会員サイト構築の記事
ARTICLEユーザーサイトとは|導入メリットや構築手順、活用事例について
企業と顧客にメリットがあるユーザーサイトを導入するためには、自社にとっての必要性を明確にすることが大切です。ユーザーサイトの良さを改めて理解するとともに、さまざまな企業の成功事例を参考にしながら具体的な計画を立てていきましょう。
目次
ユーザーサイトとは?
ユーザーサイトとは顧客1人1人に合わせたコンテンツをそろえたWebページのことです。ユーザーIDとパスワードなどを入力して個別のユーザーサイトを開き、企業からの情報を受け取ったり、利用中のサービスに関する手続きをおこなったりします。ユーザーサイトの内容は企業によってさまざまです。
導入事例
ユーザーサイトは多くの企業で導入されています。
たとえば、以下のような事例があります。
- 電力会社で契約者ごとのプランや月別の請求金額を確認できるユーザーサイト
- 携帯電話会社の料金プランや住所などの契約内容を変更できるユーザーサイト
- アパレル企業の、購入履歴やオンラインショップで注文した商品の配達状況を確認できるユーザーサイト
- 食品加工会社の、ファン同士で商品を活用したレシピなどを紹介してコミュニケーションを取れるユーザーサイト
- 学習塾の生徒1人1人の進捗状況やレベルに合わせた動画コンテンツを提供するユーザーサイト
コンテンツ例
ユーザーサイトの内容は企業によって差がありますが、一般的に以下のようなコンテンツが導入されています。
- 契約プランの確認ページ
- 住所や電話番号、支払い口座などを変更するページ
- 企業にオンラインで問い合わせできるページ
- 退会するページ
- 過去の利用履歴を確認するページ
- 企業からのお知らせを受け取るページ
- 配達サイクルや注文内容を変更するページ
- おすすめのサービスや商品の情報が届くページ
- オンラインで予約できるページ
このように、ユーザーごとの状況を把握できたり、少ないステップで手続きができたりするコンテンツを導入するのがおすすめです。
ユーザーサイトを導入する必要性
ユーザーサイトは企業のどのような悩みにコミットできる存在なのでしょうか。これからユーザーサイトの導入を検討している方は、まずは自社にとっての必要性を考えることが大切です。
企業の抱えるオペレーションの問題を解消できる
企業が日々顧客にサービスを提供していくなかで、顧客管理や在庫管理、配送作業、クレーム対応など1つの業務を完了させるまでに多くのタスクがあります。つまり企業でおこなわれる日々の業務は、常に時間と人員、コストを念頭に置きながらオペレーションを構築する必要があります。
ユーザーサイトで顧客自身が手続きをしたり知りたい情報を入手できたりする環境を作っておけば不必要に人員を増やす必要もないため、オペレーション問題の解決につながりやすくなるでしょう。
顧客1人1人に適したレコメンド提供
マーケティングを開始する際はペルソナを作りターゲットの絞り込みをしますが、実際には顧客ごとに違った生活スタイルや理想があります。そのため、抱えている顧客全体に向けてレコメンドを提供しても、関心を持つ人と持たない人に大きく分かれてしまいます。
一方、ユーザーサイトは顧客1人1人の情報が詰まっているため、そのデータを元に個別のレコメンドを効果的に提供することが可能です。また、顧客ごとの情報を集計して、全体に向けたPR手法を練るのもよいでしょう。ユーザーサイトは、他の商品への関心を高めてクロスセルを成功させたい企業、顧客のニーズがつかめないと悩んでいる企業におすすめの情報源です。
ユーザーサイト導入のメリット
ユーザーサイトの導入を検討している方のなかには、「自社にとって本当に必要なものなのかわからない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
ユーザーサイトのような顧客を巻き込んだサービスは一度導入すると継続しなければならないため、「導入してみたけど運営スタイルには合わないからやめよう」と気軽に中止することは難しいでしょう。そのため、導入前にユーザーサイトで得られるメリットをしっかりと理解し、企業にとっての必要性を見極めることが大切です。
リソースの削減につながる
ユーザーサイトを導入するメリット1つ目は、リソースの削減につながる点です。リソースとは資源や資産を意味し、企業が保有するお金、人、時間、物を表します。ユーザーサイトを導入しない場合、顧客からの問い合わせを受け付けるためのカスタマーセンターを構えたり、顧客情報を変更する手続きをスタッフが手作業でおこなったりする必要があるでしょう。
顧客からの問い合わせが多い情報や手続きに必要なコンテンツを構築しておけば、企業がわざわざ対応する必要がなくなります。結果的に不必要な時間やコスト、人員を割かなくてよくなり、その分他の業務に集中できるなどのメリットもあります。
顧客満足度を上げられる
ユーザーサイトを導入するメリット2つ目は、顧客満足度を上げられる点です。ユーザーサイトを導入しない場合、顧客が何か情報を知りたいときは電話で問い合わせをしなければならなかったり、手続きをしたいときが店舗に行って書類に記入しなければならなかったりします。さらに企業の営業時間や問い合わせ窓口の混み具合を気にしなければならず、1つのことを解決するために大きなストレスを感じてしまう危険性があります。
一方、ユーザーサイトを導入すると顧客が好きなタイミングで必要な情報を得られるため、「助かる」「安心する」などのポジティブな感情を抱いてもらいやすくなるでしょう。
継続的な収益につながる
ユーザーサイトを導入するメリット3つ目は、継続的な収益につながりやすい点です。顧客が商品やサービスの利用を辞めたいと感じる理由のひとつに、サポート体制が整っていない点が挙げられます。ユーザーサイトがあれば多くの人員を導入しなくても基本的な顧客サポートが可能です。サポート体制を整えることによって顧客を大切にしてくれているという安心感を印象付けられて、継続的な利用につながります。
特に定期購入の場合は、ユーザーサイトで周期変更や商品変更を済ませられれば継続のきっかけになるでしょう。また、ユーザーサイト内でしか得られない情報を提供することも、顧客のマンネリ化を防ぐ戦略としておすすめです。
企業のユーザーサイト活用事例
ユーザーサイトを初めて導入する場合、どのようなコンテンツを設置したらよいのか、競合他社と差別化できるコンテンツを設置するにはどうしたらよいのかと悩んでいる方も多いでしょう。そのような時は、実際にユーザーサイトを導入して運営に成功している企業の事例を参考にするのがおすすめです。
トヨタのT-connect
大手自動車メーカーのトヨタは、トヨタ車を愛用している顧客向けのユーザーサイト「T-connect」を提供しています。T-connectには、おもに以下のようなコンテンツがそろっています。
- 顧客情報や車両情報を掲載
- 地図情報、交通情報、天気情報の提供
- 販売店からのお知らせを受信
- 車両の位置情報を調査
- 車両の異常をメール、電話で知らせる
- 鍵の閉め忘れを通知
- 駐車場所をお知らせ
T-connectはネットで車両とスマホアプリ、トヨタスマートセンターをつなぐことによって、さまざまなサービスを利用できます。運転に必要な情報を得られるだけではなく、車両の異常をワンタッチもしくは自動で通報することも可能です。日常的な便利さを提供するとともに運転時の不安を解消できる安心感を与えています。
Z会
通信教育サービスを運営しているZ会は、ユーザーサイトを活用して生徒1人1人のレベルに合わせた学習コンテンツを提供しています。Z会のユーザーサイトには、おもに以下のようなコンテンツがそろっています。
- 映像授業の視聴ページ
- 生徒ごとに異なる問題を出題
- 弱点をふまえた添削指導
- テストの日程に合わせた学習スケジュールの構築
- すきま時間に学べるオンライン教材の提供
- オンラインテスト
- 時間割の作成
- 学習の進捗状況や達成率を確認するページ
- 質問受付
Z会のユーザーサイトは、自分で考えたり用意したりする手間を削減させることによってモチベーションを上げ、Z会を継続したいという意欲を刺激することに成功しています。
数研出版の数研Library
参考書などを制作している数研出版では、学習教材と連動したコンテンツを提供するユーザーサイト「数研Library」を運営しています。数研Libraryには、おもに以下のようなコンテンツがそろっています。
- 問題と解説がセットになった学習カード
- 一問一答テスト
- 学習時間や正解率を算出する分析ページ
- 英単語の正しい発音
- 教材に関連する映像の配信
- 教材の音声データ
数研Libraryはスマホで場所を選ばずに学習できるコンテンツを提供することによって、教材に対する満足度の向上を目指しています。
島精機製作所
ニット編機やアパレルデザインに関するソフトウェアを制作している島精機製作所は、製品を使用している顧客を対象にしたユーザーサイトを開設しています。島精機製作所のユーザーサイトには、おもに以下のようなコンテンツがそろっています。
- ニットサンプルのアーカイブ公開
- 編成データの購入ページ
- 企業からのお知らせページ
- 製品の使用方法に関する資料の公開
島精機製作所は「もっと良いものを作りたい」「使い方がわからない」という顧客の思いをサポートするユーザーサイトを作り、ファンの定着につなげています。
ユーザーサイト構築前に準備しておくこと
ユーザーサイト構築前のタスクを把握しておけば、開設後に不足に気付いたり、トラブルに冷静な対応ができなかったりすることを防げます。多くの顧客がユーザーサイトを利用している段階で大きな修正を加えると企業のイメージダウンにもつながるため、構築前の準備や話し合いには時間をかけることをおすすめします。
ユーザーサイトを構築する目的を明確にする
ユーザーサイトを導入する際は、どのような目的を達成したいのかを明確にすることが重要です。オペレーションによる業務負担を軽減したいなら、負担になっている業務を洗い出しコンテンツとして導入するとよいでしょう。
また、顧客満足度を上げてファンを定着させたいなら、顧客の「こんなサービスがあると便利」というニーズを洗い出しコンテンツとして導入するとよいでしょう。目的を明確にすることでコンテンツの量や内容、構成などを決めやすくなります。
顧客が求めているコンテンツについて考える
ユーザーサイトを導入する際は、顧客が求めているコンテンツについて話し合うことも重要です。ユーザーサイトを利用するのはあくまでも顧客なので、使い心地や内容の充実度が企業イメージの良し悪しにつながってしまいます。逆に満足させられるコンテンツをそろえられれば、根強いファンとなって新しい商品やサービスのPRも受け入れてもらいやすくなるでしょう。
カスタマーセンターにどのような問い合わせが多いのか、どのようなクレームが多いのかを分析し、コンテンツ選びの参考とするのもよいでしょう。顧客向けにアンケート調査をおこなうのもおすすめです。
ユーザーサイトの運営に必要なリソースを考える
ユーザーサイトを導入する際は、運営に必要なリソースを細かく洗い出す作業も欠かしてはいけません。導入後にリソースを決めると思わぬ事態が起きたときに対処できず、他の業務が圧迫されたり、顧客に説明していたようなサービスを提供できなかったりする可能性があります。設計の段階でコンテンツごとのリソースを考えておけば、計画的な運用が可能です。
発生しうるトラブルを想定したルールを制作
ユーザーサイトを導入する際は、発生しうるトラブルを想定した準備が大切です。たとえばセキュリティ系の問題が発生したときにどのような手順で対応するのかを決めておけば、焦って誤った行動を起こさずに済みます。リスク管理のルールを担当者同士で共有し、いつでも確認できる環境を作っておきましょう。
ユーザーサイトを構築する際の手順
ユーザーサイトを自社で制作することによって、不具合や修正が生じたときにスピーディーに対応しやすいメリットがあります。外注して制作することも可能ですが、プラグインが出来上がっているWordPressなどのシステムを利用すれば、低コストで制作できるでしょう。
ドメインを取得する
ユーザーサイトを構築するには、まずドメインを取得する必要があります。ドメインとはホームページのURLのことで、インターネット上の膨大な数のWebサイトと区別するためのものです。他のサイトと同じドメインは利用できないため、自社のドメインだとわかるような文字列かつ他とかぶらない文字列を考えなければなりません。ドメイン案ができたら、レンタルサーバー会社もしくはドメイン専門会社で取得手続きをおこないましょう。
WordPressに登録する
ドメインを取得したら、WordPressに登録します。WordPressは独自のドメインを設定することによってオリジナルのWebページを作成できる無料のソフトウェアです。WordPressに登録したら、ドメインを取得したレンタルサーバーと連携させましょう。
プラグインでコンテンツやデザインを整える
WordPressに登録したら、サイトに合わせた機能を追加(プラグイン)してコンテンツを整えていきます。まずはどのようなコンテンツをそろえたいのかを明確にし、最適なプラグインを選択しましょう。また、ユーザーサイトは顧客が使いやすい見た目を構築することも大切です。デザイン用のプラグインを利用するか、自社でコーディングを加えてオリジナルデザインを作り上げるのもよいでしょう。
ユーザーサイト構築時の注意点
ユーザーサイトを構築する際は、「こんなはずじゃなかった」と後悔しないための対策をおこなっておくことも大切です。ユーザーサイト構築時の注意点を事前に把握しておけばトラブルの発生を未然に防げるだけではなく、トラブルが発生しても慌てずに対処しやすくなるでしょう。
セキュリティ対策
ユーザーサイト構築時は、セキュリティ対策を万全に整えなければならない点に注意が必要です。ユーザーサイト内の個人情報が外部に漏れてしまうと、企業の信用度が下がるだけではなく大切な顧客に危険が及ぶ可能性もあります。ファイアウォールやセキュリティソフトを導入したり、WordPressを常に最新バージョンにアップデートしたりすることを怠らないようにしましょう。
リソース不足
ユーザーサイト構築時はリソース不足にならないように注意が必要です。ユーザーサイトは顧客対応にかかる時間や人員を削減できるメリットがあります。しかし、コンテンツの量や内容によっては予想以上のリソースが必要になる可能性があります。コンテンツを決定する前に、他の業務を圧迫せずに余裕を持った運用ができるかどうかを慎重に検討しましょう。
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まとめ
今回は、ユーザーサイトを構築するメリットや注意点、具体的な方法について解説していきました。ユーザーサイトを導入するとリソースの削減や顧客満足度の向上につながりやすい魅力がありますが、セキュリティ対策やリスク管理を徹底しなければ企業の信用を失う可能性もあります。まずはユーザーサイトが必要な理由を明確にし、最低限どのようなコンテンツがあれば企業の目的を達成できるのかについて話し合ってみましょう。