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顧客管理にスプレッドシートを活用する方法│メリットと注意点も解説

掲載日:2023年1月4日更新日:2024年6月28日

最適な営業・マーケティング活動を行うためには、顧客情報を適切に管理することが重要です。顧客ニーズの多様化・企業環境の変化により、顧客管理の手法に注目が集まっています。今回は顧客管理にスプレッドシートを活用する方法や、メリット・注意点を解説します。顧客管理の更なる効率化を求めたい、もしくはこれから始める場合は、ぜひ参考にしてみてください。

顧客管理が注目される背景

顧客管理が注目される背景として、主に以下の2点が挙げられます。

・IT技術の進歩

・働き方改革の推進

IT技術の進歩による顧客ニーズの多様化

これまで企業はテレビ・新聞・雑誌など大手メディアを活用して、すべての顧客に対し同一の営業・マーケティング活動を行ってきました。しかしITの技術や環境が進化したことで、顧客は自分の必要な情報をみずから探し、取得することが可能となっています。このためこれまで通り、すべての顧客に同一のアプローチをしていたのでは、競合に遅れをとり売上機会を逃してしまう恐れがあります。

今後も企業が存続・成長していくためには、顧客との取引履歴・コンタクト履歴を企業内で適切に共有し、興味・関心などの多様化した顧客のニーズに素早く応えていく必要があります。

働き方改革推進による新しい働き方の導入

対面でのやり取りが制約される中、我が国では将来の労働人口減少に備えて働き方改革を推進しています。業務の効率化を目指すとともに、仕事場所を選ばない新しい働き方としてリモートワークを導入する企業も急増しています。このような環境下で、いかに効率的に情報を共有するかは非常に重要であり、顧客管理が注目される背景となっています。

顧客管理とGoogleスプレッドシートとは

ここでは顧客管理とGoogleスプレッドシートについて、改めて解説していきます。

顧客管理とは

顧客管理とは、企業の保有する顧客情報を関係者間で共有し、営業・マーケティング活動に活用することで企業利益の最大化を目指すものです。近年のIT環境の急速な変化により顧客ニーズは多様化しており、迅速に顧客ニーズに応えることが企業の存続・将来の成長に不可欠になっています。これまで各営業担当者が保有・管理していた顧客情報は、顧客管理により会社の財産として共有し有効活用する必要があります。

Googleスプレッドシートとは

Googleスプレッドシートとは、Google社が無償で提供している表計算ソフトです。同様の機能を有するMicrosoft社のエクセルは、プログラムをパソコンにインストールする必要がありますが、Googleスプレッドシートは、ブラウザ上で動作するためインストールが不要です。Googleアカウントがあればすぐに利用を開始することが可能で、パソコンに限らずタブレットやスマホからもデータの閲覧・編集を行えます。また複数人での同時編集にも対応しています。

無料で利用できる点に加え、エクセルを利用したことがあれば違和感なく操作ができ、またエクセルデータとの高い互換性を有していることから、近年急速に普及が進んでいます。ただし、利用するためにはインターネットに接続できる環境が必要な点には注意が必要です。

顧客管理にGoogleスプレッドシートを活用するのが適した企業

顧客管理にGoogleスプレッドシートを活用するのが適した企業として、以下の3点が挙げられます。

・顧客数、管理項目が少ない

・厳格なセキュリティ対策が必要ない

・ユーザーが一定水準のIT知識、能力を持つ

顧客数、管理項目が少ない

エクセルと同様、Googleスプレッドシートでも取り扱うデータ量の増加により、どうしても動作が重くなっていきます。このため顧客数がそれほど多くならない企業に向いているといえます。膨大な量の顧客情報の管理が想定される場合には、起動の遅さ・作業中のフリーズなどにより、業務効率が逆に悪化してしまわないよう注意しましょう。管理項目が顧客の基本情報などに限られる場合にはデータ量が少ないことから、Googleスプレッドシートが有効活用できます。

厳格なセキュリティ対策が必要ない

Googleスプレッドシートは、社内・外出先問わず関係者間で情報をスムーズに共有することが可能です。しかし、URLを知っていればかんたんにファイルにアクセスができるため、情報漏洩・アカウントの不正利用のリスクを有しています。ファイル自体はGoogleのサーバー上で厳格に保管されているとはいえ十分に注意しましょう。Googleスプレッドシートは社内規定で定めるセキュリティレベルがそれほど高くなく、厳格なセキュリティ対策が必要でない企業向けといえます。

ユーザーが一定水準のIT知識・能力を持つ

共有するGoogleスプレッドシートはURLを知るユーザーがかんたんにアクセスでき、また権限設定によっては編集も可能です。そのため正確なデータを適切に共有・運用していくためには、共有ファイルの取り扱い関してユーザーに一定水準のIT知識・能力が求められます。エクセルと近い感覚で操作自体はできますが、運用ルールに関して周知が必要になるでしょう。

Googleスプレッドシートで顧客管理のデータベースを作成する方法

Googleスプレッドシートで顧客管理のデータベースを作成する方法は、以下の5段階に分けられます。

・シートの新規作成

・管理項目の設定

・入力規則の設定

・利用者の範囲と権限設定

・顧客情報の登録

それぞれ詳しく解説していきます。

シートの新規作成

Googleスプレッドシートは以下の手順で新規のシートを作成します。

・【Googleアカウントにログイン】

・【Googleドライブを選択】

・【新規をクリック】

・【Googleスプレッドシートを選択】

以上で、新規のGoogleスプレッドシートが準備できました。

管理項目の設定

次に顧客管理で扱う顧客情報を選定していきます。BtoB企業では一般的に以下のような項目が管理項目となるでしょう。

基本情報(顧客コード、企業名、担当者名、担当部署・役職、住所、電話番号、メールアドレス、資本金、従業員数、ホームページ)

このほかに顧客との取引履歴コンタクト履歴(電話・メール・商談などのやり取り)も管理項目の候補として挙げられますが、入力作業の手間や取り扱いデータ増加によるGoogleスプレッドシートの動作の不安定化を考えると、管理項目は厳選する必要があります

なおBtoC企業では顧客情報の管理項目として、氏名・住所・性別・生年月日・勤務先・学歴・趣味嗜好など、BtoB企業と比べると管理すべき項目も変わってきます。

管理項目が決まったら、Googleスプレッドシートの横方向に各項目を登録しましょう。

入力規則の設定

入力規則の機能を活用して、登録者により表記ゆれが生じないように対策を講じましょう。シートへの入力ルールとして、「数字・漢数字」、「全角・半角」、など毎回同じ方法で登録をすることで、検索や集計をスムーズに行えます。また将来的に他のツールとの連携、移行を検討する場合にも、一定のルールに従って整備されたデータは手間が掛からず大変有効となるでしょう。

入力規則の設定方法は、次のとおりです。

・【データをクリック】

・【データの入力規則をクリック】

・【ルールを追加をクリック】

・【リストを直接指定する】

ここで登録したい文字を入力し、実際に登録した文字が選択できるかご確認ください。

利用者の範囲と権限設定

顧客管理用のGoogleスプレッドシートが準備できたら、シート右上の「共有」ボタンを押した後、ファイルの【リンクをコピー】を選択します。

コピーしたリンクを関係者に送信出来た後、各ユーザーに対して、【閲覧者】・【閲覧者(コメント可)】・【編集者】の権限を設定しましょう。
設定後、各ユーザーが共有ファイルにアクセス可能になります。

顧客情報の登録

【編集者】としての権限設定がされた場合には、顧客管理用のGoogleスプレッドシートの閲覧に加え、編集も可能になります。ルールにしたがって、顧客情報の登録を進めましょう。

顧客管理にGoogleスプレッドシートを活用するメリット

顧客管理にGoogleスプレッドシートを活用するメリットとして、以下の3点が挙げられます。

・コストメリット

・複数デバイスへの対応

・表やグラフを利用したデータ分析

コストメリット

顧客管理にGoogleスプレッドシートを活用した場合、最大のメリットはコスト面にあるといえます。顧客管理専用のツールを導入すれば、導入・保守コストが必要になりますが、Googleスプレッドシートではいずれも不要です。また新たなITツールを導入すると使い方を周知するための教育研修コストが必要ですが、エクセルに近い操作性のため特別な教育も不要です。あまりコストを掛けずに顧客管理を始めたい場合には大きなメリットがあるといえます。

複数デバイスへの対応

Googleスプレッドシートはパソコンだけなく、タブレットやスマホからもアクセスが可能です。外出先で顧客情報を確認したい場合やリモートワーク中の自宅でも、スムーズに必要な情報が確認でき業務効率のアップにつながります。ただしインターネットに接続できる環境でない場合には、ファイルにアクセス自体できないため注意が必要です。

表やグラフを利用したデータ分析

Googleスプレッドシートでは、グラフや表を作成する機能を利用すれば視覚的にもわかりやすい分析資料が作成できるでしょう。

なお「顧客関係管理ツール」としてテンプレートが複数用意されています。新規でゼロからシートの作成に取り掛かる前に、自社の顧客管理に活用できるテンプレートがないか確認してみてもよいかもしれません。もしテンプレートがそのまま使用できれば、シートを作り込む手間を大幅に省くことができるでしょう。

顧客管理にGoogleスプレッドシートを活用する際の注意点

顧客管理にGoogleスプレッドシートを活用する際の注意点として、以下3点をご紹介します。

・セキュリティ上の問題

・データ蓄積に伴う操作性の悪化

・分析する際の限界

セキュリティ上の問題

Googleスプレッドシートは、ファイルに対して【閲覧者】・【閲覧者(コメント可)】・【編集者】の権限を設定可能です。アクセスが容易な点はメリットですが、同時に情報漏洩のリスクを抱えることにもなります。企業にとって重要な機密情報である顧客情報が漏洩してしまうことがないように、ファイルの管理者はもちろん、URLの受信者も含め慎重な取り扱いが求められます。

ただしどんなに注意をしていても、他者のパソコンからのログインや、アカウントの不正利用(乗っ取り)等により、顧客情報に不正にアクセスされてしまうリスクは完全に防ぐことができません。Googleスプレッドシートが社内の規定で求められるセキュリティの基準を満たさないこともあり得るため、導入前にセキュリティ要件についてよく確認しましょう。

データ蓄積に伴う操作性の悪化

エクセルを利用した場合も同様ですが、Googleスプレッドシートは顧客情報のデータが多くなるにつれて動作が重くなります。場合によっては起動に時間が掛かりすぎる、編集中にフリーズするといった問題も発生することから、膨大な顧客情報の取り扱いを前提とする場合には不向きといえます。

分析する際の限界

Googleスプレッドシートは、用意されたテンプレートやカスタマイズした様式でグラフや表を活用したかんたんな分析を行うことが可能です。

しかし、そもそも導入時点で管理項目をある程度絞っており、また膨大なデータ量は取り扱えないため、情報量の不足により十分な分析が難しい場合もあるといえます。

顧客管理にGoogleスプレッドシートを活用する際のポイント

顧客管理にGoogleスプレッドシートを活用する際のポイントとして、以下の4点が挙げられます。

・管理項目を厳選

・入力書式の統一

・最新データの維持、メンテナンス

・運用体制の決定

管理項目を厳選

顧客管理に限らず新しく管理の仕組みを導入する際に、管理者は管理項目を多くピックアップしまう傾向があります。しかし管理項目の増加は、担当者からすると入力作業の増加につながり、業務負荷を増やしてしまうことにもなりかねません。また管理者自身にとっても管理項目が多すぎて管理しきれないといった事態も考えられます。

顧客管理の目的を明確にしたうえで、本当に必要な管理項目を選定しましょう。

入力書式の統一

検索や集計をスムーズにするために、シートへの入力ルールとして「数字・漢数字」、「全角・半角」など毎回同じ方法で登録をするように関係者に周知しましょう。将来的に他のツールとの連携、移行を検討する場合にも、一定のルールに従って整備されたデータは大変有効です。

最新データの維持・メンテナンス

顧客情報は定期的に更新され常に最新の状態を保つことで、営業・マーケティング活動に最大限に活用できます。

特にBtoB企業では、企業名・事業所所在地・電話番号・所属部署・役職など、変更となる可能性を持つ項目が多数あるため、変更があった際は漏れがないように速やかに情報を更新しましょう。

運用体制の決定

Googleスプレッドシートで顧客管理をするにあたり、管理者および問い合わせ窓口を明確に定め、関係者に周知しましょう。わからないことがあった場合に適切なフォローができないと、担当者の判断で誤った運用がなされてしまうリスクがあります。新しい取り組みである場合、操作・運用方法に関する説明会の開催や、担当者の疑問点について迅速に対応できる体制を整備することで、スムーズ運営できるでしょう。

顧客管理をさらに効率化するためにはCRMツールの活用も検討

CRM(Customer Relationship Management)は、「顧客関係管理」と訳され、CRMツールは、かんたんな操作でさまざまな顧客情報を一元管理できるツールです。ここでは、CRMツール活用により得られるメリットとデメリットを解説していきます。

CRMツールを活用するメリット

CRMツールを活用すると、導入していなかったときと比較して、顧客情報管理、顧客満足度・業務効率の向上などさまざまなメリットが得られますので、以下にそれぞれ解説していきます。

顧客情報の一元管理を実現

CRMツールの導入により、営業やマーケティングの各部署、各担当者がばらばらに保有していた顧客情報を全社で一元管理できます。担当者が不在でも、他の社員が顧客対応を行うことができるとともに、外出先でモバイル端末から必要な情報を確認できます。

顧客情報の管理で属人化が進んでいる企業であれば、CRMツール導入による効果はより大きなものとなるでしょう。

顧客満足度の向上

CRMツールでは、顧客の属性や購買履歴などのデータをもとに顧客ごとのアプローチが可能です。このため、顧客のニーズに合わせた情報・サービスを提供し続けることで、顧客満足度の向上が期待でき、自社サービスのリピーター・ファンの獲得につながります。

業務の効率化

CRMツールでは、過去の商談や電話連絡などの履歴を蓄積するとともに、自動で次回のアポイントも調整してくれます。日程の調整はタイミングが合わないと、時間が掛かる業務ですが、CRMツールにより業務効率の向上が図れます。

また、CRMツールでは、蓄積した顧客情報や購買情報などをかんたんに集計・データとして出力が可能です。これまで分析資料を手作業で作成していた場合には、作業に充てていた時間を他の業務に振り分けられます。

CRMツールを活用するデメリット

膨大な量の顧客情報を全社で一元管理できるなど、CRMツールを利用すると大きなメリットが期待できますが、一方でデメリットもあるため、事前に把握しておきましょう。

コストが必要

CRMツールは、オンプレミス、クラウドなどさまざまな提供形態がありますが、どのサービスを利用するにしても、導入初期費用、月額費用などのコストが発生します。利用ユーザー数、搭載機能などによって、金額は大きく異なることから、コストメリットを慎重に試算したうえで導入を検討する必要があります。

十分なパフォーマンスが得られない可能性

CRMは、長期的な視点から顧客満足度の向上によって、自社のリピーター・ファンになってもらうことを目指しているため、短期間では十分なパフォーマンスが得られない可能性があります。効果が見えないからといって、短期間で取り組みをやめてしまうのではなく、CRMツールから得られたデータを活用して、PDCAを地道に回していくことが重要です。

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まとめ

本記事では、顧客管理の概要や、スプレッドシートを活用して顧客管理を行う方法などについて解説してきました。顧客管理とは、企業の財産である顧客情報を関係者間で共有し、営業・マーケティング活動に活かすことで企業利益の最大化を目指すものです。昨今IT環境の変化により顧客ニーズは多様化しており、迅速に顧客ニーズに応えることは企業の存続・将来の成長に不可欠といえます。本記事の内容を参考に、Googleスプレッドシートもしくはその他のツールでの顧客管理について、ぜひ検討してみてください。