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家賃滞納のリスクとは?強制退去などオーナーが知るべき知識の総まとめ

掲載日:2022年4月8日更新日:2024年2月21日

家賃滞納は、賃貸経営をするオーナーにとって等しく存在するリスクです。家賃滞納が起きてしまった場合、オーナーや管理会社はどのように対処すればよいのか?やっていけない行動も含め、家賃滞納についてオーナー・管理会社が知っておくべき知識をまとめました。

家賃滞納は空室以上に厄介!オーナーが被る損害とは

家賃滞納は空室以上に厄介!オーナーが被る損害とは

多くのオーナーにとって、空室状況が長く続くことは「大きな損害」と感じることでしょう。しかし、家賃滞納は空室以上に厄介なものであり、やはりオーナーは大きな損害を被ることになります。

100万円以上の損害が生まれることも…

滞納している家賃の催促に対して借主が応じてくれない場合、弁護士を解して裁判によって強制退去に持ち込むケースがあります。家賃12万円の賃貸物件において3ヶ月の滞納が発生し、かつ強制退去の判決まで4ヶ月を要した場合の法廷費用をざっくりと計算してみましょう。

  • 滞納家賃:36万円
  • 賃料相当損害金:48万円
  • 裁判所への予納金:6万5,000円
  • 弁護士費用:30万円
  • 合計金額:120万5,000円

滞納家賃と賃料相当損害金の支払いは借主の責務ですが、もしも職がなく、差し押さえられる目ぼしい財産もなければ、これらは全てオーナーの損害になってしまいます。改めて計算してみると、たった1度の家賃滞納がこれほどの損害を生む可能性があるのです。

家賃滞納による強制退去が認められるケースとは?

家賃滞納による強制退去が認められるケースとは?

1ヶ月分の家賃滞納が発生したからといって、すぐさま強制退去を命じられるわけではありません。オーナーは強制退去が認められるケースをしっかりと把握しておき、状況に応じて適切な行動を取れるようにすることが大切です。

では、家賃滞納を理由に強制退去が認められるケースを確認していきましょう。

家賃滞納から3ヶ月以上経過

家賃滞納の期間に関して、法律による具体的な定めはありません。しかし過去の判例などから、「3ヶ月以上家賃を滞納している」というのが一般的な条件になります。ただし、他のケースも考慮し、3ヶ月未満の家賃滞納でも強制退去が認められることがあります。

家賃支払いの意思が見られない

滞納している家賃の支払催促通知に対して、借主に支払いの意思が見られない場合は強制退去を求められるケースの1つです。ただし、借主に支払いの意思を示している、または連帯保証人が滞納している家賃の一部を支払ったなど、総合的に「支払い意思が見られる」と判断されると、強制退去の要請は難しくなります。

オーナーと入居者の信頼関係が崩れている

家賃を滞納したまま入居し続ける行為は、賃貸契約時に交わした「賃貸借契約」に反しています。これはオーナーと入居者の信頼関係が崩れているとみなされ、強制退去を求められるケースです。しかし前述のように、最低でも「3ヶ月以上家賃を滞納している」というのが1つの基準になっていることを忘れないでください。

これら3つのケースが揃っていると、大方の場合は強制退去を求めることができます。

家賃滞納による強制退去の手順

家賃滞納による強制退去の手順

家賃滞納を理由とした強制退去では、どのような手順を踏んで求めればよいのか?これもオーナーが知っておくべき予備知識です。手順を誤ると後々トラブルに発展する可能性があるので、手順通り進めていきましょう。

管理会社に催促を依頼

まずは滞納している家賃が自発的に支払われるよう、管理会社に依頼して催促の連絡を入れてもらいましょう。滞納家賃の支払催促は基本的に管理会社の仕事です。オーナーが直接交渉することでトラブルに発展する恐れがあるので、催促は管理会社に依頼してください。

依頼する際は、なぜ家賃を滞納したのか?いつまでに支払うのか?などの項目を確認でききるよう、管理会社に頼んでおきましょう。

管理会社から連帯保証人(or 保証会社)に連絡

入居者本人に支払いの意思が見られない、あるいはすぐに支払える目処が立たない場合は連帯保証人また保証会社に連絡を入れます。この場合も管理会社の仕事なので、オーナーによる直接交渉は控えましょう。

連帯保証人または保証会社に連絡をすることで、入居者に連絡が行き、今後は家賃をきっちりと払ってくれる可能性があります。そうなればオーナーとしても安心できるので、賃貸契約時に連帯保証人または保証会社を立てておくのはやはり大切です。

管理会社から家賃の支払いを催促

家賃滞納が続き、連帯保証人や保証会社に連絡をしても入居者本人に家賃を支払う意思が見られない場合、管理会社から「内容証明郵便」にて支払い催促がされるよう依頼しましょう。

内容証明郵便を使うと、「誰が、いつ、誰に、どんな内容のものを送ったか」、さらに「受取人がいつ受け取ったか」が第三者機関により証明されます。

家賃滞納が続けば最後には法的手段を取らなければいけません。その際に、内容証明郵便による支払い催促が、「催促の履歴」を証明できます。電話や訪問はいくら行っても催促の履歴として認められないので注意してください。

任意による明け渡し請求

以上の手順を踏んでも入居者に支払いの意思が見られない場合は、任意による明け渡し請求を行います。なぜまずは任意なのか?というと、裁判所を介した明け渡し請求は時間とお金がかかるためです。できることなら任意での明け渡し請求に応じてくれると、オーナーとしての損害が最小限に済みます。

ちなみに任意による明け渡し請求では、「滞納家賃の支払いを全額免除する」あるいは「滞納家賃の支払いを一部免除する」などの条件を出し、退去を求めるのが一般的です。滞納家賃が支払われないのは痛手ですが、法的処置をとった場合にかかる時間とお金、そして労力を考えると、小さな痛手と言えます。

また、滞納家賃の支払いを免除したからといって、入居者の逃げ得になるわけではありません。入居者は信用情報に傷がつき、クレジットカードが利用できなくなり、ローンが受けられなくなる、次の入居先が見つけづらくなるなどデメリットが生じます。

明け渡しを求める訴訟

任意による明け渡し請求にも応じないとなると、法的手段に移行しましょう。オーナーにとっては痛手になりますが、入居者が居座ってしまうよりは少ない損失で済みます。ただし、判決が確定するまで最低でも4ヶ月ほどかかり、訴訟費用・弁護士費用がかかることを認識しておくと良いでしょう。

「より少ない労力で問題を解決したい」という場合は、裁判所による支払督促または少額訴訟を検討しましょう。

支払督促とは、裁判所から入居者に送付される督促状のことです。裁判を起こさず、かつ裁判所からの督促ということで入居者の支払意思が回復し、滞納していた家賃が支払われるかもしれません。

少額訴訟とは1回の期日で審理を終え、判決が確定することを原則とする訴訟手続きです。60万円以下の金銭支払いを求める場合に限り利用することができ、通常の訴訟に比べると時間とお金、そして労力を低減できます。

支払督促と少額訴訟は、そもそも支払い能力がない入居者に対してはあまり大きな効果が見られないので注意してください。支払い能力がない入居者に強制退去してもらうには、やはり明け渡しを求める訴訟が必要となります。

家賃滞納に伴い、オーナーが絶対にやってはいけないこと

家賃滞納に伴い、オーナーが絶対にやってはいけないこと

家賃滞納に憤りを感じる気持ちは分かりますが、オーナーが感情のままに行動をするとトラブルに発展し、最悪の場合は入居者に訴訟を起こされる可能性もあります。ここでがオーナーが絶対にやってはいけない「NG行動」をまとめましたので、参考にしてください。

無断で入室する

賃貸物件自体はオーナーの持ち物ですが、合鍵を利用して無断入室してしまうとオーナーが住居侵入罪に問われてしまうので避けましょう。

無断で物を撤去する

法律には「自力救済禁止の原則」という考え方があります。これは、たとえ自分の権利を侵害されたとしても、法律を介さずに強制的な権利施行を行ってはいけないという原則です。つまり家賃を滞納されたからといって、入居者の物を無断で撤去するなどの行為は許されないのです。

無断で鍵を交換する

家賃を滞納している入居者の部屋の鍵を無断で交換するという行為も「自力救済禁止の原則」にあたります。賃貸借契約に「家賃滞納した場合は鍵を交換する」という旨を記載しても、法的効力はないと判断される可能性が高いので注意してください。

連帯保証人(or保証会社)以外への連絡

入居者の連帯保証人以外の家族や友人の連絡先を知っていたとしても、彼らに支払い催促をするのは厳禁です。貸金業法により、債務者等以外の人に対して弁済を求めることは法律違反にあたります。「債務者等以外」とは入居者、連帯保証人、保証会社以外の人のことです。

入居者の職場などへの連絡

上記同様、入居者の職場や学校などに連絡することも貸金業法に違反するので、絶対に行ってはいけません。

早朝・深夜の訪問や連絡

脅迫とも取れるような支払い催促は法律違反です。では、どういった行動が脅迫と考えられるのか見ていきましょう。

たとえば早朝や深夜にもかかわらず訪問または連絡をし、入居者を精神的に追い詰めてしまうと脅迫と考えられる可能性があります。過去には深夜まで支払い催促を行い、慰謝料請求が認められた判例もあるので注意しましょう。

貸金業法では「社会通念上不適当と認められる時間」に取り立てる行為を禁止しています。具体的には20:00〜7:00(夜8時から翌朝7時)が該当するので、この時間帯の支払い催促は控えましょう。

また、1日に何度も訪問・連絡をして支払い催促をするのも脅迫と考えられる可能性があります。支払い催促はやはり管理会社に任せるのがベターです。

催促の貼り紙

貸金業法では「債務者の私生活に関する事実を債務者以外の者に明らかにすること」を禁止しています。玄関ドアや賃貸物件の壁などに、支払い催促の張り紙をしてしまうと違法行為にあたるので絶対にやめましょう。

金銭の直接的なやり取り

オーナーと入居者による直接的な金銭のやり取りも当然厳禁です。法律で禁止されているわけではありませんが、後々のトラブルに発展する可能性が高いのでやめましょう。

家賃滞納には時効がある?

家賃滞納には時効がある?

実は、家賃滞納に時効があることをご存知でしょうか?家賃滞納に限らず多くの取引には時効が存在し、時効期間を過ぎてしまうと債務者に支払義務がなくなるので注意が必要です。ここからは家賃滞納の時効について確認していきましょう。

家賃滞納の時効目安は5年

民法には「消滅時効」と呼ばれる、権利を長期間放置することで時効となる法律が定められています。家賃滞納に対しては「定期金債権」が該当し、客観的起算点と主観的起算点と呼ばれる2タイプの期間計算方法があり、どちらか早い方の期間で消滅時効が発生します。

  • 客観的起算点:権利を行使できるときから10年
  • 主観的起算点:権利を行使できると知ったときから5年

家賃滞納ではほとんどの場合は主観的起算点に当たるため、家賃滞納の時効目安は「5年間」ということです。

家賃滞納の時効が成立する4つの条件

家賃滞納の時効が成立するのは以下4つの条件を満たしている場合のみです。「滞納された家賃の時効が成立するのでは?」と心配されるオーナーは、これらの条件に該当しないか確認しましょう。

家賃滞納から5年以上経過

この条件は先ほどご説明した「主観的起算点」に基づいています。最初の家賃滞納から5年以上が経過すると、時効発生の条件の1つを満たしたことになります。

時効まで家賃が一切支払われていない

最初の家賃滞納から5年以上が経過するまでに、家賃が一切支払われていないと2つ目の条件を満たします。1度でも家賃を支払うと時効が中断され、起算日がリセットされます。

滞納された家賃の回収手続きを行っていない

消滅時効とは債権者が権利を行使しない場合に生じるものです。したがって、5年間で権利行使の努力がないと3つ目の条件を満たすことになります。

入居者がオーナーに「時効の援用」を行う

「時効の援用」とは、債務者が債権者に対して時効成立を主張する行為を意味します。以上4つの条件を満たして家賃滞納の時効が初めて成立します。

家賃滞納の時効を中断する方法

家賃滞納の時効を中断する方法

消滅時効が成立すると、オーナーは滞納された家賃を一切回収できません。一方で、時効成立までの5年間でいくつかの行動を取れば、時効を中断することが可能です。家賃滞納の時効を中断するには、オーナーが次のような行動を取る必要があります。

債務を認めさせる(債務承認)

債務者に家賃を支払う義務を認めさせることを「債権承認」と呼びます。具体的には次のような行動を指します。

  • 債務の一部を支払わせる
  • 債務を認める念書を交わす
  • 債務者がの支払い猶予を求める

このような行動は「債務承認」に該当し、消滅時効を中断させられます。ただし、無理やり滞納家賃を支払わせる、念書を交わさせるなどの行為はもちろん厳禁です。

訴訟や調停を起こす

家賃滞納に対して訴訟や調停を起こすと、その時点で消滅時効が一時中断されます。ただし、あくまでも裁判上で請求を起こった場合のみです。口頭や書面での督促は無効なので注意してください。

財産差し押さえを行う

財産の差し押さえを行うことで消滅時効を中断し、なおかつ滞納した家賃を回収できる可能性があります。ただし事前に財産調査を行ったり、裁判所に差し押さえの申し立てを行ったりといくつか手順を踏む必要があります。

家賃滞納リスクを未然に防ぐためには

家賃滞納リスクを未然に防ぐためには

冒頭でも述べたように、家賃滞納は全てのオーナーに存在するリスクです。しかし、賃貸借契約時にいくつかのポイントを押させることで、家賃滞納を未然に防ぐことができます。最後に4つのポイントをご紹介するので、今後の賃貸借契約の参考にしてください。

入居者審査を徹底する

可能な限り入居者審査を徹底することで家賃滞納リスクを大幅に軽減できます。具体的には「入居者に十分な支払い能力があるか?」を多角的に審査するのです。ただし、入居審査は管理会社が行う場合がほとんどなので、オーナーとしては「入居審査を徹底している管理会社と契約する」というのが家賃滞納リスクを防ぐポイントです。

書類や電話だけでなく対面・ビデオ通話などで審査を行なっているか、勤め先やその年収・勤続年数の確認など行なっているか、管理会社が実施している入居審査の質をチェックしましょう。

連帯保証人を設ける

入居者に連帯保証人を設けるのも、家賃滞納リスクを未然に防ぐポイントです。とりわけ支払い能力が低い入居者、生活保護受給者などは連帯保証人を付けておく必要があります。

連帯保証人を付ける場合は保証人に安定した収入があるか、緊急連絡先があるかなどをチェックするのも大切です。可能なら家族やそれ以外の親族が連帯保証人であるのが望ましいでしょう。

保証会社に加入してもらう

諸事情により連帯保証人を付けられない入居者の場合は、家賃滞納リスクを防ぐために保証会社に加入してもらいましょう。

入居者が家賃を支払えなくなった場合、保証会社が滞納した家賃を立て替えるのでオーナーは安心して賃貸借契約を結べます。保証料の支払いは入居者が行うのでオーナーの負担がないのも特徴です。

家賃をクレジットカード払いにする

家賃の支払いをクレジットカードに設定しておくと、毎月決まった期日に家賃が支払われるので安心です。故意の家賃滞納だけでなく「うっかり忘れてしまった」というケースもあるため、クレジットカード払いならそうしたうっかりも防げます。

自動振替による口座引き落としは残高がないと引き落とされないリスクがありますが、クレジットカードなら口座残高が不足されていてもカード会社から家賃が支払われるのでオーナーも安心です。

SMSを利用した滞納通知システムでオペレーションを効率化

当社のご提供する 「滞納通知システム」は、滞納者にSMSでコストをかけずにお知らせのメッセージを配信する仕組みです。

従来の電話通知は見知らぬ番号に応答しない方が6割以上。 開封率の高いSMSを活用することでより多くの方にお知らせできます。

高い到達率のSMSを使用し、テンプレート化することで業務コストを大幅に削減します。また、メッセージ内のURLから
支払予定日を回答させることで、入金意思及び入金見込日の確認をとることができます。

まとめ

賃貸経営を行なっている以上、家賃滞納は全てのオーナーが経験するトラブルの1つと言ってよいでしょう。そのとき肝心なことは、正しい知識を持って適切な行動を取れるかどうかです。

ちょっとした知識不足や感情的な行動によってトラブルを大きくしてしまう可能性があります。家賃滞納が起こったとき、あるいは今後のリスクに備えて本記事でご紹介した知識やポイントを覚えておき、適切な行動が取れるよう心がけましょう。