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生体認証とは?仕組みや種類・導入メリット・問題点を解説

掲載日:2021年7月29日更新日:2024年2月21日

ロック機能などに使用される生体認証とは、どのような認証方法なのでしょうか。スマートフォンやタブレットなどで日常的に使う機会は増えていますが、仕組みまで説明できる人は少ないでしょう。今回は生体認証について仕組みや種類、メリットなどを解説します。

生体認証とは?どのような仕組み?

生体認証とは?どのような仕組み?

ここ数年でよく耳にする「生体認証」という言葉ですが、具体的にはどのようなものなのでしょうか?

生体認証とは、どういった方法で認証するのか、何種類くらいあるのかなど解説していきます。

身体の一部など個人の特徴を使って認証する

生体認証とは、個人を特定するため、身体の一部分を利用し判別していく認証方法です。指紋や網膜など、その人以外に持つことのないデータで認証を実行します。

生体認証を利用するには、指紋や網膜などの情報データを生体認証用に登録が必須となります。

本人であることなどの認証は、登録された生体情報のデータと認証するときの生体情報を比べ合わせることで識別可能です。

生体認証は指紋・顔・音声だけではない

音声・指紋・顔認証は浸透してきてていますが、生体認証はほかにも種類があります

血管の向き・分岐の位置から判別する静脈認証や虹彩のパターンを利用し判断する虹彩認証、耳の形の違いで識別する耳介認証などです。

手のひらの模様により判断する掌紋認証、瞳の白目にある血管から判断する眼球血管認証も生体認証として実用化されています。

また遺伝子情報の違いを判断材料にするDNA認証や文字の書き順などの習性を分析して判別する行動認証も生体認証の1つです。

生体認証を導入する必要性・メリット

生体認証を導入する必要性・メリット

現在は生体認証を採用している企業やサイトが増加傾向にありますが、どのような点が優れているのでしょうか。

生体認証の重要性と利用することのメリットについて解説します。

生体認証はロック機能以外でも活躍する

生体認証の場合、一般的な認証に必要となるログイン情報などが不要です。特に覚えるのが面倒なパスワードを記憶したり、メモを探したりする必要もありません。

指紋認証を使って、スマートフォンや家のロックの施錠や解除をしている人も多いでしょう。金融機関のATMでも暗証番号の代わりに指紋認証を採用しているところもあります。

生体認証は、アプリやWebサイトなどへのログインや電子決済の認証方法としても活用されているので、身近に感じる人もいるでしょう。

スマートフォンアプリなどを使用した利用者登録の本人確認で、生体認証を利用する企業も増えています。

生体認証は自分だけで完結する

生体認証を利用する最大のメリットは、本人のみで完結できるところです

会社や施設を利用する際に、生体認証を採用している場所であれば、ICカードなどが不要となります。

よく利用する施設などで入退室やロッカーの鍵などに生体認証が使えると、ちょっとした手間が省略できるでしょう。

イベントなどの入退場に顔認証などの生体認証を使えば、人が目視で判断するよりも時間短縮が可能です。また見間違いなども防げるので認証の精度も向上します。

紛失や偽造のリスクを回避する

生体認証では、個人の生体情報データを使うため、パスワードや認証カードなどの紛失・盗難のリスクが低減できます

また、パスワードの使い回しで複数のアカウントが乗っ取られたり、認証カードを偽造されたりする危険も回避が可能です。

買い物の支払いで、電子マネー決済時に生体認証を使えば、ロック解除の暗証番号を盗み見されることもありません。クレジットカードで支払いも便利ですが、スキミングや暗証番号の流出などリスクもあります。

顔・音声認証の場合では、非接触で認証可能なので、衛生面での安全性も確保できます。

生体認証はセキュリティ面で安全なのか

生体認証はセキュリティ面で安全なのか

認証する側にも、される側にも使用する利点が多い生体認証ですが、セキュリティで問題となる点はないのでしょうか

生体認証のセキュリティ面の対策について解説します。

生体認証は身体的変化に弱い

生体認証の弱点は、怪我などによる身体的変化に対応ができない点です

登録されている生体情報データと現在の生体情報で変化が生じると本人であっても認識されずエラーになります。

登録された生体情報は変化することはありませんが、利用する人の生体情報は寝不足で目が腫れたなど日常的に変化が起こります。認証システムにより異なりますが、認証の精度は完璧ではなくご認識される可能性もゼロではないです。

セキュリティとしては機能していますが、認証方法としては汎用性が低くなり、実用的ではありません。

指紋や掌紋、顔や音声(声)など物理的な変化が生じるものよりも、静脈や眼球血管認証のほうが、身体的な変化に強いといえます。

情報の変更に素早い対応ができない

生体認証では、登録している生体情報データの流出などに素早く対応ができないケースもあり、安全性が確保できない場合があります

生体認証のメリットでもある唯一のデータが、逆に変更を難しくしてしまう状況を作り出しています。

生体認証のデータが盗まれてしまった場合に、情報の変更が遅れて悪用される恐れもあります。

最近では、スマートフォンのカメラの解像度も高く撮った写真からさまざまなデータが抜き取られてしまいます。システムの運用側による生体情報のデータ管理も重要ですが、自分で流出しないよう注意が必要です。

指紋認証でも、別の指を使うなど使用上は問題がなくても、登録情報は変更されないためリスク回避はできません。

データの扱い方が難しい

生体認証で扱う情報は、個人特有のデータであるとともに個人を特定できるデータです

法律でも個人情報保護法で守られる情報として定義されており、登録データは暗号化や不正アクセスに対する対策が必須です。

データが漏洩した場合、なりすましなどに悪用される危険があるため、基本的にデータはそのまま保管されることはありません。

特徴を数値化する「特微量」という形式に変換させて保管するケースが採用されます。ただし、データを元の状態へ復元させる方法もあるため、どのような方式で変換するかも考慮が必要です。

生体認証の安全性は?セキュリティの観点から詳しく解説

生体認証はどこで使われている?

生体認証はどこで使われている?

生体認証のメリットや安全性について説明してきましたが、実際にはどういった場合に生体認証が活躍しているのでしょう

生体認証が採用される場面について解説します。

企業などの組織で使われる

生体認証は、企業や会社などの組織で採用され、活用されるケースがあります。

たとえば、下記のような場合に利用されています。

  • オフィスなどで顔認証を採用し、パソコンのログイン・居室への入退室管理や機器の使用管理などに採用する。
  • 従業員全員を顔認証で登録し、勤怠や作業担当の管理などに活用する。
  • 屋外での作業がある業種で、顔認証などを採用して入れ替わりの多い現場での出勤者管理に活用する。

上記の場合、社員証やIDカードなどを削減でき、かつ紛失などのリスクも回避できます。

現場作業などの場合は、複数の会社の人が出入りするケースもあるため、どの会社の誰が作業に入っているかも確認可能です。

生体認証は、会社などの業務で使う、パソコンのログイン情報の共有などによる情報漏洩のリスクも低減可能です

施設やイベントで使われる

生体認証の利点である、スピーディーな認証を活かせるイベントや施設での利用も多いです

コンサート・ライブなど大きな施設や会場への入場時の認証で時間短縮ができ、なおかつチケットの転売などを防ぐ役割も担います。

コンサートやライブ、芝居のチケットなどをインターネットで購入する場合に、生体認証による本人確認が採用されるケースが増えています。スマートフォンのカメラで写真撮影をしてオンラインで安全に本人確認が可能です

レジャー施設や宿泊施設などでも、入場やチェックインなど行列回避や電子決済でのスムーズな支払い方法の1つとして生体認証が活用されています。

ほかに空港や施設利用に関して顔認証などを用いて利用者を管理し、感染症対策などに活用するケースも多いです。

生体認証とほかの認証方法を比較!

生体認証とほかの認証方法を比較!

生体認証とほかの認証方法には、どのような差があるのでしょうか?

生体認証とそれ以外の認証方法について異なる点を解説します。

パスワードなどを使う認証方法

パスワードなど知識要素を使う場合は、使用する本人が決めた情報をシステムに入力して認証させます

IDやパスワードなどを入力するほか、秘密の質問を使ったり、画面をなぞるなどのパターン認証を採用したりするケースもあります。

この認証は、本人が決めて登録した情報が、ほかの人は知らないという前提で成り立っている認証方法です。

知的要素を使った認証方法では、本人が決める情報の複雑さなど条件によりセキュリティが低くなるため、生体認証よりリスクが高いといえます。

端末やカードなどを使う認証方法

知的要素の認証のほかに、生体認証以外の認証方法で広く使われているのが、端末やカードを使うケースです

システムを使用する本人が所有するスマートフォンやICまたは認証カードを用いて認証させる方法になります。

この認証方法は、金融機関などでスマートフォンアプリでの取引に活用されており、トークンやワンタイムパスワードが使われます。事前に登録された情報からSMSなどを使って認証用のコードをスマートフォンに送るなど本人以外では取引不可能な方法です。

金融機関など不正ログインにより金銭を不正に引き出される事例もあるため、本人以外が取引できない方法で認証を行います。

本人が所有するものを使った認証方法では、スマートフォンやカードの紛失や盗難のリスクがある点が生体認証との違いでしょう。

生体認証を導入する際の手順

生体認証を導入する際の手順

生体認証を導入するには、どういったものが必要で、どのような手順で進めるとでしょうか

生体認証を始めるために不可欠な手順について解説していきます。

使用する目的と認証の精度を考える

生体認証を導入するときに、最初にするが「どのような目的で使用するか」と「認証の精度をどのくらいに設定するか」の明確化です

たとえば、目的となるのは下記のような場合です。

  • パソコンのログインと会社のイントラネットへのログインに使用する
  • 重要な文書の保管倉庫への入退室管理
  • 従業員の勤怠の管理

上記のほかに生体認証を使用する目的は業種などにより変化します。

認証精度の設定では、下記のような対象に対して行われます。

  • 登録可能とする人数
  • 生体認証データの利用できる年数
  • 被認証者の設定変更の可不可

上記のほかに認証を実施する状況下によって条件は変化します。

目的と精度の設定が決定したら、認証装置の選定や保管の方法、サーバーの設置と生体認証装置の設置が必要です。また、登録や再登録の設計・トラブル時の生体認証の代替機能も必要となります。

運用前にテストを行う

目的や精度を含むシステムの構築に関して決定し実行した後には、実際に運用するための検証テストを行います

生体認証に望む認証の正確さが実際のシステム上で実施されるかの検証です。ここで検証を怠ると、運用開始後に期待する認証の正確性の保証が困難な状況となり大幅なシステム修正が起きかねません。

また生体認証の導入開始後にも、定期的に認証のログ解析を実行して認証精度が希望する値に到達しているかを確認しましょう。

管理の手順を策定してマニュアル化する

運用テストを実施した後には、管理する手順を策定してマニュアルを作成する工程が必要です

生体認証の登録データは管理体制が重要になるので、管理者の運用マニュアルの準備と管理者への教育が必須となります。

管理マニュアルには、下記のような項目が挙げられます。

  • 生体情報の登録手順
  • 生体情報を含めた個人情報の参照の条件と手順
  • 生体情報を含めた個人情報の変更の条件と手順
  • 生体情報を含めた個人情報の削除の条件と手順
  • 生体認証システムの構成変更手順
  • 定期的に実施する認証ログの確認手順
  • 運用に関する留意点

上記作業を行う場合のセキュリティ対策も必要となります。

実際に運用が始まると、利用者への説明やシステムに関する監査、システムに関するサポート体制の確立なども重要です。

生体認証を導入するときの注意点

生体認証を導入するときの注意点

生体認証の導入を検討する際に考慮が必要となる点はないのでしょうか

生体認証を開始する前に把握しておきたい点を解説します。

生体認証用のデータはバックアップが必須

生体認証に使用する生体情報は、必ずバックアップをとりましょう

認証用に登録された生体データが1つだけでは、登録した生体データの箇所に変化が生じた場合に認証不可となってしまいます。

身体的変化が起こった場合に備えて、複数の生体データの登録を実施しておきましょう。

指紋の場合であれば、複数の指の指紋を登録したり、左右両方の指を登録したりするのも有効です。

盗用がされにくい認証方法を選ぶ

盗用がしづらい生体認証を採用することで、生体情報を盗まれるリスクを低減できます

指紋や音声(声)は、スマートフォンアプリなどから盗用ができる可能性が高いです。静脈認証など身体の内部にあり、比較的盗まれる可能性の低い認証方法を選択するとよいでしょう。

生体認証のシステムにより、写真や印刷物では認証不可とすることが可能です。使用する認証システムの選定時に確認しておきましょう。

認証方法は合わせ技を使う

生体認証の安全面を考えて、ほかの認証方法と併用して利用するとセキュリティの向上に有効です

ID・パスワードの知的要素を使う認証や端末や認証カードを使う所有要素を生体認証と一緒に活用する多要素認証も現在では多くなっています。

また、2種類以上の生体データを使用して認証する方法でも安全性を高めるには効果的です。

生体認証だけではなく、ほかの認証方法と合わせることで身体的変化があったときにも対応できます。

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まとめ

生体認証を導入する場合には、最初に生体認証の仕組みや種類をしっかりと理解することが大切です

生体情報を登録することに不安がある人もいるかも知れませんが、生体情報の保管方法を確認することで解消できるでしょう。

企業や会社の場合は、生体認証の採用が利便性のアップやコスト削減につながる可能性は大きいです。認証システムや登録データの管理など、セキュリティ対策を万全にし活用していきましょう。