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スマホの生体認証とは?仕組みやメリット・セキュリティ面を紹介

掲載日:2021年7月29日更新日:2024年5月27日

スマートフォンのセキュリティ対策として一般的になった生体認証。ワンタッチで解除できて素早く操作できるのでメインのセキュリティ対策に取り入れている人も多くいます。生体認証のメリットやデメリット、ほかの生体認証の種類などについて詳しく解説します。

生体認証とは

生体認証とは

スマートフォンには大切な個人情報がたくさん詰まっているので、使用するときは画面にロックをかける必要があります。以前はスマートフォンのセキュリティといえば、自分で設定したパスワードを入力して解除する方法が一般的でしたが、最近では生体認証を取り入れているスマートフォンも増えてきました。生体認証はスマートフォンのロックだけではなく、さまざまなセキュリティ対策に使われており、その方法もたくさんあります。

生体認証の仕組み

生体認証の仕組みは、指紋や声、顔などのその人だけが持つ情報を使って認証するシステムをいいます。あらかじめ体の一部の情報や特徴などを登録しておき、認証するとき照合に利用します。生体認証は以前は機密情報を扱うような特定の場所で使われていましたが、最近はATMや携帯電話のロック解除などにも使われています。

生体認証はバイオメトリック(biometric)認証、またはバイオメトリクス(biometrics)認証などともいわれます。

生体認証とは?仕組みや種類・導入メリット・問題点を解説

生体認証の種類

携帯電話の生体認証といえば、指紋認証や顔での認証などがありますが、実は生体認証システムはほかにもたくさんあります。どの認証方法も、個人だけが持つ特徴を利用しているので、その人しか照合できないようになっています。

指紋認証

指紋認証は、手の指の指紋を登録して指紋の模様を判別して照合する方法です。指紋認証は、生体認証の中でもかなり以前から使われているものです。そのため開発が進み、読み取る機械の部分も指紋の範囲だけで小型なので、近年ではコストを低く抑えて導入できます。指紋認証システムは小さな機器にも取り入れられる点も特徴です。

指紋はひとりひとり違うため、ほかの人の指紋では認証できません。スマートフォンのロック解除を指紋認証で行っている人も多いでしょう。ただし、指を怪我してしまったときや、指先を頻繁に使う仕事の人などは、指紋認証がうまく作動しない場合があります。

虹彩認証

虹彩認証は、瞳の瞳孔の周辺にある虹彩の部分を照合して認証するシステムです。虹彩は細かいシワがあり、筋肉のパターンを読み取って判別します。虹彩のシワは人によって違い、指紋と同じように年齢を重ねても変化しない部分です。また右目と左目の虹彩にも違いがあります。虹彩認証のメリットは、虹彩部分だけを抜き取ったり差し替えたりすることが難しく、認証の精度も高い点があげられます。認証するときにシステムに触れなくていいため衛生的です。

虹彩認証が導入されているスマートフォンもすでにあります。しかし、導入のコストは高めで、認証する場所が明るくないとうまく機能しない場合があります。

静脈認証

静脈認証は、血管の形や流れなどを読み取って判断する方法です。指紋認証よりも精度が高く、銀行のATM、市役所などでも取り入れられています。赤外線で静脈パターンを読み込み、照合します。静脈は取り出せないうえ第三者に知られることもないので、セキュリティ面でも安心な認証方法です。

しかし、認証するための装置が大型でコストもかかるのがデメリットといえるでしょう。また体調によっても認証に支障が出る場合があります。

音声認証

声を使った音声認証システムもあります。声のパターンを登録しておいて本人を認証するときに照合します。人の声もそれぞれに違うので、識別できます。音声認証は通話の声なども使えます。声の周波数を利用して認証しますが、マイクがあれば音声認証できるので、導入コストも低く手軽な認証方法といえます。音声認証なら手を使わないでロックを解除でき便利です。ただし、風邪を引いたり声の調子が悪かったりするときや周囲の騒音が大きい場合には、認証できなくなる可能性があります。

DNA認証

DNA認証は、人間のDNAの塩基配列を調べて認証する方法です。髪の毛や爪、皮膚などあらゆる場所の細胞にあるため採取が簡単です。精度は100%といわれていますが、人間の体内にある塩基配列の数は膨大なので認証するまでに時間がかかる点がデメリットといえます。すぐにロックを解除したり、ドアを開けたりする場面ではまだ実用化できていません。

耳介認証

耳の形で認証する方法です。カメラで耳を撮影し、その形から照合します。認証方法が簡単なところと、年齢によって変化しないため精度が高い点がメリットといえるでしょう。耳介を使った認証は、犯罪の捜査などでも利用されています。

行動認証

行動認証は、人が行う無意識の習性やくせから判断する認証方法です。今まで紹介した認証方法は人の体の内部または一部を使って認証するやり方でしたが、行動認証は筆跡やキーボードの入力の仕方など、その人のくせが自然に現れる部分を使って認証します。筆跡は人が真似をして書いても別人の字だとすぐにわかります。

行動認証も実は精度の高い方法のひとつなのです。

生体認証のメリット

生体認証には、多くのメリットが存在します。今回は大きなメリットを2つご紹介します。

生体認証のメリットについて詳しく知りたい方は、以下の記事でも詳しくご紹介しておりますので、ぜひ参考にしてください。

関連記事:生体認証を導入するメリットとは?認証の種類や導入ポイントを解説

利便性が高い

生体認証の大きなメリットは、その利便性にあります。ユーザーはパスワードを覚える必要がなく、指紋や顔認証を使用して瞬時にデバイスのロックを解除できます。

この迅速さは日常生活において大きな助けとなり、特に多忙なときや手がふさがっている状況でもスムーズにアクセスできます。さらに、生体情報は他人によるなりすましを防ぐのに効果的です。これにより、セキュリティと利便性を同時に向上します。

安全性が高い

生体認証のもう一つの大きなメリットは、安全性です。生体情報はその人固有のものであり、パスワードやPIN番号と違って、盗難や忘れるリスクが極めて低いです。

指紋や顔のデータは複製が難しく、不正アクセスの可能性を大幅に減少させます。さらに、最新の生体認証システムは偽造や詐欺を検出する高度な技術を採用しています。これにより、ユーザーは安心してデバイスを使用できるようになります。この高い安全性が、多くの人々にとって安心につながっています。

生体認証のデメリット

生体認証にはデメリットも存在します。こちらでは大きなデメリットを2つご紹介します。

見た目の変化に対応できない

顔認証システムは、ユーザーの見た目が大きく変わった場合に認識できません。

例えば、髪型や髭のスタイルを変えたり、メガネをかけたりしただけで、システムがユーザーを認識しない可能性もあります。また、怪我や老化などで顔の特徴が変わると、同様の問題が生じます。このような状況では、追加の認証手段が必要になることが多く、利用者にとって不便です。この問題に対処するため、システムの精度向上が課題です。

データ漏洩時の対応に時間がかかる

生体認証のデメリットの一つに、データが漏洩した場合の対応の難しさがあります。

生体情報は一度漏洩すると、パスワードのように簡単に変更することができません。指紋や網膜データなどのその人固有の情報が外部に露出すると、その影響は長期間にわたる可能性があります。このような事態に対処するためには、詳細な調査と長期的なセキュリティ対策の見直しが必要です。したがって、生体認証データの保護は非常に重要であり、漏洩に対する迅速かつ効果的な対応策を事前に準備しておくことが求められます。

スマートフォンで使われている生体認証の種類

スマートフォンで使われている生体認証の種類

スマートフォンに使われている生体認証の種類もいろいろあります。生体認証システム導入のコストが下がってきたため、最近ではiPhoneやAndroidだけではなく格安のスマートフォンにも生体認証システムが導入されているものもあります。指紋認証と顔認証は一般的で、利用している人も多くいますが、どちらも認証にはいろいろなやり方があります。今自分が使っているスマートフォンにはどの生体認証が使われているのか、調べてみてください。

静電容量方式

静電容量方式とは、タッチパネルのことです。キーボードやマウスなどを使わずに直接指で画面に触れることで操作ができ、ロックを解除できます。静電容量方式では、指と画面の間の微弱な静電容量を感知して触れている部分を特定します。

指が画面に近づいたときに指先とセンサー電極の間に発生する静電容量を感知して、あらかじめ設定したパスワードを入力したり指紋を読み取ったりしてスマートフォンのロックを解除する方法です。

画面内指紋センサー

画面内に指紋認証の装置を導入した画面内指紋センサーもあります。iPhoneのようなホームボタンの部分ではなく画面内に指紋認証装置があるので、その部分に触れるだけでロックを解除できます。画面内指紋センサーには「超音波式」と「光学式」があります。

超音波式

超音波式の指紋センサーは、指紋を2次元ではなく指紋部分の凹凸を認識し3Dの物体として照合します。認識する速度も早くエリアも広いため、広範囲の画面上での認証も可能です。また手にクリームを塗っている状態などでも識別できるので、認証精度も高くなっています。ただし、製造するコストも高めなので、格安スマートフォンなどへの導入はまだあまり普及していません。

光学式

光学式は指紋を2Dで判別します。認識エリアが狭いため、指をしっかり認証装置に当てる必要があります。しかし認識の精度や速度は超音波式には劣りますが、製造コストも手軽なので光学式の方が多く普及しています。

カメラ式顔認証

顔認証には大きく分けて2つの方法があります。一般的に普及しているのがカメラ式顔認証で、スマートフォンに内蔵されているカメラを使って事前に登録した顔との照合を行い認証します。目、鼻、口の3点を識別し、約1秒ほどで認証します。スマートフォンを手にしたときからカメラが顔を認証するので、従来のパスワードを入力する方法よりもかなり早くロックを解除できます。

赤外線式顔認証

赤外線式顔認証は、赤外線の光を顔に当てて顔の立体的な形状を認識して認証を行う方法です。カメラ式顔認証よりも詳細な顔のパーツを記憶して照合するので精度が高く、周囲が暗くても認証ができます。また髪型やメイクなどによる誤差が出ない点もメリットといえるでしょう。赤外線式顔認証は、iPhomeの比較的新しいモデルなどに搭載されています。

スマートフォンで生体認証を使用する必要性

スマートフォンで生体認証を使用する必要性

今までは、銀行や市役所などより高いセキュリティを求められるような場所で使われてきた生体認証ですが、ひとりひとりが持ち歩くスマートフォンにも生体認証が普及し、一般的になってきた理由はなんでしょうか。生体認証システムの製造や導入のコストが下がってきたこともあげられますが、ほかにもスマートフォンに生体認証を取り入れる必要性はいろいろあります。

高いセキュリティ

従来まで使われていたパスワードを使った認証では、セキュリティの観点から定期的に変更する必要があったり、他人に知られないよう自分で記憶したりする手間がかかりました。しかし、生体認証システムは、持ち主本人の体の一部の特徴を利用しているため、盗まれたり第三者がかわりにロックを解除することなどはほぼ不可能といえます。

生体認証は簡単かつ安全な方法で、スマートフォンを守ってくれます。高度な生体認証システムなら、写真や動画などを使ったなりすましによる照合も見抜けるのでより安心です。

使いやすさ

生体認証システムを導入したスマートフォンは、従来のものよりもはるかに使いやすくなっています。指を当てたり顔の前にスマートフォンをかざしたりするだけで、すぐに本人の認証を行いロックを解除してくれます。パスワードを忘れる心配もなく、変更する手間もありません。また、片手で簡単に操作してロックを解除できるので、歩きながらや荷物を持ちながらでも操作ができます。

コスト削減

パスワードを使った認証システムの場合、忘れてしまってロックが解除できなくなることがよくあります。パスワードを一定回数間違えるとロックがかかり、サポートセンターへの問い合わせやパスワードの再発行手続きなどが必要になります。これらの人件費やシステムのコストなどは生体認証には必要ありません。

体の一部を使って照合するため、パスワードを覚える必要はなく大幅にオペレーション業務を軽減できます。

スマートフォンの生体認証のメリット

スマートフォンの生体認証のメリット

スマートフォンに生体認証システムを導入するメリットは、IDやパスワードの管理をする必要がなく、体の一部を使って認証するため情報の漏洩の可能性が大幅に低くなり、なりすましによる被害も防げる点だけではありません。従来のパスワードを使った認証システムのスマートフォンよりもずっと使いやすくなった部分もあげられるでしょう。指紋認証や顔認証、それぞれの使いやすさがあります。

指紋認証ならマスク着用でもOK

指紋認証を導入しているスマートフォンならば、マスクをしたり、帽子を被ったりしていても認証できます。登録しておいた指紋の指をタッチするだけなので、片手で操作でき、荷物を持っていてもすぐに使えます。メイクやファッションが認証システムに影響しないので便利です。

指紋認証システムは、コストも安いので格安スマホでも導入している機種が増えています。

顔ならすぐに解除できる

顔認証の場合は、スマートフォンを手に持っただけですぐに、照合、認証できます。解除までの時間も1秒程度と早いのですぐにスマートフォンを取り出して使いたいときでも快適に操作できます。スマートフォンを持つだけでいいので、両手が空いていなくても認証が可能です。

スマートフォンの生体認証のセキュリティと注意点

スマートフォンの生体認証のセキュリティと注意点

スマートフォンの生体認証は、便利で操作も簡単、さらに精度も高くセキュリティ対策としてベストの方法のように思えます。しかし生体認証にもデメリットがあります。問題点についてもしっかり認識して、使用しなければいけません。

精度が100%ではない

指紋や顔を利用した生体認証は精度が高いといわれていますが、100%ではありません。指紋は登録した部分がしっかり接触できなければ本人と認証されない場合があります。また加齢によって指紋は摩耗していき変わることもあります。顔認証の場合は、マスクやメガネなどで認証されないこともあります。

生体認証システムは、これらの要素もふまえて100%照合の結果が一致していなくても認証するように設定されています。ある程度の範囲で照合が一致すれば認証、ロックが解除されるので、完全一致ではなくても認証されると理解しておきましょう。

指紋認証は他人でも解除できる

指紋認証の場合、他人が変わって解除することもできます。寝ている間に、指紋認証で勝手にスマートフォンのロックを解除して悪用するケースや、指紋のついたスマートフォンの画面やボタンから指紋を採取して、不正に利用する手口もあるので気をつけましょう。

また、怪我をしたり指紋が変化したりして認証システムに反応しなくなってしまった場合、指紋認証は指10本分までしか再登録できません。

顔認証は目を閉じられない

顔認証も完全ではなく、データを盗まれて悪用される可能性があることを覚えておきましょう。また顔を生体認証に使う場合は、メイクやマスク、眼鏡や帽子などの小物に左右されて認証されないこともあります。さらに、顔を怪我したり美容整形などで変えてしまったりすると照合できなくなる可能性もあり、再登録が必要になってしまうかもしれません。

生体認証は、指は10本、顔はひとつで代わりがないものという面はデメリットといえるでしょう。

生体認証の安全性は?セキュリティの観点から詳しく解説

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まとめ

スマートフォンに使われている生体認証は、指紋や顔認証などがあります。どちらも一瞬で解除でき、第三者に悪用されにくくセキュリティ面でも安心の方法です。最近は、生体認証のコストも低くなってきたので、格安スマホでも指紋認証や顔認証システムを取り入れた製品も出てきました。便利な生体認証ですが、精度は100%ではなく、また悪用される可能性もゼロではないことを知っておきましょう。

デメリットや注意点も理解して、スマートフォンの生体認証システムを使いこなしてください。