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ARTICLE[図解]デジタル庁が発足!金融業界への影響について調べてみた【やまざき調べvol.30】
こんにちは!金融カスタマーサクセス部やまざきです。
デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針の概要によると、”新型コロナウイルス対応においてデジタル化の遅れ等が顕在化”している中で”IT基本法の全面的な見直しを行い、デジタル社会の形成に関する司令塔としてデジタル庁(仮称)を設置”したそうです。
ということで、今回はデジタル庁の発足によって金融業界にはどんな変化や影響があるのかをまとめてみました!
デジタル庁って何するところ?
IT基本法とは
IT基本法とは、「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」の通称です。ITを活用することで豊かで競争力のある社会を実現すべく2000年に施行されました。翌年2001年には、”2005年までに世界最先端のITの国家となる”ことを目標にe-Japan戦略を制定し、ブロードバンドの普及などを実施しています。
※デジタル社会形成基本法の制定に伴い、現在は廃止されております。
デジタル庁設立の背景
2000年のIT基本法施行後、ビッグデータの活用やDXなどデジタル社会はより進展したものの、10万円の特別定額給付金支給を中心とした新型コロナウイルス対策では行政のデジタル化遅れが顕在化されました。
そうした中でIT基本法の全面的な見直しを行い、デジタル社会の形成に関する司令塔として設置することになったのが令和3年9月1日に発足予定のデジタル庁です。
デジタル庁が実現すること
「人に優しいデジタル化」や”「誰一人取り残さない」デジタル社会の実現”を目指し、国の情報システムの方針策定や全国の基盤クラウド化などの司令塔として企画や統括、調整などを行います。
金融機関に関わる部分は?
デジタル庁のHPをいろいろ見ると、今年2021年5月に公布された法律2つがとくに金融機関が絡む内容でした。
余談ですが、やまざき調べを書くために時々目を通すものの、法律に関わる書類を読むのが苦手です。恥ずかしいことに犯収法の記事を書くまでは公布と施行の違いさえわかりませんでした。今回も法律を理解する作業をスキップするわけにはいかず、概要資料を読みながらホワイトボードツールで少しずつまとめることで内容を把握しました。
公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律(令和3年法律第38号)
2020年に一律支給された特別定額給付金のように、国民の生活や経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある災害・感染症の発生や経済事情の急激な変動があった際には、内閣総理大臣が特別公的給付を支給します。そのときに国民一人ひとりの振込先情報が必要です。
デジタル庁によると、公的給付を受け取る預貯金口座を、3種類の方法でマイナンバー情報とともに登録することで迅速かつ確実に支給できるようにします。
1.マイナポータルからオンライン申請
2.預貯金者の同意により、行政機関が取得又は保有する口座情報の提供
3.金融機関における登録申請
この法律は公布日である2021年5月19日から2年後の2023年5月19日までに施行予定ですが、金融機関における申請は3年以内である2024年5月19日までに施行されるそうです。
預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律(令和3年法律第39号)
デジタル庁によると、この法律が施行されると、金融機関は口座開設その他重要な取引を行うとき、預貯金者に対し、下記2点の確認が必要となります。
1.口座情報をマイナンバーで管理したいか
2.マイナンバーでの管理を希望する場合は他行の口座情報もまとめて管理したいか
希望する方の本人確認情報とマイナンバー情報を収集し、預金保険機構に通知します。上記2を希望した方の情報は預貯金保険機構から各種金融機関に通知され、通知を受けた金融機関は同一のお客様の情報にマイナンバーを紐付ける必要があります。
この法律の施行により、災害時に他行の窓口で自分の口座情報を確認できるようになったり、相続人が被相続人の預金口座がある銀行をリストアップしたり、その窓口に行くと口座情報を情報提供してもらえるようになるそうです。
この法律は公布日である2021年5月19日から3年後の2024年5月19日までに一部内容を除き施行予定です。
マイナンバーを提出したいと思わせる仕掛けづくりを
私の所属する金融本部のメンバー数人に話を聞いてみたところ、「マイナンバーカードは持っていてもマイナンバー情報を使うことがめったにない」という声がちらほら寄せられました。マイナンバーの存在にメリットを感じられている方はまだまだ多くないのかもしれません。
しかし、住民票の取得やマイナポータルを使った自分の所得情報の確認、昨年は特別公的給付金の申請など、マイナンバーを使ってできることは年々増えています。今回施行される法律でも、マイナンバーを金融機関に提供すると預金者側に以下のようなメリットがあります。
- 感染症の流行や経済危機に陥ったときの特別公的給付をより早く受け取れるようになる
- 災害時に自分の口座情報をまとめて確認できるようになる
- 相続人が被相続人の口座有無情報などを確認できるようになる
せっかく金融機関で口座開設する際にマイナンバーに関する確認事項が増えるなら、こうしたメリットをはっきりとお伝えすることで、もしものときに活用する方が増えてほしいです。
金融機関にとっても被相続人の口座情報を正しく把握することで相続手続きの手間が削減される可能性もあります。
また、マイナポータルの利用などマイナンバーをもっと活用するにはマイナンバーカードがあると便利ですが、カードを持っていない方に話を聞くと、「発行に手間がかかる印象。何年も発行せずにいるので今どういう手続きが必要なのかさえわからない」「申請をするための顔写真を用意するのが手間」という方が数名いました。
マイナンバーカード総合サイトを見ても、”マイナンバーカードの交付申請から市区町村が交付通知書を発送するまで、概ね1か月間”かかり、通知書が届いた後は公布窓口までマイナンバーカードを受け取りに行く必要があるため、なかなかすぐには発行できないようです。
本来は行政の仕事ですが、金融機関がマイナンバー活用のメリットを享受するためにはマイナンバーカードを発行して金融機関に申請したくなる仕掛けづくりを考えても良いのかもしれません。
2024年までに、口座開設フローの見直しが必要?
ご紹介した法律の金融業界に関係ある部分は2024年5月までに施行される予定です。準備できる期間は3年弱。特に口座開設時の確認事項が増えるため、申込み方法ごとにフローを見直しておく必要がありそうです。
非対面での口座開設において郵送でキャッシュカードなどを送付している場合は、そのまま郵送でマイナンバー収集ができれば導線づくりのコストは抑えられるかもしれません。しかし、口座開設時の確認が必須になると今までよりもマイナンバー提出者は増加します。マイナンバー提出手続きを簡素化し、事務担当者の業務負担を軽減する施策の一つとしてマイナンバー収集業務のWEB化ができれば、2024年の施行までに体制が出来上がっているのではないでしょうか?
しかし、マイナンバーの収集・管理には高いセキュリティレベルが求められます。既存のスマホアプリやWEBアプリを改修するにも、開発費用や時間が長くかかる可能性があります。
弊社で提供しているスパイラルは、部品を組み立てることで簡単にアプリ構築やカスタマイズができます。スパイラルの他に「スパイラルマイナンバー管理サービス」も提供していますが、例えば既存のお客様で、口座開設WEBアプリをスパイラルで作っている場合、そのフローにマイナンバー管理サービスを組み込むことができます。もちろん、マイナンバー収集のみでのご利用も可能ですし、口座開設とマイナンバー収集をセットにしたアプリ開発も可能です。
また、口座開設やマイナンバー収集に繋げるための施策(発行促進や集客など)についても、パイプドHDグループ全体でご提案も可能だと考えています。お気軽にご相談ください!
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