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ARTICLEヘッドレスCMSとは?CMSとの違いやメリット・デメリットを解説
ヘッドレスCMSを利用すると、フロントエンドとバックエンドの切り離しができます。本記事では、ヘッドレスCMSの概要やメリット・デメリット、通常のCMSとの違いを解説します。ヘッドレスCMSの導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ヘッドレスCMSとは
ヘッドレスCMSは、ヘッドレスという言葉の通り、通常のCMSと比較してフロントエンド(ヘッド)がないコンテンツ管理システムです。
なお、フロントエンドは画面などのユーザーが直接操作可能な領域を表し、対となるバックエンドはサーバーやデータベースなどのユーザーの目には見えない領域を表します。
通常のCMSはフロントエンドとバックエンドが一体となっており、非エンジニアでも比較的かんたんに使いこなせるといったメリットがありますが、システム変更の際は双方の影響を考えながらの作業が必要というデメリットもあります。
一方で、ヘッドレスCMSはフロントエンドとバックエンドが完全に切り離されているため、お互いが干渉することなくシステムを変更できるという特徴があります。
ヘッドレスCMSが必要とされる背景
最近注目を集めるヘッドレスCMSですが、どのような経緯で必要とされるようになったのでしょうか。本項目では、ヘッドレスCMSが必要とされる背景について解説していきます。
既存CMSによる運営の限界
現在世界で最も使用されているCMSはWordPressで、Webサイトの約半数はWordPressで構築されていると言われています。WordPressはPHPという言語で構築されており、エンジニアの知識がない方でも利用できる点から、個人・企業問わず多く利用されています。
しかし、WordPressなどの既存CMSはフロントエンドとバックエンドが一体となっており、Webサイト全体を一元管理しています。そのため、運営期間が長くなると大量のデータが蓄積され、他のCMSへの移行や障害の特定に時間がかかるといった問題が生まれます。規模の小さいWebサイトであれば既存のCMSでもそこまで問題はありませんが、規模の大きいWebサイトになると運営に影響が出始めます。
このように、WordPressなど既存CMSによるWebサイト運営の限界が背景としてあります。
より柔軟なシステム変更が求められている
上述した通り、既存のCMSは、Webサイト全体を一元管理しています。そのため、フロントエンド側だけを修正したくても、バックエンド側に影響を及ぼさないかいちいち確認する必要がありました。
そんな既存のCMSの煩わしさを解消するために、フロントエンドとバックエンドが切り離されており、必要なタイミングでシステム変更可能なヘッドレスCMSが必要とされ始めました。
このように、より柔軟なシステム変更が求められているのも背景の1つです。
サイバー攻撃の増加
近年、Webサイトの脆弱性を狙ったサイバー攻撃が増加しており、それに伴うセキュリティ事故も増加しています。特にWordPressのようなオープンソースシステムは、利用者も多く誰でもソースコードを閲覧できるため、サイバー攻撃の対象になりやすい傾向にあります。
一方、ヘッドレスCMSはフロントエンドを好きな言語で構築可能です。これにより、通常のCMSと比較してサイバー攻撃の対象になりにくく、セキュリティ強化もしやすいです。
以上のような背景により、ヘッドレスCMSは近年注目を集めています。
ヘッドレスCMSの種類
ヘッドレスCMSには、「Self-Hosted型」と「CaaS型」の2種類が存在します。これは、CMSを配置する場所がどこにあるかによって変化します。本項目では、それぞれの種類について詳しく解説していきます。
Self-Hosted型
Self-Hosted型では、自社で準備したサーバーやデータベース上にCMSを配置して運用します。CMSを動作させる環境をすべて自社で用意するため、自社好みに自由に環境をカスタマイズでき、すべて自社で完結するためコストを抑えられると言ったメリットがあります。
その一方、技術力を備えたエンジニアを自社で準備する必要があったり、環境構築には時間がかかるため、稼働・運用に持って行くまでに時間がかかると言ったデメリットも存在します。そのためSelf-Hosted型は、CMS初心者の方というよりは、自社で技術力を持ったエンジニアを確保でき、自社好みに自由にカスタマイズしたCMS環境を準備したい企業向けです。
CaaS型
CaaS型は、「CMS as a Service」の略で、CMS運用会社が提供しているサーバーやデータベースを利用して運用していく形式です。CMS運用会社が運用しているため、自社でサーバーやデータベースを準備する手間が省け、すぐにCMSを利用できると言ったメリットがあります。
一方、毎月利用料がかかるため、長期的にみてコストが高額になると言ったデメリットもあります。CaaS型は、わからないことがあればCMS運用会社のサポートが受けられるため、初心者や自社でサーバーやデータベースを準備する資金がない企業におすすめです。
ヘッドレスCMSのメリット
ヘッドレスCMSの導入により、様々なメリットが得られます。本項目では、通常のCMSとの比較を交えながらヘッドレスCMSのメリットを5つご紹介します。
メリット1:マルチデバイスに対応
通常のCMSは、対応デバイスが限られるケースがあります。たとえば、WordPressは基本的にWebサイト用の表示を持っているため、Webブラウザで管理します。そのためiOS・Androidアプリでの使用は難しくなります。
一方、ヘッドレスCMSは一般的にデータのやり取りはAPIを使用して行うため、WebブラウザやiOS・Androidアプリ、IoT機器、デジタルサイネージなどコンテンツを複数のデバイスに表示可能です。PC以外にスマホからもアクセスが可能なため、外部でもコンテンツにアクセスしやすいと言ったメリットがあります。また、複数デバイスに対しての管理画面も統一されているため、情報の更新や修正を一括で行え、デバイス間でのタイムラグの心配もありません。
メリット2:フロントエンドの自由度が高い
メリットの2点目は、フロントエンドの自由度が高い点です。何度も述べていますが、ヘッドレスCMSを導入するとフロントエンドとバックエンドをそれぞれ独立させられます。これにより、フロントエンドで修正が必要になった際に、バッグエンドに影響を与えることなく作業できます。
メリット3:UXの向上に繋がる
メリットの3点目は、UX向上に繋がる点です。UXとは、「User eXperience」の略で、日本語で「顧客体験」と訳されます。
通常のCMSの場合、閲覧用のファイル生成を行うため、処理に時間がかかります。しかし、ヘッドレスCMSの場合は閲覧用のファイル生成処理がないため、その分のサーバー処理を省くことが可能です。これにより、Webサイトやスマホアプリの表示速度が早くなり、ユーザーはストレスなくWebサイトやアプリを利用できます。
メリット4:CMS機能が後付け可能
メリットの4点目は、CMS機能の後付けが可能な点です。Webサイト運営を行っていると、後からお知らせページや製品ページを追加したいケースに遭遇するでしょう。しかし通常のCMSの場合、後から一部機能を追加するのは難しく、サイト全体を修正する必要があるケースも多いです。
一方、ヘッドレスCMSではCMS機能の後付けや修正が可能です。ECサイトを例に挙げると、商品紹介ページはそのままの状態で、お知らせページのみフロントエンドを更新・修正可能です。そのため、ヘッドレスCMSは頻繁に更新するサイトにより適しているといえます。
メリット5:障害範囲を特定しやすい
メリットの5点目は、障害範囲を特定しやすい点です。ヘッドレスCMSでは障害が発生した場合、フロントエンドでの障害か、バックエンドでの障害かをいち早く特定し、対応可能です。
また、WordPressのようにソースコードが公開されているオープンソースのCMSの場合、プラグインなど脆弱性が生まれる部分が多数存在し、外部からサイトが攻撃されるケースも少なくありません。一方、ヘッドレスCMSではフロントエンドとバックエンドに分かれているため、攻撃に狙われるリスクが分散されます。ただし、攻撃される可能性がゼロになるわけではないため、ヘッドレスCMSを利用する場合でも、セキュリティ対策は万全にしておくのがおすすめです。
ヘッドレスCMSのデメリット
では、ヘッドレスCMSの利用にデメリットはないのでしょうか。本項目では、通常のCMSとの比較を交えながらヘッドレスCMSのデメリットを3点ご紹介します。
デメリット1:フロントエンドエンジニアが必要
デメリットの1点目は、フロントエンドエンジニアが必要な点です。ヘッドレスCMSを導入するとビューアーがない状態になるため、別途フロントエンドを開発するためにフロントエンドエンジニアを準備する必要があります。通常のCMSと比較して、インターフェースの自由度が高まりますが、フロントエンドエンジニアを準備する手間やコストがかかるのがデメリットとして上げられるでしょう。
デメリット2:運営に高い技術性が求められる
デメリットの2点目は、運営に高い技術性が必要な点です。
WordPressなどの通常のCMSは、操作がわかりやすいうえ、インターネット上に無料の情報も豊富にあるため、エンジニアでない方でもかんたんに導入・運営が可能でした。
一方、ヘッドレスCMSは、フロントエンドとバックエンドが切り離されているため、フロントエンド部分を自ら構築する必要があります。構築には、フレームワークの知識やAPIを介したデータの知識など専門的で高い技術性が必要となります。そのため、エンジニアの知識がないサイト運営者の方には導入・運営が難しいと言ったデメリットが生まれます。ヘッドレスCMSは分業しやすいといった特徴を持っているため、サイト運営者1人ですべてを担当するのではなく、エンジニアの方と役割を決めてサイト運営するのがよいでしょう。
デメリット3:プレビュー表示が複雑化するケースがある
デメリットの3点目は、プレビュー表示が複雑化するケースがある点です。通常のCMSはフロントエンドとバックエンドが一体化されているため、プレビュー表示機能が存在します。しかし、ヘッドレスCMSには、フロントエンドが存在しないため、プレビュー機能も存在しません。そのため、プレビュー機能を自ら構築する必要があり、通常のCMSと比較して、複雑化する場合があるため注意が必要です。
ヘッドレスCMSを導入すべきケース
ヘッドレスCMSは、どのような場合に導入すべきなのでしょうか。本項目では、ヘッドレスCMSを導入すべきケースを2つご紹介します。本項目で紹介するケースに自身のサイトが当てはまるか確認してみてください。
ケース1:複数サイトのコンテンツを一元管理したい場合
通常のCMSでドメインとサーバーが異なるサイトで同一コンテンツを管理する場合、サーバーの数に応じてCMSを導入するとコストが高くなります。一方、ヘッドレスCMSを使用すると、コンテンツ本体を一元管理できるためコストが抑えられます。このように、複数サイトのコンテンツを一元管理したい方にヘッドレスCMSは有効的です。
ケース2:WEBサイト以外からCMSを使用したい場合
iOS・Androidアプリなど、Webサイト以外からCMSを使用したい場合は、通常のCMSよりも開発自由度の高いヘッドレスCMSの方が適しています。そのため、スマホアプリやIoT機器を介してコンテンツにアクセスしたいと考えている場合は、ヘッドレスCMSが適しているといえるでしょう。
ヘッドレスCMSを導入する際に確認すべき点
本項目では、ヘッドレスCMSを導入する際に確認すべき点を3つご紹介します。
1:機能の充実性
サイト運営をするにあたって、機能の充実性は非常に重要です。具体的に、コンテンツを作成した際の下書き保存や、日時と時間を設定すれば自動で投稿してくれる予約投稿機能などがあると運営の際に便利でしょう。また、編集履歴管理機能があると、誤ったコンテンツを更新した場合でも即座にリカバリできるため、正確な運用管理ができます。
自社の運営したいサイトが、日々どのように更新されていくかをできるだけ具体的にし、それに合った機能を有しているかは確認するようにしましょう。
2:対応言語・フレームワーク
ヘッドレスCMSごとで、対応言語やフレームワークが異なります。そのため、選定する際は、どの言語やフレームワークに対応しているのかあらかじめ確認しましょう。幅広い言語とフレームワークに対応している方が、エンジニアにとっては使いやすいです。
3:料金体系
それぞれのヘッドレスCMSによって、料金体系は異なります。月に一定の料金を支払う「月額制」か、使用量によって料金が変動する「従量課金制」かをあらかじめ確認しておきましょう。
なお、導入に費用をかけたくないという方は、無料で利用可能なオープンソースのCMSがよいでしょう。しかし、言語の設定などは自ら設定する必要があるため、有料ヘッドレスCMSと比較して手間がかかる点には注意が必要です。
おすすめのヘッドレスCMS
ここでは、自社のサーバーやデータベース上に設置する「Self-Hosted型」と運用会社のサーバーやデータベース上で利用する「CaaS型」に分けておすすめのヘッドレスCMSを解説します。
Self-Hosted型
自社でサーバーやデータベースを用意するSelf-Hosted型のCMSは、SSL証明書の認証レベルにこだわりがある場合などに適しています。
Self-Hosted型のおすすめなCMSを紹介します。
Strapi
StrapiはNode.jsで構成されている無料のCMSで、汎用性や設計の自由度の高いことが特徴です。
その表れとして、Javascriptさえ使用できれば、APIを簡単に設計することもできます。
また、基本的な設定については容易な操作が可能な管理画面で事足りるため、クリエイティブ性が高いだけでなく容易に利用できる気軽さも魅力です。
このように、自由なフレームワークを使用できるという点でまさにヘッドレス型の良さを詰め込んだようなCMSです。
Ghost
Ghostはコラムやブログ・記事の作成に特化したCMSです。
特にWordPressの10〜20倍ともいわれる読み込み速度など、SEO対策として選択するなら非常に優秀なCMSです。
また、WordPressと投稿エディタのデザインも似ているため、アウトソーシングもしやすいことからコンテンツマーケティングにも向いているCMSといえるでしょう。
Netlify CMS
Netlify CMSは、GitHubとの連携が容易であり、すでに公開されているワークフローやケーススタディを活用したCMSの構築が可能です。
また、管理画面をymlファイルと呼ばれるファイルひとつでカスタマイズすることができるというのも魅力です。
CaaS型
自社でサーバーやデータベース上を用意する必要がないCMSであるCaaS型CMSのおすすめを3つ紹介いたします。
Contentful
Contentfulは、「Ghost」同様、コンテンツの管理・運営に注力することができる点が特徴的なCMSです。
サーバーやデータベースから用意することなく、純粋に記事やコラムの作成に集中したいと考える場合に適しているでしょう。
また、デスクトップ向けだけではなく、デジタルサイネージやスマートウォッチなどの豊富な配信面へ掲載が可能なAPIも用意されています。
MicroCMS
MicroCMSはAPIを用いたコンテンツの配信が可能なことが特徴のCMSです。
APIを活用することで複数サイトへ同時に配信するといった使い方も可能です。また、国産CMSであることから、日本語ドキュメントも用意されている点も嬉しい特徴のひとつです。
Prismic
Prismicは管理画面がドロップ・アンド・ドラッグで操作できることから、迅速な操作が可能であることが強みのCMSです。
感覚的にサイトの構築を行なっていくことで、企画者と実行者の認識の齟齬やすれ違いによる齟齬を減らしやすいCMSといえるでしょう。
そのため、比較的小さい組織や、ブランディングに力を入れたい場合に適すかもしれません。
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まとめ
本記事では、ヘッドレスCMSについて解説しました。
通常のCMSと比較してヘッドレスCMSは、自由度が高い分、高い技術力が必要とされます。そのため、ヘッドレスCMSの導入を躊躇してしまっている場合もあるかもしれませんが、ご紹介したようにメリットも多く存在しており、適している場合はその導入効果も大きいです。
ぜひ本記事の内容を参考にし、ヘッドレスCMSの導入を検討してみてください。