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電子承認とは。電子化の流れやシステムの特徴について解説

掲載日:2020年9月4日更新日:2024年2月21日

「e-文書法」の制定以来、公的文書や手続きの電子化が進み、その流れで電子承認を行う企業も多くなっています。電子承認をワークフローで行う「電子承認システム」を中心に、電子化のメリットや問題点についても見ていきましょう。

紙、ハンコによる手続きの見直しが進む

紙、ハンコによる手続きの見直しが進む

日本は「ペーパーレス後進国」と呼ばれるほどに、書類の電子化が遅れています。 海外では既に ID カードによって個人情報を全て記録し、公的な手続きが必要な際にはカード一枚で済ませられるような国もあります。

そのような情勢の中で、日本国内では紙・ハンコによる従来の手続きを廃止し、ペーパーレスに向かう動きが加速しています。 

スピードが求められる現代ではハンコは不要?

2020年6月に、政府は民間企業が取り交わす契約について「押印は特別の決まりがない限り不要である」との見解を発表しました。

それまで、契約書においてハンコの押印は必要という声も大きかったのですが、この発表によって、ハンコ文化を捨てて、電子化を進める企業がより加速する動きもあるようです。

この声明が発表されたのは、コロナウイルスの影響もありテレワークを行う企業が急増したこと、現在の契約や決済にはスピーディーさが求められていることが理由と言われています。

押印についてのQ&A

電子化によって煩雑な業務を減らせる

書類の電子化は、業務負荷を軽減できる点においては多大なメリットがあります。契約のたびに取引先の企業や個人に対して契約書を送り、ハンコを押してもらい、さらに返送して保管するという一連のプロセスを排除できるためです。

電子化した場合、メールなどを使って相手に電子書類を送れば事足ります。郵送代もかかりません。さらに、電子データは紛失や書類の劣化なども発生しないので、保管がしやすいというメリットもあるのです。

電子承認について知ろう

電子承認について知ろう

まだまだペーパーレス化が進んでいなかったものの、テレワークやWeb会議の増加をきっかけに、電子化を目指す企業もあるのではないでしょうか。

電子書類を用いて契約に必要な手続きを交わすのが「電子承認」です。ペーパーレスに移行するにあたっては、電子承認の基礎的なポイントを押さえておきましょう。

電子承認とは

電子承認とは、紙面で行う押印やサインといった承認証明を電子化された書類に対して行えるシステムのことです。

電子承認の方法には「電子サイン」や「電子署名」といったものがあり、それぞれに法的効力ややり方が異なります。

電子承認を行うためにも、それぞれの承認方法についても知っておくことが重要です。

デジタルと紙の違い

では、デジタルで作成した契約書と紙で作成した契約書では何が違うのでしょうか?それぞれの特徴を整理してみました。

デジタル契約書比較項目紙の契約書
PDFフォーマット紙の書類
電子署名、タイムスタンプ証明方法捺印、サイン
メール、クラウド共有方法郵送、持参
サーバー、クラウド保管方法キャビネット
かからない印紙税かかる
あり証拠能力あり

電子署名やタイムスタンプを付与したデジタル契約書は証拠能力として十分であり、紙の契約書と同じくらいの法的効果を発揮します。

それ以外の部分を比較してみると、デジタル契約書の方が効率性に優れていることがわかります。

「本人性の証明」と「非改ざん性の証明」

電子承認を実現するには、承認に対して「本人性の証明」と「非改ざん性の証明」を行わなければいけません。

「本人性の証明」とは、第三者によって不正に承認されていないかを証明するものです。主に、第三者機関である電子認証局によって発行された電子証明書を使用し、署名者が本人であることを証明します

「非改ざん性の証明」とは、作成した書類が改ざんされないことを証明するものです。主に、時刻認証局によって発行されるタイムスタンプを付与し、これを暗号化した上で書類のメタ情報として加えます。

以上2つの証明により、電子承認は十分な証拠能力を備えることが可能です。

電子サインとは

スマートフォンを購入した際や、新しく電話を開通した際に、タブレット端末に手書きのサインを行った経験はあるのではないでしょうか。あの方法が電子サインです。

手書きであってもデータとして保存されるので、購入や契約の簡易証明として用いられます。

電子サインの定義は幅広く、音声を用いるといった方法がとられることもあります。手軽さというメリットがある一方で、証明の効力としては電子署名などより弱く、社間取引などの大事な契約で用いられることはほぼありません

電子印鑑や電子署名とは

電子印鑑とは、印影の画像データを押印の様に、電子文書に貼り付ける方法のことで、実際のハンコと使い方は似ています。

電子印鑑の問題は、印影の複製や加工が比較的容易なため、証拠能力としては弱い点です。「認印」のようなものだと思えば差し支えないでしょう。

対して電子署名は「実印」と同じように法的効力が高く、重要な取引や契約においても用いられます。電子認証局・時刻認証局によって発行された電子証明書を用いて、契約者本人にしか作成することのできない「秘密鍵」「公開鍵」を使って署名を行います。

電子署名は企業がペーパーレス化を行う際には必須の知識です。より詳しく次の項目で解説します。

電子署名の基礎知識

電子署名の基礎知識

電子署名は、重要な取引契約の締結にも用いられる、企業にとっては知っておかなければならない電子承認の方法です。仕組みや法律、セキュリティについて詳しく見ていきましょう。

電子署名の仕組み

電子署名には「公開鍵」「秘密鍵」という二つの鍵を利用してデータのやりとりをする「公開鍵暗号方式」という技術が用いられます。

公開鍵とは、通信を暗号化するときに使う鍵のことで、誰でも利用できるように公開されています。一方の秘密鍵は、特定のユーザーのみが持つ鍵で、公開鍵で作られた暗号は対になっている秘密鍵でしか暗号化を解除できません。

公開鍵から秘密鍵を特定するのは不可能だと言われています。この仕組みを使い、重要な書類を当事者間のみで共有し、署名を交わすことで締結に至ります。

電子署名について定めた法律

2001年に電子署名法が施行されています。その内容は次の通りです。

第三条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

出典:電子署名お呼び承認業務に関する法律-e-Gov

この法律によって、適正に管理された書類であれば、手書きの署名と押印と変わらない法的効果を、電子署名が持ち得たということになります。

電子署名のセキュリティ

電子署名の安全性をより高めるために「電子証明書」が用いられています。これは、認証局(CA)と呼ばれる第三者機関が、送信者側の本人確認ならび公開鍵・秘密鍵を確認した後、公開鍵の電子証明書を発行するというシステムです。

第三者による本人確認が行われるため、一層厳重なセキュリティを設けることができます。

ワークフローシステムについて知ろう

ワークフローシステムについて知ろう

ワークフローシステムを導入し、経理や稟議のプロセスを電子化する企業も増えています。電子化をより円滑に行うために、ワークフローシステムについても詳しく知っておきましょう。

ワークフローシステムとは何か

ワークフローとは、業務の一連の流れそのもの、もしくは流れを図式化したもののことを指します。

ワークフローの言葉の定義は幅広いのですが、「ワークフローシステム」は、経理や稟議などにおける申請手続きを管理するシステムのことで、業務プロセスを管理する「BPM」とは区別して用いられます。

申請や承認における機能

申請段階で用いられる機能には以下のようなものがあります。

  • 進行状況の確認機能
  • 取り下げ機能
  • 稟議・契約書の複製機能
  • 編集を許可するかの設定

一方、承認段階で用いられるのは次のような機能です。

  • 一括承認
  • 代理承認
  • 却下・差し戻し
  • 担当者の変更
  • 署名

またどちらも共通する機能として、コメントの記入や通知機能、ファイル添付や担当者の指定機能などがあります。

管理上の機能

ワークフローを管理する上で利用できる機能には、以下のようなものがあります。

  • データの出力機能
  • 監督機能
  • 承認経路の設定・変更機能
  • 他システムとの連携

ワークフローを使用する上での言語設定や連携の設定、また承認の際に誰から誰へ順番を回すのかといった順路の決定が行えます。

会計システムやデータベースなど、他システムと連携させることで、記載内容の照合を簡単に行えるようにすることも可能です。

電子承認を導入するメリット

電子承認を導入するメリット

電子承認を企業として導入することで、どのようなメリットがあるかを解説します。

ビジネススピードのアップ

紙面で契約や稟議をやりとりしていた場合、郵送する時間、次の承認者の元へ書類が運ばれるまでの時間的ロスが発生します。

電子承認であれば、その時間はかかりません。メールなどオンライン上で簡単に送れます。ワークフローシステムの中には、届いたことを相手に告知するソフトもあり、届いてからの確認も早いのです。スマホなどで、外出先も承認作業が行えます

オンラインミーティングなどで契約が決まった際に、「後で書類を郵送する」のではなく、その場で承認することもできるので、ビジネススピードがかなり向上します。

社員の居場所に関わらず承認フローを回せる

電子承認を導入することにより、社員の居場所にかかわらず承認フローが回せるようになります。

たとえば、外出が多くなかなか掴まらない上司から承認を得なければいけないときは、承認フローシステムを用いて当人の承認が必要なことを通知できます。

通知を受けた上司はクラウド上で素早く承認作業が行え、上司が掴まらなくても問題なく承認フローが回せるようになるでしょう。

コストや負担の軽減

紙の書類で承認プロセスを行う場合には、電子フローと比較してコストが多くかかります。印刷代や郵送代、紙代がまずはかかるでしょう。1回ごとの取引では少額かもしれませんが、長期的に考えればコストも無視できないレベルになります。

管理コストもかかるでしょう。紙書類の場合は保管しておく必要があるため、書類保管のためのスペースやファイル分けなどを行い、不要になったものはシュレッダーにかけるなどの処分を行わなければなりません。

一方、電子承認では全てのデータをサーバーで管理しているため、整理も処分も全てPC上の操作で完結します。管理する社員のコストや負担も軽減できるのです。

セキュリティ面の信頼性

一見すると、電子データの管理は危険なように見えるかもしれません。しかし、暗号化などの技術進歩によって、外からの侵入には強いシステムも多くなっています。

またデータベースに直接アクセスできる社員の制限など、ソフト自体に付属している制限機能を利用することで、データの持ち出しやコピーなどをできるスタッフを制限できます。

万が一社内から不審な操作やアクセスがあった場合でも、履歴を辿って特定することもできます。簡単に印刷や持ち出しができる紙の管理よりも、はるかに安全と言えるでしょう。

電子承認導入における注意点

電子承認導入における注意点

電子承認には紙書類での承認に比べるとメリットも多いですが、電子ならではの注意点もあります。どのような点に注意すべきかを具体的に見ていきましょう。

全ての書類や契約が可能なわけではない

電子署名法によって電子書類でも契約を交わすことができるようになりましたが、全ての契約に適用されるわけではありません。以下の契約などについては、法律により書面が必須とされています。

  • 定期借地・定期建物賃貸借契約
  • 宅地建物売買等媒介契約
  • 訪問販売等特定商取引における交付書面
  • 訪問販売等特定商取引における交付書面

現状少しずつ緩和の方向に向かってはいるものの、現状は主に不動産関連の契約については、書面での契約が求められています

会社規模によってはコストが負担になることも

これまでまったく電子承認を行ってこなかった企業が導入する場合には、機材やソフトを揃える必要があります。PCやタブレット、電子ペンなどの機材のほか、フローチャートシステムのソフトや電子印鑑のひな形の作成など、初期の費用がどうしてもかかってしまうものです。

また、紙で管理していたものを一気に電子化すると社員が対応するのが難しく、パフォーマンスが下がってしまうことも考えられるでしょう。

これからは導入する企業がますます多くなると考えられるため、長い目でみればかけたコスト以上の回収が期待できるものの、初動にコストがかかってしまうのは免れられません。導入のためのコストを想定しておくことが必要です。

取引先の環境も考慮する必要がある

契約は一方の都合で交わすことはできないため、取引先の環境についても考慮することが求められます。自社が電子承認に切り替えたとしても、大口の取引先が紙面契約を交わしているというケースは十分あり得るでしょう。

そうなれば、電子承認を行うためには先方の理解と電子承認システムの導入も必要になってきます。

反対に、自分たちが紙による契約を続けたくても、先方から電子承認導入の提案をされることもあるでしょう。そのような場合にどう対応していくのかも考慮しなければなりません。

電子と紙書類両方で対応できるのが理想的ではありますが、管理の手間が余計にかかってしまいます。取引先と協議し、お互いにとって妥協点を探っていくことも重要です。

電子承認システム導入の準備

電子承認システム導入の準備

電子承認システムを導入するにあたっては、先だって決めておくべきことがいくつもあります。決定事項に従って導入に入れるように、事前に決定しておくべきこと、準備の内容を明確にしましょう。

扱う書類や業務を明確にする

先述した通り、全ての書類や業務を一気に電子化するのは会社にとってかなりの負担がかかります。加えて、法的理由や取引先の環境などが原因で電子化できない業務もあるでしょう。

段階的に移行していくのなら長期的な計画を立てる必要があります。その際に、まずどんな業務に携わる書類や契約から電子化していくのかを明確化しましょう。

該当書類や契約書を扱う社員に心構えや移行の準備期間を与えることが、移行をスムーズに行うポイントです

導入担当や利用範囲を明確にする

導入するシステムの選定を誰が主軸になって行うのか、また初期設定や初回登録などの導入作業を誰が行うのか、担当者を決めておきましょう。

社内だけで導入作業を行うのか、それとも外部の事業者などに行ってもらうかによって、導入期間やコストが変わってきます。

初期の段階では、利用範囲の明確化も重要です。例えば、一般社員であっても休暇届の申請や勤怠管理表などは扱う権限を持っていないと不都合が生じる場合もあります。

部門内で完結できるものや、あるいは管理職のみで締結したい書類など、書類によって関与が必要な人員は変わってくるものです。

場合によっては、取引先や顧客への見積もり・請求など社外の人間も関わってくる場合もあるので、そういったケースで誰が担当するのかも決めておくと良いでしょう。

書類や承認相手によって、誰がどのように電子承認を行うのかをルール化しておいた方が、効率的な電子承認が可能になります。

システム連携や管理者を明確にする

ワークフローシステムや、クラウドサインを導入する場合、全社員に編集などの権限を与えると混乱が生じてしまい、セキュリティの観点から見てもよくありません。

誰がシステムやソフトの管理を行うのか、担当者を明確にしておくことで、新規アカウントの発行や削除、その他の管理に関わる業務を円滑に進めることができます。

また、データベースや社外のシステム、他社のサーバーなど、他システムとの連携も必要になってきます。あらかじめどのシステムと連携する必要があるのかを明確化しておくことで、連携が可能なシステムの選定やカスタマイズも行いやすくなります。

まとめ

市場の細分化やオンライン事業の促進などによって、今後はますます決済・契約のスピーディー化が求められる時代です。

また、電子化のためのインフラは徐々に整えられつつあり、ワークフローシステムを導入して、申請書の発行や稟議書の作成・承認を自動で行う企業も出てきています。ペーパーレスの企業が増えていくでしょう。

電子承認は、コストや時間の軽減、管理のしやすさ、セキュリティの面から見てもメリットがあり、取引先などをはじめ周囲が電子化していくのであれば、合わせて自社も電子化する必要が出てきます。

1度にペーパーレスに切り替えようとすると、社内外の仕事に弊害が出る可能性も高く、段階的に優先事項の高い業務から電子化していく必要があります。

時間をかけて行った方が導入負担も減るため、ペーパーレスを目指すのであれば、早い段階から計画を立て、準備していくことが重要です。

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