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稟議・決裁をシステムで効率化!課題と導入のポイントを解説

掲載日:2020年9月4日更新日:2024年2月21日

稟議・決裁は重要ですが、その分だけ時間や手間がかかってしまいます。稟議・決裁にワークフローシステムを導入することで効率化し、時間短縮や負担軽減を図りましょう。システム導入の課題やポイントについて解説します。

稟議とは?

稟議とは、会社や官公庁などで必要な事柄について、それを書面にし、複数の関係者から承認を得る手続きのことを言い、その文書のことを「稟議書」と言います。
稟議書は他にも、「起案書」や「立案書」と呼ばれることもあります。

稟議とはどのような場面で使われるのか?

稟議を行う具体的な例は以下のとおりです。

  • 会社に必要なパソコンなどを購入する
  • クライアントと契約を結ぶ
  • 新入社員の採用

このように稟議が必要になるのは、1人では決めることができないが、会議を開く必要はない内容の承認を得る場合です。

稟議の重要性

通常であれば、承認を得る事柄については会議を開き、わかりやすく承認を得る幹部等に対して説明をしなければなりません。
またそれには、会議に出席する全員のスケジュールを合わせなければならなかったりなど、効率が悪くなる可能性があります。

しかし稟議を行うことによって、その都度会議を開く必要がないため、通常の会議よりも素早く物事の意思決定をでき、業務の効率化を図ることができます。

稟議の流れ

ここでは稟議が行われるまでのフローを解説します。

稟議が決裁されるまでに行う手続き

稟議の手続きは以下のような流れで承認されます。

1.稟議書の作成
2.稟議書番号またはIDを取得
3.上長から順番に高い役職が回覧
4.稟議書の決裁

まず、申請をしたい人が稟議書を作成し、必要な事項を記入します。
稟議書はそれぞれ番号やIDが振られていることが一般的です。会社のマニュアルに従い申請番号の記入も行いましょう。

稟議書の作成が完了したら、上長から順番に高い役職者へ承認を得ていきます。承認を得る「決裁」をどの位の役職者まで行う必要があるかは、稟議の内容によって異なります。

一般的に、「金額が大きい」「全社的な取り組み」など影響力の大きな内容であるほど、高い役職者や多くの承認者を必要とします。

全ての承認者の回覧が済み決裁されると、稟議の承認が完了します。

このように稟議書は多くの人を介し、内容に応じてフローが異なることがあるという特徴を持ちます。

 稟議書に記載する項目

稟議書には主に次のような内容の記載をします。

・申請事項
・申請内容の詳細
・申請する目的
・発生する費用
・申請事項を実施する目的、事由

「申請事項」には、何について稟議を申請したいのか概要を記します。取引先との会食を行いたいのであれば「N社との懇談会」などと記載します。

「申請内容の詳細」「発生する費用」には、「いつ」「どこで」「何を」「どれほど」などの情報を詳細に記します。例えば、懇談会の場合であれば「予定日:2022年9月12日」「場所:鉄板焼きレストランA」「金額:20万円」などと記載します。

「申請事項を実施する目的、事由」では、申請する事柄が会社にとってどのような利益・効果があるのか分かりやすく説明します。

稟議書の効率的な書き方

稟議書は、書面で関係者に承認を得るため、書き方が簡潔でわかりやすいものでなければなりません。
組織によってある程度書き方などのテンプレートは決まっていると思いますが、以下に稟議書の効率的な書き方について解説します。

稟議書は簡潔明瞭に

稟議書は簡潔明瞭にまずは結論から書くようにしましょう。
なぜなら、仕事で必要不可欠な事柄でも形上、稟議書により承認を得なければならないものもあるでしょう。そのような場合は結論だけ見て承認をもらえることもあるでしょう。
しかしそれが説明から入り、時間をかけすぎてしまうと、稟議書の承認をする担当者は日々大量の書類に目を通さないとならないため、その負担が増えてしまうことが予想されます。
また分かりにくい場合は、差戻しになってしまう可能性もあります。

検証されたデータや数字を用いる

例えば、「新しくパソコンを導入する」といった承認を得る場合、単に業務効率が上がるといったメリットだけでなく、検証されたデータや数字を用いるようにしましょう。
具体的には「新しいパソコンの導入で効率的になった分、従業員の残業時間が減り、その分、会社から支払う残業代が減ることで、パソコンの購入費が元がどのくらいでとれます。」といった可視化されたデータを用いることで、稟議書の説得力を上げることができ、承認を得やすくなるでしょう。

良い部分のみを書かない

何事にもメリットとデメリットがあるのが世の中の常です。
稟議書も同じで物事の良い面のみを書いていたら、「何かデメリットもあるのではないか?」と懐疑的な印象を与えかねません。
そのためしっかりとデメリットも記載した上で、それを上回るメリットがあることを伝えるようにしましょう。

稟議と決裁の違いを知る

稟議と決裁の違いを知る

会社組織においてはさまざまなシーンで稟議が行われます。そのため「稟議」自体の役割や概要については知っている方も多いでしょう。しかし、稟議の明確な定義や決裁との細かな違いを把握していないという方もいるのではないでしょうか。

ここで稟議と決裁の違いを明確にし、それぞれの役割について正確に把握しましょう。

稟議は複数関係者から承認を受けること

組織運営に関わるような重要事項であれば、役員を集めて会議で決めるのが一般的な方法です。

しかし、備品の購入や契約の締結、外注先への支払いといった話し合いが不要な事柄にまで、わざわざ会議を開くのは効率的ではありません。

そのようなときに、内容を書面でまとめ、関係者に回覧して承認を得る方法が「稟議」です。役員の意思確認の方法として、多くの企業に用いられています。

決裁は役職者に直接承認を受けること

必要書類を作成して、決定権のある人間から承認を得るという過程が稟議と似ているため混同しがちですが、決裁と稟議には明確な違いがあります。

「決裁」は、決定権を持つ役職者に直接書面を確認して承認をもらう方法です。決裁できる内容や規模は役職によっても変わります。

重要事項の決裁には決裁書が発行され、銀行や監査法人に対するエビデンスとなる場合もあります。

稟議制度における課題

稟議制度における課題

稟議制度は組織的に動くという点において優れている一方、現代のビジネスでは様々な課題も浮き彫りになっています。稟議制度にどのような課題があるのかを見ていきましょう。

申請・承認までのタイムラグやコスト

稟議制度では、関係者に書類を回覧し、承認を得るという方法をとっています。関係者全員に意見確認を行い組織的に動けるというメリットがある一方で、申請・承認までの時間がかかるという問題があります。

紙媒体を利用している場合はリアルタイムで進捗状況を確認することができず、申請者からすると承認に至るまでの過程がブラックボックス化してしまうこともあります。

特に大きな組織で関係者の数が増えてくるとその分時間も必要になります。また、書類を回覧するための事務スタッフの手間や時間もかかりますし、書類の保管や廃棄についても、一般的な書類より慎重を期さねばならず、管理コストがかかります

現代ビジネスでは見直しが必要

現代ではビジネスのグローバル化が進んでいます。海外への進出はもとより、国内に進出してくる海外企業に対抗するためには、スピーディーさは必要不可欠です。

日本企業は海外企業と比較すると、「即断即決ができない」と言われることがあります。その理由の一因が稟議にあります。稟議は性質上時間がかかってしまうため、結果としてビジネスチャンスを失ってしまう恐れもあるのです。

特に、紙面で稟議を行っている場合にはより動きが遅くなってしまう傾向が見られており、グローバルなビジネスを行っていくためにも、ペーパレス化・電子化は不可欠だといわれています。

ワークフローシステムで稟議・決裁をペーパーレス化

ワークフローシステムで稟議・決裁をペーパーレス化

よりスピーディーなビジネスを行うためにも、ワークフローがの見直しが不可欠です。そのために、ワークフローシステムを導入する企業が増えています。

ワークフローシステムとは何か、概要やメリットを紹介します。

ワークフローシステムとは?

ワークフローは、業務における一連のプロセスのことを指します。稟議・決裁におけるプロセスとは「申請・承認・保管」です。あるいは「棄却」や「差し戻し」に分岐することもあります。

この一連のプロセスを、ツールやアプリによって自動化するのが「ワークフローシステム」と呼ばれるものです。システム化の中には、従来利用していた紙でのやりとりから電子化への切り替えも含まれます。

ワークフローシステム導入のメリット

稟議・決裁をペーパーレスできて効率化

ワークフローシステムを使うことで、稟議・決裁をペーパーレスにできます。その結果、受け渡しはオンラインでできるため、書面のときのように関係者に書類を運ぶ手間もありません。

また、電子データなので社外にいても承認・決裁が可能になるので決裁者の外出が理由で手続きが滞ることなくなるため、稟議・承認までの速度が向上します。

取引や発注に関する承認速度が上がることで、関連業務が承認を待って待機している時間もなくなります。業務全体が円滑になり、スピードアップが見込めるでしょう。

ミス防止やコストカットも

稟議・決裁のフローをシステム化することで、ヒューマンエラーを回避できます。

例えば、稟議書の回覧を自動化できるので、送信ミスで違う人に送ってしまった、本来回覧すべき人をスルーしてしまう、という人が行うと発生してしまいがちなミスがなくなります。情報の外部漏洩や送信ミスを防ぐことができるのです。

電子データによる送受信なので印刷代や紙代、管理する人間の人件費がかからなくなります。それによるコスト削減に繋がるのも、ワークフローシステム導入のメリットといえるでしょう。

セキュリティ強化

ワークフローの導入は情報漏洩などのセキュリティリスクを軽減することができます。

稟議に記載されている情報は「取引」や「高額物品の購入」など会社の内部情報に関わる物であるため、紛失することや外部へ持ち出されることはあってはなりません。また、本来のフローとは異なる承認方法は現場の混乱を招きます。

こうした、「紛失」「外部への流出」「勝手なフロー変更」などの内部統制の弱体化が横流しやリベートといった不正行為が発生するきっかけとなることもあります。

稟議を電子化することでこうした内部統制の強化に繋がります。

ワークフローを導入することで、適正なフローでなければ承認できないようなシステムへの変更や、承認の過程を履歴に残すこともできます。

このように、ワークフローの導入は従来の稟議の承認業務を効率化するだけでなく、システム面からのセキュリティ強化に繋がります。

ワークフローシステム導入のポイントと注意点

ワークフローシステム導入のポイントと注意点

ワークフローシステムを導入する際に注意すべきポイントについて解説します。自社に最適なシステムを選定し、活用するために役立てましょう。

導入の手順

いきなり全ての稟議・決済を電子化しようとすると、混乱が生じる可能性があります。それまで書類で保管していた資料をデータ入力したり、フローを再編成する手間もあるため、一気に電子化を推し進めるのはおすすめできません。

まずは一つの部署、一つのチームなどから試験的に始め、それから徐々に拡張していくといったように、段階を踏んで導入していきましょう。導入していく間に、別の方法がよいといった提案や問題点も出てくるので、そういった点も踏まえてフローを改善していきます。

ワークフローシステムの導入方法は、「電子稟議は複雑な規程にも対応可能。メリットや設定方法とは」をご一読ください。

人と制度も変えていく

ワークフローシステムを導入し、ペーパレスを進めていく上で重要なことがあります。それは、人と制度も同時に変えていくことです。

システム導入後は稟議書は早く決裁者の元に回ってくるでしょう。しかし、決裁者がいつまでも書類を確認しない、決裁を保留にするような状況ではシステムを導入するメリットが活かせません。この場合は、期限短縮など、制度自体を変えていくことが求められます。

また、人も変わっていかなければなりません。変更した制度に対応することはもとより、それまでと違い、外出先やスマホからでも承認・決裁が可能になったのですから、システムを使うことを習慣づけ、スマホやPCからでもアクションを起こすように意識を変えていく必要があります。

コストと使いやすさも比較

システムにはさまざまなものがあります。無料で利用できるもあれば高額なものもあり、機能においても基本的なものしかないもの、分析や手厚いサポートが受けられるものまで千差万別です。

コスト面でいえば、紙面で書類を作成していたときよりも運用コストがかさんでしまえば、システムを導入するメリットが薄くなってしまいます。

かといって無料や低額のシステムは最低限の機能しかないものも多いので、機能とコストの両方の面から検討し、自社に適したシステムを選ぶ必要があるでしょう。

また、自社がすでにデータベースを運用しているなど一部電子化を始めている場合は、そのデータベースに対応できるかも重要になってきます。

会社で現在使っているシステムから変えなければならないようなシステムでは、導入コストがかさんでしまうので、自社のシステムを活かせるかどうかも、システムを選ぶ上での検討材料です。

まとめ

現代のビジネスの場では稟議・決裁はスピーディーに行うことが求められており、そのためにペーパレスに切り替える企業も増えています。ワークフローシステムを導入することで、フローが効率的になるだけでなく、業務効率化にも結びつきます。

自社に最適なシステムを選ぶことで、稟議と決裁をより簡潔に行えるように、社内制度や働いているスタッフの意識改革も行っていきましょう。

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