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ARTICLE入居者ポータルサイトとは|導入の必要性や構築時の手順や注意点
入居者ポータルサイトとは、マンションなど共同住宅の居住者向けサービスの提供を目的とするWebサイトです。この記事ではその役割や保有すべき機能、導入のメリットについて解説します。また、具体的な導入手順とその注意事項を説明していきます。
目次
入居者ポータルサイトとは?
入居者ポータルサイトとその役割や必要な機能について解説していきましょう。
入居者ポータルサイトの役割
入居者ポータルサイトとは賃貸および分譲マンションの居住者を対象として提供されるWeb上のサイトであり、マンションに居住する上で利用可能な各種サービスや情報の提供を通して居住者を支援するものです。ここでは以上の役割に加え、ポータルサイトを提供するシステムを含めて入居者ポータルサイトと呼ぶことにします。
入居者ポータルサイトの機能
入居者ポータルサイトを構築するにあたり、これを支える仕組みとして入居者情報管理機能、各種情報の配信機能、情報掲示板機能、チャットやSNSによる情報交流機能などがあります。
入居者情報管理機能は入居者ポータルサイトの利用を希望するマンションの利用者に対して、申請内容に基づき利用IDを付与してサイトの利用を許可します。システム側では、入力された利用者情報をシステムに登録するとともに必要な権限を付与します。
入居者ポータルサイト導入のメリット
入居者ポータルサイトを制作する主なメリットについて解説します。
特別なサービスを提供できる
入居者ポータルサイトを通して入居者に対して特別なサービスを提供できれば、サイトの価値は高まり、入居者はマンションに居住して良かったと感じるでしょう。周辺のレストランや各種店舗のバーゲン情報や割引情報なども居住者にとって有益な情報といえますが、とりわけ居住期間の浅い入居者にとって病院などのライフラインに関わる情報の提供も重要です。
効果的なマンション運営ができる
マンションの運営を管理する組織は、入居者ポータルサイトの有する入居者情報管理機能により入居者の情報を一元管理できます。入居者情報は単に入居者の個人情報のみならず入居者のニーズなどを分析してその結果を踏まえ、各種情報を提供すると共に、その内容を適宜改善していくことも可能です。他方で、入居者は入居者ポータルサイトを活用して各種情報を入手することにより、生活を充実させるための一助とできます。
入居者同士のコミュニティ強化につながる
入居者ポータルサイトとしてチャットやSNSを提供することにより、入居者同士で各種生活情報を交換することは、互いの生活の充実度を上げるための一助となります。また、ポータルサイトの掲示板での提供と同種の情報として「これ差し上げます」「〇〇をお持ちの方がいたらください」など、互いに不要となった物品の交換などのやり取りが考えられます。
入居者ポータルサイトの基本機能
入居者ポータルサイトに備わっているユーザーサイドの基本機能について解説していきましょう。
入居者情報管理
入居者1人1人の氏名、家族構成、部屋番号、車のナンバー、メールアドレス、連絡先電話番号などの個人情報を登録・管理します。これらの個人情報を使用し、入居者に必要なサービスの提供を行います。セキュアな管理が要求され、基本的に第3者に対してこれらの情報は開示しません。
共用設備や機材などの予約機能
共用部施設とは駐車場や会議室、談話室、トレーニングルーム、クッキングルーム、さらには来訪者のための宿泊施設など、機材とは各種工具などを指しこれらの利用予約が可能です。イベント情報とは、マンション内の運営のための各種ミーティングやサークルの招集案内やクリスマスパーティなどのイベントの配信があります。
メルマガ配信
入居者とのコミュニケーションと主に各種有益な情報の提供を目的としたメルマガの配信は効果的です。配信コンテンツは主として当マンションの運営に関わる情報として管理組合の開催や協議結果、タウン情報として周辺のレストランやスーパー情報、公共機関情報、ライフライン情報、医療機関情報などが想定されます。
入居者ポータルサイトを構築する際の手順
入居者ポータルサイトを構築する手順をコンセプト・要求定義、設計・開発、コンテンツ登録、テスト、リリースの各プロセスに分け解説します。
コンセプトと要件定義
「どのような目的で入居者ポータルサイトを作るのか」のサイト構築の原点をしっかりと決めることが必要です。これがサイト構築のためのコンセプト作りにあたります。コンセプト作りにあたっては、コアとなる関係者が集まり、時間をかけて十分に議論してまとめあげます。このことによって、関係者のベクトルを合わせると共にサイトの求心力アップにもつながります。
コンセプトが固まると、これを具現化するために必要な機能の洗い出し、操作方法、操作ロジック、画面デザインの検討を進め要件定義書にまとめていきます。これが設計のインプット資料となります。
設計・開発
要件定義書としてまとめられた機能を実現するための、設計の方針を決めます。まずクラウド型のサービスを利用するかオンプレミス型で開発するかです。クラウド型のサービスは、各ベンダーからさまざまなソリューションが提供されていますので、それらの中から自社のサイト構築上、最もふさわしいものをコスト、機能、使い勝手などの観点から選定し、必要なパラメータ、オプションの選択および設定を行えば、比較的容易にサービス開始が可能となります。ベンダーに対してサービスの利用料などを支払うのみで、自社でサイト構築の技術力がなくてもサービスを利用できます。サービスの利用料とは、導入初期費用と月々のサービス利用料に加え、年間保守料などのトータルの費用を指します。
オンプレミス型を選択した場合には、自社でサーバーを調達して立ち上げると共に、サーバー上の入居者ポータルサイト用のアプリケーションを準備しなければなりません、従って、サーバー構築に加え、アプリ準備が可能な程度の技術力と対応工数がなければなりません。ただ、自社で環境を構築するので、比較的自由に自社の要求に合わせた作りこみが可能となるメリットがあります。また、オンプレミス型の場合、アプリの調達方法によって2種類の選択肢があります。自社でアプリ開発まで行うか、ベンダーが用意するアプリを購入するかです。これもクラウド型か、オンプレミス型かと同様にそれぞれメリットとデメリットがありますので、構築すべきシステムと諸条件を踏まえ判断していきます。
コンテンツの登録
設計・開発によってサイトの構築が完了すると、コンテンツの登録作業を行います。入居者情報や各種イベント情報、地域情報、管理組合情報などと画像データなどです。これらのデータを登録して初めて、サイトの利用者はログインしてサイトで提供されている機能を利用できるようになります。
テスト・リリース
構築されたサイトをテストするために、サイトで提供されている全機能を1つずつ、できる限り多くのテスターにより、許される限りの時間を使って動作の確認を進めていきます。さまざまな視点でテストを行うことにより、設計段階では想定していなかった問題点が上がってくるものです。上がってきた問題点を1件ずつクリアにしていき、すべての問題点が解決するまで繰り返しテストを行っていきます。
テストと並行して、サイトの利用方法に関するユーザーマニュアルの準備を進めます。このマニュアルはサイト内の各機能の操作方法に加えて、ユーザーからの問い合わせがあった場合に対応できるようFAQも含めることが望ましいでしょう。そのためにテストのフェーズで上がってきた不具合のみならず、改善要望や使い方に関する素朴な質問なども含めこれらを整理することで効果的なFAQとしてまとめられます。
以上の通り、計画されたテスト期間内で上がってきたすべての問題点への対応が完了して初めてサイトのリリースを行います。リリースは、入居者に対してメールなどの手段を使って行います。リリース直後は、利用者によってさまざまな指摘がなされる可能性がありますが、これらを1件ずつ着実に解決していくことにより、サイトの完成度を上げていくことにつながります。
入居者ポータルサイト構築時の注意点
入居者ポータルサイトを構築する場合の主な注意点について解説していきます。
十分な事前検討とセキュリティ対策
事前にしっかりと時間をかけてシステムのコンセプトを固めることが、入居者ポータルサイトの構築に失敗しないために最も重要なことです。事前にコンセプトを入念に検討せず開発を始めてしまうと、システム構築の途中もしくは運用が開始された段階で方針を変えざるを得ないような事態が発生することがあります。このような事態を回避するために、じっくり時間をかけてコンセプトを練ることが重要です。
事前の入念な検討と同様に、入居者ポータルサイトの構築にあたり慎重な対応が求められる事項として、セキュリティ対策が挙げられます。入居者の個人情報やクレジットカード情報なども取り扱うためセキュアな環境を提供しなければなりません。そのためにはウィルス感染や外部からの不正アクセスなどへの十分な対策が必須となります。もし仮に入居者の個人情報が外部へ漏洩するような事態が発生した場合、サイトを閉鎖しなければならない事態に追い込まれ、マンションの価値にもインパクトを与える可能性があります。
使いやすいサイトデザイン
見つけたい情報にすぐに到達でき、設定したいことが容易に設定できるような利用者側の視点に立ったサイトのデザインが大切です。多角的な視点からサイトの使い勝手を評価して、使いにくい点やさらに使いやすくするための提案などを行っていくために、長期間サイト内にて徹底的に評価を行い、内部の構造を知り尽くしているテスターに協力を仰ぐのが効果的です。彼らは用意されたテスト項目に従ってサイト内における不具合を探し出すことが主たる役割ですが、加えてユーザー視点で使い勝手を評価し、その結果をフィードバックしてもらいます。その結果を1件1件、関係者で協議し対応方針を決めていきます。以上の作業の繰り返しにより、少しずつ使いやすいシステムに近づけていけます。
改変が容易なシステム
設計の段階で考え抜いたシステムであっても実際に稼働を始めてみると改善したい項目が挙がってくるのも事実です。サイト内の検索機能が弱く、利用者が目的の情報にたどり着けない、管理組合の情報の一部は公開範囲を限定したいが、そのような機能は当初想定していなかったなどです。設計段階においていかなる改変も可能なシステムを構築することは難しいのですが、ある程度の拡張性を残しておくことでこうした事態に対応できるでしょう。
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まとめ
入居者ポータルサイトの導入にあたっては、「どんな目的で、どのようなシステムを作るのか」の最も根幹となるところをしっかりと固めた上で構築することが大切です。しかし立ち上げた当初は期待する成果が得られないかもしれません。原因の分析と対策を行いこれを継続していくことにより、成果に結び付いてくることを信じて進めていきましょう。
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