddyPressができる機能には主に、以下に挙げられるものがあります。
- 会員の属性分け
- プロフィールページの編集
- ユーザ情報の管理
- フレンド機能
- DM機能
- 通知機能
- グループ作成
会員の属性分けとは、「生徒」と「教員」、「自社社員」と「クライアント」のように与える権限を分ける目的で使われる場合が多いです。
ここにあげた特徴をみてお気づきの方もいらっしゃると思いますが、BuddyPressは普段使っているSNSと似た機能をもつコミュニティサイトを作ることができます。
BuddyPressの使い方【活用事例から学ぶ】
ここではBuddyPressの実際の活用事例を元に、BuddyPressの使い方をご紹介します。
BuddyPressにできることはなんとなく理解できたが、実際にどのようなサイトを作ることができるのか想像がつかないという方も多いのではないでしょうか。
そこで、実際に導入されている例と目的や用途を細かく解説します。
自社の求めるサイトに近いケースがある場合はぜひ参考にしてみてください。
導入事例
BuddyPressが用いられる場面の特徴として、限られた人の集まる領域において知識や交流を深める使い方が多いという点が挙げられます。
ここでは、特にその特徴が顕著なサイトを4つご紹介します。
CUNY Academic Commons
CUNY Academic Commonsはニューヨーク市立大学の学生、教職員が利用するクローズドコミュニティで、現在は3500名が利用しています。
ニューヨーク市立大学は24の大学や大学院によって構成されている教育機関群です。
CUNY Academic Commonsは、同じ大学内に複数存在する学術分野や大学間のコミュニケーションを横断的に行うことを目的に作られました。
CUNY Academic CommonsではBuddyPressの機能を使って、「学生」「教員」「大学スタッフ」などの属性分けを行うことで円滑なサイト運営を行なっています。
CUNY Academic Commonsはクローズドなコミュニティだけでなく、研究分野ごとに所有するサイトは一般向けにも公開されています。
非公開コンテンツと公開コンテンツの併用を検討している場合はぜひ参考に閲覧してみると良いでしょう。
特に、公開コンテンツでは現在話題になっている社会的話題についてのメディアやコンテンツも更新されているため、「教育コンテンツ」や「学校向けコミュニティ」の作成を検討している企業にとっては興味深いサイトではないでしょうか。
Shift.ms
Shift.msは「多発性硬化症」という難病の患者とその家族などで形成されたコミュニティサイトで、現在37,000名以上が利用しています。
多発性硬化症は日本ではあまり聞き馴染みのない疾病かもしれませんが、欧米を中心とした海外ではよく知られている難病です。
しかしながら、2009年当時、ネット上では多発性硬化症の有用な情報が得られませんでした。
この現状に疑問を感じた当時の患者と周囲の支援者が立ち上げたコミュニティサイトが今のShift.msの前身です。
Shift.msでは、精神面でのサポートなど患者の個人的な情報に触れる場面もあるため、クローズドなコミュニティを形成しています。
難病とは疾病の原因や治療法の確立されていない疾病のことですが、特定のコミュニティ内でのみ治療法などの情報を共有していては多くの患者へ情報を拡散することはできません。そのため、複数のコミュニティを形成して横断的に情報共有のできるBuddyPressを使って会員制サイトを作っています。
また、Shift.msの特徴として多発性硬化症の病理研究をおこなっている研究者も参加しているため、最新の正確な情報を得られるようになるという点が挙げられます。
このように、少数の未開拓領域における理解を深めることを目的とした会員制サイトの構築を検討している場合に参考になるサイトの一つです。
Independent Fashion Bloggers
Independent Fashion Bloggers(通称IFB)はファッションブロガーの情報共有を目的としたクローズドコミュニティサイトです。
ファッション業界の特徴に、メディアや広告の影響力に依存しやすいという点が挙げられます。
特に、ファッションのトレンドには世間一般の趣味趣向の変化が大きく影響します。
ただし、デジタルマーケティングなど領域を専門的に学んでいない場合は、有用な知識を得ることは困難です。
そこで、IFBはユーザーが有効だと感じた施策の共有を行うことを目的に作られました。
また、IFBはブランドのプロモーションに参加する機会を設けることも目的としています。
ファッションブロガーの仕事はトレンドを紹介するだけではありません。
自身でブランドを立ち上げたり、企業とともに新たな事業を起こす場合もあります。
特に、有名ファッションブロガーでは数百万ドル規模の事業やブランドを立ち上げることも珍しくありません。
IFBはブランド設立や販売促進のきっかけとして機能することも目的にしています。
IFBはこのように、企業とユーザーが交流する場合もあるため、非公開なやりとりが可能なBuddyPressが導入されています。
また、BuddyPressの導入により「ブロガー」と「企業」という属性に分けて、それぞれ異なる情報の共有を行うことも可能になります。
会員サイトを専門知識の共有の場や、リクルートサイトのような企業とユーザーの相互コミュニティとして運用することを考えている方は、ぜひ一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。
Temple MIS
Temple MISはテンプル大学の経営情報システムという学問を学ぶ「学生」と「教職員」のコミュニケーションを目的としたクローズドコミュニティです。
このサイトの最も大きな特徴は、サイトの構造を学生に公開しており、実際に独自のサイトの作成などの操作ができる点です。
経営情報システムとは、経営組織内で扱われる情報共有システムのことです。
具体的にはデータの入力や情報の処理、管理レポートの出力などを行うことです。
この分野を学ぶ学生は、Webアプリケーション開発やデータ分析の技術を用いて設計、構築、展開、保護、評価といった技能を学びます。
そのため、自身で必要な要件を想起し開発する能力の醸成も求められます。
Temple MISは単なる学習管理システムとしての役割だけでなく、開発プログラムも実践を通じて学ぶことができ、経営情報システムを学ぶ学生に効果的なサイトです。
情報学に関する技術を学ぶツールとして考えている場合だけでなく、ケーススタディの教材として想定している場合にも参考になるサイトです。
BuddyPressの強み・弱み
BuddyPressには他のプラグインにはない強みが存在しますが、同時に特有の弱みも存在します。
どちらもしっかりと理解することで
BuddyPressの特徴を隈なく把握することでミスマッチを減らせるようにしましょう。
BuddyPressの強み
BuddyPressには、他のプラグインにはない特徴が数多く存在します。
ここではその中でも特に重要なBuddyPressの強みとなる特徴を紹介します。
コミュニティ機能に特化
BuddyPressはコミュニティ機能に特化しています。
会員制サイトを作ることのできるプラグインはいくつか挙げられますが、BuddyPressのようにコミュニティに関する多彩な機能は搭載されていません。
多くは、「投稿にコメントをする機能」がついている程度です。
初期設定の段階から「メッセージのやりとり」「コミュニティグループの設定」などの機能が使えるプラグインはBuddyPressのみです。
テーマとの親和性が高い
BuddyPressはテーマとの親和性の高いプラグインです。
テーマとはWordPress全体のデザインや構成を変えることのできるテンプレートのことです。
テーマをインストールすることでHTMLやCSSなどの専門的な知識がなくても誰でも簡単にサイトのデザインができるようになります。
プラグインの中にはテーマとの相性が悪いものもあり、テーマのデザインが崩れてしまうものやプラグインの動作に不具合がでてしまうことがあります。
BuddyPressはテーマとの親和性が高くなるよう設計されているため、このような問題が起こりにくいことが特徴です。
更新頻度が高い
BuddyPressは比較的、頻繁に更新されているプラグインです。
プラグインは定期的に更新が行われていないとさまざまな支障が生じてしまうことがあります。
WordPressは主にPHPという言語で開発されています。
このPHPは一定期間でバージョンアップされるため、更新に応じてプラグインも細部の変更が必要になる場合があります。
この対応のできていないプラグインの場合は、動作に不具合が起こることやセキュリティ上のリスクが高まることがあります。
そのため、更新頻度の高いプラグインであるBuddyPressは安心して使うことのできるプラグインであると言えるでしょう。
BuddyPressの弱み
ここではBuddyPressの弱みを紹介します。
強みだけでなく、弱みとなる場合のある特徴も理解しておきましょう。
初期設定だと英語表記
BuddyPressは初期設定時、英語表記になっている場合があります。
「設定」「更新」などの項目も英語で表記されていることがあります。
専門用語や難しい単語は多用されていないため、英語表記のまま使うことも可能です。
ただし、解釈の齟齬が生まれる危険性や英語に不慣れな社員が扱う場合の効率性には注意が必要です。
BuddyPressを日本語設定に行うことも可能ですが、全ての項目での日本語化は行われておらず英語のまま使用せざるを得ない場合もあります。
掲示板がない
BuddyPressには「掲示板機能」がありません。
掲示板とは、ユーザーがWebサイトに記事や投稿を行うもので、電子掲示板やBBSと呼ばれることもあります。
掲示板は、主に時系列で表示されますが、記事同士の間で相互表示させるといった機能を使うことができる場合もあります。
掲示板の表示手法は、近年ではチャット型のSNSに踏襲されており、掲示板機能にこだわる必要性を感じる方は少ないかもしれません。
ただし、不特定多数のユーザーに意見を求める場合などには掲示板の方が有効活用できることがあります。
そのため、用途や目的によってはBuddyPressの機能だけでは物足りなく感じるかもしれません。
BuddyPressの導入が向いている企業・向いていない企業
ここでは、BuddyPressに向いている企業と向いていない企業を紹介します。
自社の要件がどちらに近いのか照らし合わせてみてください。
BuddyPressの導入が向いている企業
BuddyPressの導入が向いている企業には次のような特徴が挙げられます。
- 会員制のクローズドフォーラムを作りたい
- ユーザー同士の決済機能をつけたい
- 新規SNS開発のノウハウを集めたい
BuddyPressは会員制のクローズドコミュニティを作るにはぴったりのプラグインです。
クローズドコミュニティの作成に、他のプラグインの導入やプログラミングの必要がないという点が最も大きな特徴です。
また、新しくSNSアプリなどの会員制コミュニケーションツールの開発を検討されている場合にもおすすめです。
すでにWordPressを運用できる状態であれば、無料で仮想環境の構築が行えます。
特に、SNSは「既読機能」「ブロック機能」などの選択がユーザビリティに大きく影響することもあります。こうした機能の調査や実証を、無料かつ容易に行うことのできるBuddyPressはSNS開発のノウハウ蓄積に適したプラグインであると言えます。
BuddyPressの導入が向いていない企業
ここではBuddyPressの導入に向いていない企業を紹介します。
BuddyPressは無料のプラグインですが、適していないプラグインを導入すると時間や人員などのリソースを有効活用できなくなってしまいます。
しっかりと自社の要求に合致しているのか確認した上で導入を検討しましょう。
掲示板を作りたい
会員制サイトの中に掲示板を作ることが主な目的である場合はBuddyPressの導入に向いてません。
BuddyPressには掲示板を作る機能が備わっていません。
プラグインを導入する際は、使わない機能をなるべく無効化するかそもそも導入しない方が良いとされます。
使用しない機能を搭載したままだと、他のプラグインとの相性が悪い場合は不具合を誘発する要因になるためです。
そのため、必要のない機能を多く含む、BuddyPressの導入はおすすめできません。
掲示板を作成したい場合は、BuddyPressではなくプラグイン「bbPress」の導入がおすすめです。
bbPressは掲示板の作成に特化したプラグインです。
「匿名投稿」「改訂機能」「返信スレッドのルール設定」などの機能もついており、本格的な掲示板の作成ができます。
記事へのコメント機能のみで充分
記事へのコメント機能は欲しいが、チャットのようなコミュニケーション機能は不要という場合はBuddyPressの同様は適していません。
記事へのコメント機能の付与はBuddyPress以外のプラグインで作成できるためです。
BuddyPressでは目的に対して過剰な機能が搭載されています。
記事へのコメント機能を付与した会員制サイトを作りたい場合はプラグイン「WP-Members」の導入がおすすめです。
WP-Membersは無料で本格的な会員制サイトの作れるプラグインです。
WP-Membersの管理画面はWordPressのデザインと似ているため、WordPressに馴染みのある方は感覚的に扱うことができます。
また、会員制サイトに必要な機能を多く備えているため、一つのプラグインのみで会員制サイトの作成を完結することも可能です。
BuddyPressの導入する際によくある疑問
ここでは、BuddyPressを導入する際に疑問に感じることの多い点について解説します。
プラグインは専門用語が多く、分かりづらいと感じることも多いと思います。
特に、BuddyPressは英語が多用されており、ニュアンスの違いなどから解釈に誤りが生じていないだろうかと気になる場合もあると思います。
ここに挙げられた疑問を参考にしてさらに理解を深めましょう。
セキュリティは万全?
BuddyPressは1年に4回~5回のペースで更新されており、比較的頻繁に更新し続けられているプラグインです。
更新の頻度の高いプラグインは、もしもセキュリティに脆弱性が見つかっても日にちを開けずに対策を講じやすくなります。
セキュリティの弱点が見つかってから対策が講じられるまでの無防備な状態をサイバー攻撃のことを「ゼロデイ攻撃」と呼びます。
「企業のネットワークに『ゼロデイ攻撃』で侵入されてしまった」「『ゼロデイ攻撃』で機密情報が漏れてしまった」といったニュースを聞いたことがある方もいると思います。
更新頻度が高いことからBuddyPressはこのゼロデイ攻撃に対して、比較的強いプラグインであると考えることができます。
それでも情報漏洩などのリスクを不安視する場合は「WangGuard」などのスパムユーザーの会員登録やコメント投稿をブロックするプラグインを導入すると安心材料になるのではないでしょうか。
完全に非公開?
BuddyPressを導入するだけでは完全に非公開な会員制サイトを作ることはできません。
サイト全体の画面はリンク(URL)さえ分かれば閲覧ができてしまうためです。
また、BuddyPressには特定のページを閲覧制限する機能がありません。
完全に非公開の会員制サイトを作りたい場合は、会員でなければサイト全体の閲覧が制限される「Members Only」や、コンテンツを会員の権限の有無で閲覧できるか制限する「WordPress Access Control」といったプラグインを導入すると良いでしょう。
日本語版はないの?
BuddyPressは日本語で表示されないことがあります。
主に英語で書かれていますが、難しい単語ばかりではないため使用に支障は出にくいです。
しかし、英語で書かれていることから解釈に齟齬が生まれやすく、日本語で使いたいと考える方もいるでしょう。
BuddyPressを日本語で表示させる方法に、WordPressの翻訳プラグイン「GlotPress」の使用が挙げられます。
ただし、GlotPressの翻訳は全てのページで行われているわけではないという欠点があります。
そのため、BuddyPressの日本語化を行っている有志の団体が集う「Googleグループ」を参考にしてみても良いでしょう。
強制退会させることはできる?
BuddyPressには会員の強制退会を行う機能は備わっていません。
しかし、アクセスを制限するプラグインを導入すれば強制退会も可能になります。
例えば、先ほど、ご紹介した「WangGuard」は自動でスパムであると判断されたアカウントの会員登録や投稿機能へのアクセスをブロックしますが、個別のIPアドレスやメールアドレスでもブロックを行うことができます。
そのため、規則を守らないなどの悪質な行為を行う任意の会員のアクセスを拒否することもできます。
まとめ
BuddyPressを使うと簡単にSNSのようなクローズドコミュニティが作れるようになります。
会員制サイトを作ることのできるプラグインはいくつか存在しますが、メッセージ機能やグループ作成などの高度なコミュニティ機能は他のプラグインには存在しません。
そのため、WordPressの機能を大きく拡張することで、活用の場をさらに広げることができます。
ただし、BuddyPressは英語表記が多いことなど、どうしてもハードルを感じてしまう場面もあるかもしれません。
会員制サイトの構築で悩み事が生じた場合は、プラグインの扱い方に詳しい方や経験の豊富な方へ相談してみましょう。